【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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 陸が京極様以外といたします。
 苦手な方は飛ばして下さい。
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 久々のオフ。
 ファンサの予定もない完全フリーな日は久々だ。
 うん、久々にbarにいこう。久しぶりに男としたい。俺はバイだ。と言うかゲイだけど女ともできる。が、嗜好はゲイだから女とヤッても楽しくはない。仕事だ。


 行きつけの店に向かって歩く。
 通りには手軽にすませようという男たち。
 Barにでも行けよ。トラブルの元だぞ。
 ただ、少しいつもと雰囲気が違った。皆がチラチラと気にしている方を見ると、ああ…と納得した。何かが俺らを惹きつける。
 ここいらに立つには全くすれてない男。ノンケの雰囲気のある男。処女か一人知っている程度の男。身の置き場が無くて縮こまっている感じもオスの嗜虐心を煽る。
 通りで男を漁るのは手っ取り早く済ませたい連中ばかりだ。たから、処女とか手間のかかるヤツなど人気はない。けれどこの男が相手ならばその手間すら愉しめる、そう思ってるタチ同士が牽制しあってるのが見て取れた。

 俺の視線を感じたのか、その男がこちらを向き、目があった。迷子のような瞳に安堵が広がる。どうやら俺は合格らしい。
 声をかけると意外と簡単についてきた。自宅でも良いと言う。
 不用心だな。俺はこのコを他のヤツらがやりまくってるホテルにつれていきたくはなかったから自宅に誘ったが、タチの悪い輩だったら複数人待ち構えていて輪姦される可能性だってあったんだぞ?


 ただ、警戒心が全くないわけではないようだ。俺の部屋に入ってからは体が緊張している。
 なのに、リラックスできるようにとハーブティーを淹れてあげると、素直に飲んだ。クスリとか心配しないのか?

 瞼にキスすると、ビクリと震えた。
 ………。
 警戒しているのではなく、これは怖がっている?
 まさか……
「童貞処女?」
「お、男に処女とかいうな!」
 思わず笑ってしまった。
「童貞は認めたんだな」
 うぐって音が聞こえそうで、余計に笑いが漏れる。
「でもさ、君ヘテロだろ?顔だって悪く無いんだし、何で今まで童貞?しかも何であんな所に立ってたの」
「彼女はいた!ただ彼女は結婚するまで清い関係でいましょうって!」
「いや、ソレ完璧にキープ君じゃん」
 女ってやっぱ最低だな。そんな言葉に騙されるような無垢いヤツを利用しやがって。顔は悪くはないし育ちも良さそうだから、キープしとこって感じだろうな。お人好しそうだし、体だって適度に運動している靭やかな筋肉で構成されてて……。
 するりと触ると、ギャっと悲鳴をあげた。焦る様子が可愛い。初物感強すぎ。
「…ねぇ?何であんな所に立ってたの。」
 あの通りで、追い詰められた目をしてた。でもキレるとかではなく迷子みたいに頼りない目。
「……関係ある?するのにそんな情報必要?」
 強気な発言。でも指先は忙しなく動いてて怯えてるのがわかる
「じゃあ、今日はしない」
「え!?」
 ……そんなに驚く事か?いや、驚く事か。俺だって逆の立場なら驚くわ。持ち帰られて何もしないなんてさ。
「駄目だ!もう、こんな機会ない!」
 やっぱり訳ありか。
「怯える童貞処女を相手にするほど飢えてはいないんだよ、俺も。理由、教えてよ」
 いや、普段だったら同意済みならヤってるけどね。一夜かぎりだし。けど、このコとは……
「…………ろくでもないヒヒ爺に目をつけられて、騙されて借金させられたんだ。体で払えって言われている」
 …………。
 わからないでもない。
 不思議な魅力があるからな、このコ……
「その予行練習?」
「…………予行練習というより……あの男への嫌がらせだ。ヤツは俺の初にも拘ってるようだから」
 理解はできる。この子はまっさらな雪原みたいなものだ。唯一の足跡をつけたくもなる。
「…………アリ地獄にでも嵌った気分なんだ。普通に生きて、彼女との将来を夢見て過ごしていただけだったはずなのに……」
 聞いていられなくて、口付けをした。
「名前は?」
「……陸」
「俺は……」
 言おうとしたら首をふられた。
「多分……俺が覚えてない方がいい。」
 …………初めての男を忘れるの?それとも、初めての男の名前をおぼえていると何か不都合があるの?
 そんなに暗い目をしないで。

 





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