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65ー猪瀬
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シリアスです。
残酷な描写があります。
ワンコ好きな方、ご注意下さい。
67話の冒頭に、65,66のあらすじを記載しますので、避けた方が良い方は避けて下さい。
~~~~~~~~~~~~~~~~
下ネタやらなんやらで、青島は大分リラックスしている。ピレニーズの存在は大きいな。
やがて、焚き火を見つめる青島の目の焦点がぼやけてきた。……そして俺達は息を殺す。先程までふざけていた千葉ですら大人しい。
「陸、昨日は楽しかった?」
「……疲れた…フライボートは見るだけで十分…………」
「陸、一昨日で印象に残っているのは?」
「…ウォータースライダー楽しい……」
「じゃあ…………」
貴嗣様が一日一日と遡っていく。
「二週間前は?」
「注文してたスマートウオッチが届いた……」
「スマートウオッチはなぜ買ったの?」
「コンちゃんが今のスマホは持って行くなって……」
「そのスマホはどこ?」
「コンちゃんとこ」
やはりそうか。青島の自宅には無かったと千葉が言っていた。だが、いつの間に?青島には監視がついていた。宅配便を依頼していたという話はきていないが、見落としたか?それになにより…
「コンちゃんの家の住所は?」
「…知らない」
「じゃあ、どう渡したの?」
青島が苦しそうに顔を歪めた。コンちゃんに結びつく事だからか、暗示に抵抗を示している。ピレニーズが慰めるように体を青島に擦り付ける。
………不味いな。スマホに『暫く席を外せ』と打ち込み、管理人に見せた。
千葉が、『お優しい事で』と口パクで言ってきた。
それを言うなら、お前もだろう。宮下の隣へと音もたてずに移動したのだから。
…………。
本当に優しい人間はこんな事をしない。管理人に、ピレニーズを連れて去れというだろう。
だが……青島の催眠状態はまだ浅い。警戒心が無くなるまではあのもふもふの巨体は必要なのだ。
「スマートウオッチ、設定は自分でしたの?」
「うん」
「何をインストールしたの」
「コンちゃんに言われたアプリ」
「具体的には?」
青島が答えたのは全て一般的なアプリだ。特筆すべきこともない。ならば何故そこまで体から離さないのか。
…………コンちゃんと繋がっていたいからと言っていたな。だが、そのアプリでは繋がってもいない
「スマートウオッチ外す暗証番号は?」
「知らない」
「でも、お風呂で外したよね?」
そう、宮下に言われて……。宮下に臭いと言われて外した。宮下に…
「外した。宮下に臭いと言われるのが嫌だったから外した」
…………宮下……。不味いな。舌打ちしそうになるが、なんとかこらえた
「どうやって外したの」
「目をつぶって 適当に叩いてみた」
「どういうこと?」
「スマートウォッチを外したくなかったから、暗証番号を決める時に目をつぶったまま適当に打ち込んでみた。同じように適当に目をつぶって 適当に打ち込んでみたら外れた」
「今も同じ要領で外してくれないかな」
「嫌だ」
「陸、外して」
暗示に抵抗して青島が苦しみ出した。
ピレニーズが貴嗣様に対してぐるるると威嚇してくるが貴嗣様は無視して外すように命令を続ける。ピレニーズが青島に『去ろう』と吠えようとした。
黒い影が一瞬目の端に写った気がした。
直後にピレニーズが吹っ飛んだ。木に激突してギャンと悲鳴をあげた。60キロもある警戒心丸出しの獣を仕留めてしまう貴嗣様の身体能力に怖れしかない。
千葉が宮下の口を手で押さえているのが見えた。
宮下が大声をあげていれば、青島の催眠状態は解かれていただろう。千葉がいなければ宮下は……
「命拾いしたな、宮下」
貴嗣様が酷薄な嗤いを浮かべた。青島が宮下のフェロモンを嗅ぎ取れることを貴嗣様はまだ知らない。けれど、青島が懐いているという事実は看過できなかったのだろう。
失態があれば即座に……
「「「………………」」」
目の端にぐったりとしたピレニーズが写った…………。
