【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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ピレちゃん、最高!
大型犬ってこの存在感がいい。
隣で寝ているだけなんだけど、何か安心する。物音がすると耳をピクリとさせて足音が近づいてくれば薄めを開けて確認する。撫でてやればまた目を閉じる。
「陸はそのコが気に入ったんだな」
俺に課題を教えてくれている京極様が言う。
いや、一応遠慮はしたんだ。京極様に家庭教師の真似事させるなんて、恐れ多い。時給3桁万円4桁万円とかの世界だよ
「陸、この表現は分かり辛い。むしろ…………」
ホントに頭いいな、この人。そして部下思いだ

タカツグが尻尾をふった。見ると管理人さんがいた。ご主人様に飛び付きたいだろうに、飲み物を持っていたから大人しくしている
「お茶をお持ちしました」
「タカツグ、ホントにいいコですね」
「とってもいいコに育ちました」
言いながら泣きそうな顔になっている。そうだよな、こんなにいいコとお別れしなきゃいけないなんて……可哀相過ぎる。それでも京極家に引き取られるだけマシなのかな。でも……
「どうにかならないんですか?」
部下思いの京極様なら、管理人さんが頼めば何とかしてくれそうな気がする。俺の言葉で管理人さんの顔が少し変化する。
「…………陸は、ピレニーズが好きなのか、タカツグが好きなのか」
「タカツグが好きです!」
ぐぅ……と呻きながら京極様が片手で顔を覆った
??
「ピレニーズは可愛いですけど…タカツグは別格です。もともと心やさしいんでしょうけど、管理人さんがきちんと躾たからこんなに頭が良くて優しい子になったんだと思って。」
「…………そう。」
「壮大な名前をいただいただけあるなぁ。カッコイイぞ。」
「陸、それは……」
京極様が何かを言いかけてやめた。タカツグの頭を撫でると気持ちよさそうに目を細める。う~ん、可愛い。
「タカツグは手放さなければいけない事情がある。うちで引き取るから陸も来るといい」
「そう、ですね…………。」
コンちゃんが嫌がるから難しいけれど。でも…………
『この小説はね、アナザーストーリー?があるらしいの。京極がすっごい人気で、陸じゃあふさわしくないとか、いや、あの京極様だからこその千葉×京極のリバ有り勢とか、いや、ソコはやっぱり王道の猪瀬でしょ、とか。公式からの発表前に死んじゃったからわかんないんだけど、多分……そこなら陸はモブの世界。時間軸はだから、同じく大学のはず』

「長生きするんだぞ」
ぎゅっと抱きついた。つまり、大学卒業後に京極様と会う分には、コンちゃんは心配しないのだ。
俺がコンちゃんを噛んで、二人が直接会いさえしなければ、問題ないのだ。
…………正直に言うと、コンちゃんの事が無ければ素直に尊敬をしていたと思う。世界でも指折りのαなのに、俺みたいな底辺への気遣いも忘れない人。
大学卒業後、俺と京極様がどのような関係になってるか不明だ。側近になるには能力が足りないことは分かっている。
けれど ……関係が完全にゼロにはなりたくないなとは思ってしまう
「会いに行くから」
もふもふの中に顔を埋めた。
「明日は連れて帰れないけれど、すぐ連れて帰るから安心しろ、陸。」
曖昧に笑うしかない。


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