【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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92ー猪瀬

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帰り道、貴嗣様がポツリと言った
「猪瀬」
「はい」
「陸にバレたなら私はもう配慮はしない」
…………配慮してたのか、あれでも。
「はい」
「蔵の準備を急がせろ」
「………………はい」
青島のあの天真爛漫な目は見れなくなるのか。独房に閉じ込められれば人はどうなるのか。
旅行から帰ってきてすぐのころ、青島がまだ理由をつけて貴嗣様を避けていた頃、暗い目をした貴嗣様に蔵の建築を命じられた。窓すらない黒い部屋は最早拷問部屋にしか見えなかった。
『これまでの歩み寄りを全て無駄にされるつもりですか』尋ねても返答が無かった。貴嗣様にもあの時点では迷いがあったのだ。だから……俺が工事をわざと遅らせていることも黙認していた。だが…。『蔵の準備を急がせろ』
青島…………
接触出来るのは貴嗣様一人。名前を呼んでくれる人も、話かけてくれる人も、テレビも本もない世界。貴嗣様だけが音も映像も文字も食事も与える世界。
……………さっさと、さっさとΩになってしまえ、青島。
結論が同じなら、苦痛は少ない方がいい。


そして、宣言通り貴嗣様はなりふり構わなくなった。

青島の教室にいくと、青島は西野と談笑していた。…………久しぶりに見るな、青島の笑顔。
青島はチラリとこちらを見たが無視して西野と話し続けた。
「り、青島…」
西野が慌てる。……気の毒に。
想定内ではあるが、貴嗣様が西野に威圧をはなった。自分には向けられない笑顔を西野が独り占めしていたのだから、そうなるだろう。
「西野、大丈夫か?医務室に行こう」
青島が肩を貸しながらいう。貴嗣様がそんな青島の道を塞いだ。
「何ですか?西野への謝罪なら、本人がもう少し落ち着いたらでお願いします」
いや、元凶はお前だからな?そう思ったのが伝わったのだろう。
「猪瀬さん、ストーカーが突然友達を刺したとします。ストーカーされていた方が悪いんですか」
貴嗣様をストーカー呼ばわり出来るのは青島位だろう。β家系からのαだからα社会がわかってない
「猪瀬」
「はい」
西野を連れて行けということだ。明確な意識がない西野に肩を貸すという事は、青島の項に西野のニオイが着く。
「青島、お前では意識のない西野は運べない。俺が連れていく。」
「…………」
??何だ。青島の間は?
「いえ、ありがとうございます。」
俺が西野の腕を肩に回すと同時に、青島が貴嗣様に腕を引っ張られる。
「陸、私以外のαのニオイを着けるな」
青島を抱き締めながら、周囲に威圧を振りまく。『コレは私のモノだ。ニオイをつけるな』そう言っているのだ。

青島が貴嗣様の腕の中で暴れる。だが、貴嗣様が離れる気配はない。髪を強くひき青島の顔をあげさせ……口づけた
貴嗣様はもう、隠すつもりはないのだ

















~~~~~~~~~~~~~~~~
シリアスを書いていてるとどうしても ふざけたくなるのが 作者です 。
なので話によっては下の下の下の方に 作者のふざけた一言を載せる時もあります
ちょっとストーリー感が消えてしまいますが、それでもいいよという方は下の方までスクロールをしてください
シリアスはシリアスなシーンで終わっておきたいという方、空欄が続いた場合には、その先にはスクロールをしないようお願いいたします
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