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そろそろ眠ろうという話になった
食器を洗い焚き火を消す。
京極様が片付けをしている姿にクスクスと笑ってしまった 。
「こういう後始末とか、てっきり管理人さんに任せると思っていたのですが みんなでちゃんとやるんですね。キャンプにやってきた感じがしてすごく楽しいです」
猪瀬さんが微妙な顔をした。
?
なんだろう……。
火も消えて、キャンプ場の暗闇の中、皆で寝袋をテントから持ち出して寝転がって天体観測を始めた。光のない場所でだから、クリアな星空が広がってる。眼前に広がる星に心は奪われていく。
コンちゃんとも星を見たな……。
コンちゃんと会えるのは防犯カメラもないような場所ばかりで。いつも現地集合で。一人と勘違いされてナンパされてるコンちゃんに俺が声をかけるのがパターン化してた。
特にキャンプは酷かった。
美少女がソロキャンしようとしてるんだ、そりゃあ男共が叢がる叢がる。あの後から俺はクラヴ・マガを習い始めた。
クラヴ・マガにした理由は一つ
『体格差のある京極から陸が身を守れるとしたらクラヴ・マガよ!』
…………コンちゃん、俺、君を守る為に習いたいんだけど?クラヴ・マガはむしろ……なんて思った記憶があるな。せっかくの雰囲気が壊れるから言わなかったけれど。
キャンプ場の暗闇の中、お互いに手をつなぎながら星空を見上げた。一面に広がる星々に圧倒された。星々の配置を辿りながら、星座の名前や伝説をコンちゃんが教えてくれた。
『星座の神々にはΩなんていないのにね』
これだけ知識が豊富で頭も良いのにΩというだけでコンちゃんは研究者にはなれないのだ
『守るから』
俺に何ができるかなんてわからない。でも、Ωだから、ではなく頑張るコンちゃんを支えたいって思ったんだ。……。
望遠鏡を使って月のクレーターや惑星の模様を目に焼き付けた。コンちゃんは宇宙の謎や星の生まれる過程について教えてくれた。
星を見上げ、俺たちの存在の小ささに思いを馳せながら、囁くように星空の美しさについて話した。絆が深まって、一緒にいれる事の幸せを、未来を感じた……。
「陸」
低い声で呼ばれる
…………京極様は俺がコンちゃんにおもいを馳せていると直ぐに気がつく。
「はい、なんでしょう?」
素知らぬ顔で聞き返した。
「…………あれがカシオペヤ座だ」
京極様は、そこには触れず、星座の説明に入られた。
コンちゃんからも聞いたけれど、人によって解釈?が違うんだなと思った。
「陸はピネウスをどう思う?」
ポセイドンの怒り買ったアンドロメダ、その婚約者ピネウス。アンドロメダが海魔の人身御供になる時はそ知らぬふりをし、いざ助かるとアンドロメダと夫婦になろうとした男。アンドロメダを助けたペルセウスによって石に変えられた男。
「……気の毒だと思いました」
海の神ポセイドンがエチオピアの海岸に海魔を放ち、王国の民を苦しめた。王はそれをおさめるために娘のアンドロメダを差し出すしか無かった。
まるで……今のαとΩの力関係のようだ。上位αに見初められたら、恋人だろうと婚約者がいようとそのαの元に行かざるを得ない。見初めたΩの家族や知人といった大切な人を質に脅すということは権力を持つαにおいては珍しいことではない。噛んでしまえばどうとでもなるから、心など後からでいいというαもいるのだ。
民の為に、娘を、私を、諦めて下さいとピネウスが言われたとしたら?
「私はそうは思わないな」
……そうだろうな、この人はポセイドンやペルセウス側だ……
そしたら、俺がピネウスか……考えたくないな……
他の星座の話を思いかえしているとだんだん眠くなった
「陸?眠ったか……?」
京極様が何か言ってる。
「りく……わたしの……お…つが…」
眠い……
「すすみましたか…」
「ああ、だいにけいたいに……」
食器を洗い焚き火を消す。
京極様が片付けをしている姿にクスクスと笑ってしまった 。
「こういう後始末とか、てっきり管理人さんに任せると思っていたのですが みんなでちゃんとやるんですね。キャンプにやってきた感じがしてすごく楽しいです」
猪瀬さんが微妙な顔をした。
?
