【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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兄に支えられてベッドに戻る。
俺はまる一日眠っていたらしい。
そりゃ、トイレにもいきたくなるわけだ。
『植物状態だってションベンする』
そうだね。
パジャマの裾から見える足首にすら噛み跡がついている。
京極に好き勝手されても反応した身体。
『私に突かれただけでイクなんて陸は淫乱だね』
首をふる。
『こんなのはなぁ、単なる生理現象なんだよ!』
うん。単なる生理現象だ。
『男なんてのはここを弄られれば反応するように出来てるんだよ!生理現象だ!』
そうだ、ましてやΩに、フェロモンをぶつけられて強制的にヒートになってたんだ
『ションベンみたいなもんだ!』
そうだ。
単なる生理現象…

「陸」
兄が俺の手を包み込んだ。どうやら無意識のうちに拳を強く握っていたらしい。
「……大丈夫。」
兄が痛ましい、とっいったように俺を見る。
……。

「あの後はどうなったんだ?……その、俺がA1の部屋で……」
泣きそうな顔の兄にかわり、蓮兄さんが言う
「累、出ていろ。俺から陸に伝える」
「ここにいる!」
「累」
「ここから出ていく位なら、俺が陸に伝える!」
「……累。お前は陸が知りたい事を知らない。だから、出ていけ。陸も聞かれたく無いはずだ」
……兄さんが羨ましい。そうやって兄さんを守ってくれる存在がいる累兄さんが。
「陸が俺に聞かれたくないのは、俺が知ったら俺が傷つくと思ってるからだ。けど、陸。俺はお前に何があったのか知らない方が傷つく。」
「…………」
「お前と一緒に泣きたいんだよ。それと、蓮。俺に後悔させないでくれ」

蓮兄さんがため息をついた。

「陸、お前が猪瀬と大学に怒鳴って暫くしてから猪瀬が踏み込んだ。」
「…………何分後?」
首を触りながらきく。これは重要な事だから。ヤツがラットになっても生き残れるタイムリミットを知っておかなければならない
「5分後。確認にそれだけの時間を要したんだろう」
蓮兄さんが俺を睨みながら言った。大丈夫。一緒に泣く相手になるよ、そう言ってくれた兄にこの首輪の秘密は話さない。コンちゃんからの首輪、コトがおきるまで兄に、自身が仲介したことを後悔させたくない
「5分か、了解」
「ただ猪瀬は、というかその後に入ったセキュリティも含め殆ど皆京極の圧に負けて動けず、結局千葉というαが来て、抑制銃で京極を撃った。合計で10分って所か。ただ、安全を考えるなら余裕を持って考えたいからやはり5分だな。」
「…………安全って何。またこんな事が起きるとでも言うのか!」
「「…………」」
兄は蓮兄さんにこれだけ執着されているのにαのソレを理解してない。最高位αの京極が俺をそう簡単に諦めるはずがない。
答えない俺達に愕然としている。

「陸。今いるマンションは引き払え。ウチに住め」

「いやいやいや、俺、Ωになってしまったから、ヒートで蓮兄さんと事故ったら大変じゃん」
「むしろそうしろ!蓮が陸の番になればいいんだ!」
ヲイ!

蓮兄さんが怒りの余りに誘淫フェロモンを発する
「ヒ……!」
聞き分けの悪い番を懲らしめる為の本能的なもの。けれどβの兄には当然効果など無く、隣いた俺の後がドロリと反応する。
『陸は淫乱だね』
「ち、ちが…」
『私のΩ……』
首を振る。

ドンという音と共に、フェロモンが弱まる
「テメェ、俺の弟に何しやがる!」
見ると、兄さんが蓮兄さんを殴り倒していた。
蓮兄さんのフェロモンは感じ取れないけれど、何をしたかは想像がついたのだろう。
…………いや、貴方にも一因はありますけどね







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