シリアスです。
残酷な描写があります。
ワンコ好きな方、ご注意下さい。
67話の冒頭に、65,66のあらすじを記載しますので、避けた方が良い方は避けて下さい。
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下ネタやらなんやらで、青島は大分リラックスしている。ピレニーズの存在は大きいな。
やがて、焚き火を見つめる青島の目の焦点がぼやけてきた。……そして俺達は息を殺す。先程までふざけていた千葉ですら大人しい。
「陸、昨日は楽しかった?」
「……疲れた…フライボートは見るだけで十分…………」
「陸、一昨日で印象に残っているのは?」
「…ウォータースライダー楽しい……」
「じゃあ…………」
貴嗣様が一日一日と遡っていく。
「二週間前は?」
「注文してたスマートウオッチが届いた……」
「スマートウオッチはなぜ買ったの?」
「コンちゃんが今のスマホは持って行くなって……」
「そのスマホはどこ?」
「コンちゃんとこ」
やはりそうか。青島の自宅には無かったと千葉が言っていた。だが、いつの間に?青島には監視がついていた。宅配便を依頼していたという話はきていないが、見落としたか?それになにより…
「コンちゃんの家の住所は?」
「…知らない」
「じゃあ、どう渡したの?」
青島が苦しそうに顔を歪めた。コンちゃんに結びつく事だからか、暗示に抵抗を示している。ピレニーズが慰めるように体を青島に擦り付ける。
………不味いな。スマホに『暫く席を外せ』と打ち込み、管理人に見せた。
千葉が、『お優しい事で』と口パクで言ってきた。
それを言うなら、お前もだろう。宮下の隣へと音もたてずに移動したのだから。
…………。
本当に優しい人間はこんな事をしない。管理人に、ピレニーズを連れて去れというだろう。
だが……青島の催眠状態はまだ浅い。警戒心が無くなるまではあのもふもふの巨体は必要なのだ。
「スマートウオッチ、設定は自分でしたの?」
「うん」
「何をインストールしたの」
「コンちゃんに言われたアプリ」
「具体的には?」
青島が答えたのは全て一般的なアプリだ。特筆すべきこともない。ならば何故そこまで体から離さないのか。
…………コンちゃんと繋がっていたいからと言っていたな。だが、そのアプリでは繋がってもいない
「スマートウオッチ外す暗証番号は?」
「知らない」
「でも、お風呂で外したよね?」
そう、宮下に言われて……。宮下に臭いと言われて外した。宮下に…
「外した。宮下に臭いと言われるのが嫌だったから外した」
…………宮下……。不味いな。舌打ちしそうになるが、なんとかこらえた
「どうやって外したの」
「目をつぶって 適当に叩いてみた」
「どういうこと?」
「スマートウォッチを外したくなかったから、暗証番号を決める時に目をつぶったまま適当に打ち込んでみた。同じように適当に目をつぶって 適当に打ち込んでみたら外れた」
「今も同じ要領で外してくれないかな」
「嫌だ」
「陸、外して」
暗示に抵抗して青島が苦しみ出した。
ピレニーズが貴嗣様に対してぐるるると威嚇してくるが貴嗣様は無視して外すように命令を続ける。ピレニーズが青島に『去ろう』と吠えようとした。
黒い影が一瞬目の端に写った気がした。
直後にピレニーズが吹っ飛んだ。木に激突してギャンと悲鳴をあげた。60キロもある警戒心丸出しの獣を仕留めてしまう貴嗣様の身体能力に怖れしかない。
千葉が宮下の口を手で押さえているのが見えた。
宮下が大声をあげていれば、青島の催眠状態は解かれていただろう。千葉がいなければ宮下は……
「命拾いしたな、宮下」
貴嗣様が酷薄な嗤いを浮かべた。青島が宮下のフェロモンを嗅ぎ取れることを貴嗣様はまだ知らない。けれど、青島が懐いているという事実は看過できなかったのだろう。
失態があれば即座に……
「「「………………」」」
目の端にぐったりとしたピレニーズが写った…………。
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