なんだろう……。
火も消えて、キャンプ場の暗闇の中、皆で寝袋をテントから持ち出して寝転がって天体観測を始めた。光のない場所でだから、クリアな星空が広がってる。眼前に広がる星に心は奪われていく。
コンちゃんとも星を見たな……。
コンちゃんと会えるのは防犯カメラもないような場所ばかりで。いつも現地集合で。一人と勘違いされてナンパされてるコンちゃんに俺が声をかけるのがパターン化してた。
特にキャンプは酷かった。
美少女がソロキャンしようとしてるんだ、そりゃあ男共が叢がる叢がる。あの後から俺はクラヴ・マガを習い始めた。
クラヴ・マガにした理由は一つ
『体格差のある京極から陸が身を守れるとしたらクラヴ・マガよ!』
…………コンちゃん、俺、君を守る為に習いたいんだけど?クラヴ・マガはむしろ……なんて思った記憶があるな。せっかくの雰囲気が壊れるから言わなかったけれど。
キャンプ場の暗闇の中、お互いに手をつなぎながら星空を見上げた。一面に広がる星々に圧倒された。星々の配置を辿りながら、星座の名前や伝説をコンちゃんが教えてくれた。
『星座の神々にはΩなんていないのにね』
これだけ知識が豊富で頭も良いのにΩというだけでコンちゃんは研究者にはなれないのだ
『守るから』
俺に何ができるかなんてわからない。でも、Ωだから、ではなく頑張るコンちゃんを支えたいって思ったんだ。……。
望遠鏡を使って月のクレーターや惑星の模様を目に焼き付けた。コンちゃんは宇宙の謎や星の生まれる過程について教えてくれた。
星を見上げ、俺たちの存在の小ささに思いを馳せながら、囁くように星空の美しさについて話した。絆が深まって、一緒にいれる事の幸せを、未来を感じた……。
「陸」
低い声で呼ばれる
…………京極様は俺がコンちゃんにおもいを馳せていると直ぐに気がつく。
「はい、なんでしょう?」
素知らぬ顔で聞き返した。
「…………あれがカシオペヤ座だ」
京極様は、そこには触れず、星座の説明に入られた。
コンちゃんからも聞いたけれど、人によって解釈?が違うんだなと思った。
「陸はピネウスをどう思う?」
ポセイドンの怒り買ったアンドロメダ、その婚約者ピネウス。アンドロメダが海魔の人身御供になる時はそ知らぬふりをし、いざ助かるとアンドロメダと夫婦になろうとした男。アンドロメダを助けたペルセウスによって石に変えられた男。
「……気の毒だと思いました」
海の神ポセイドンがエチオピアの海岸に海魔を放ち、王国の民を苦しめた。王はそれをおさめるために娘のアンドロメダを差し出すしか無かった。
まるで……今のαとΩの力関係のようだ。上位αに見初められたら、恋人だろうと婚約者がいようとそのαの元に行かざるを得ない。見初めたΩの家族や知人といった大切な人を質に脅すということは権力を持つαにおいては珍しいことではない。噛んでしまえばどうとでもなるから、心など後からでいいというαもいるのだ。
民の為に、娘を、私を、諦めて下さいとピネウスが言われたとしたら?
「私はそうは思わないな」
……そうだろうな、この人はポセイドンやペルセウス側だ……
そしたら、俺がピネウスか……考えたくないな……
他の星座の話を思いかえしているとだんだん眠くなった
「陸?眠ったか……?」
京極様が何か言ってる。
「りく……わたしの……お…つが…」
眠い……
「すすみましたか…」
「ああ、だいにけいたいに……」
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