【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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 吐くものがなくなっても胃の痙攣は治らない。
 落ち着け、当時の豚はもう生きていない。
 あのキャンプ場で俺は京極と宮下から ボウガンの使用方法を教わった。
 京極の教え方はおざなりだった。俺が上達してもしなくてもいい、そんな感じだった。対して宮下はスパルタだった。的の高さは150cm から 195cm 。林檎を乗せれば大抵の女性は150cmはこえる。195は…
 夜中に聞こえたエンジン音。宮下の不在……。
 俺と宮下がボウガンの特訓を受けてる間、残りのメンツが黙々と片付けをしてくれていた。αなのに、下っ端の宮下が手伝わない事に誰も文句は言わなかった。
 島を出る時の唐突な京極の言葉
『キャンプ場にボウガンを放置してきた』
 管理人に、タカツグの事を俺に言えば処刑するといったのだ。
 泣き腫らした管理人の目。
 揺らめく焚き火の焔の端、白い何かが飛んでいったのをぼんやりと感じた…。
 タカツグが怪我で済んでいたなら、管理人はタカツグを見送りに連れてきたはずだ。犬の怪我なんて珍しくも無いから、適当に言い訳できる。
 コタロウはタカツグと言う名前に反応した。京極の逆鱗に触れたタカツグの飼い主への罰。もう一匹のピレニーズにタカツグという名前を覚えさせる。飼い犬を殺された直後の人にそこまで酷な事を命じたのか。奪われる為に新しい名前を覚えさせる。
 なんて酷い事を……。
 タカツグはちゃんと埋葬されたのか、それとも……
『豚は悪食だからな』
「……!!」
 胃液すら無くなるくらい、吐き続けた。
 そこまで酷い人だとは思いたくない。
『私は京極ほど酷薄な人間を知らない!』


 家には蓮兄さんが送ってくれた。蓮兄さんに秘密で兄に持ってて貰っていた道具を持って帰る必要があった。
 蓮兄さんは何かをいいたけだったが、兄の睨みに押し黙っていた。

 玄関ドアを開ける
「…………」
 やはり、誰かが侵入した形跡がある。
 アナログだけど、ドアの隙間に髪の毛を仕込んでいたのがなくなってる。開け閉めするだけで飛んでいくし目立たないから、外出する際には必ずするようにとコンちゃんに言われてた。
 盗聴器とかがついてないかを、持って帰ってきた機器で調べる。『部屋においておいて、ソレ自体を壊されていたら検出なんて出来ないじゃない!信頼出来る所に隠しておきなさい!』何を馬鹿なことを思ったものだ。自分にそんな事をする者などいないのにと。ただ、コンちゃんが必死で言うから兄に頼んでおかせて貰ってた。
『お前、犯罪に巻き込まれたのか。変なヤツにストーキングされているのか?』
『あはは、違うよ兄さん。ただ彼女が不安症だから俺がそんな目にあった時の為にって……』
あんなの笑い話だって思ってた。こんな機器で自宅を調べる日が来るなんて。
 …………。
 カメラはつけられてないな。盗聴器はつけられてる。それと……よくわからない電波も確認。
 机も何もかも探した跡が僅かにある。冷凍庫まで漁っている。
 今まで使用していたスマホをコンちゃんに渡しておいて良かった。
 問題は、コンちゃんとの連絡をどこでどうやって取るか…








~~~~~~~~~~~~~~~~~
今年もよろしくお願いいたします。

だいぶシリアスになってきました。
私の中では京極様の像はブレて無いのですが、皆様は大丈夫でしょうか。
酷薄で恋愛童貞な最上位α様
これが京極様です。

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