【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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59ー猪瀬

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千葉が早朝に戻ってきた。
青島の家のセキュリティを掻い潜り何とか侵入したらしいが、成果はゼロらしい
青島 が以前使っていたスマホも見つけられなかったとのことだ。
「おそらくスマホはもう コンちゃんとやらの元に届けられているのだろう」
「俺的には二次元 もしくは AI 説が濃厚になっただけな気がするのだが」
「俺の直感はコンちゃんは実在すると言っている。とても、とても興味深い」
「…………そうか」
千葉ほどの高位αが言うのならば、その可能性は高い。
「今日はキャンプだったな。京極の催眠術でどこまで聞き出せるかが鍵だな」
千葉の目が光った。
「そうだな……」
コンちゃんを守りたいと言っていた青島。焚き火の揺らめきでどれだれ催眠が深くなるのか。守ろうとしている人の情報をどれだけ自白してしまうのか。実在しないほうがまだ良かったのに。ふとした拍子にスマートウオッチを触る青島に貴嗣は苛立っていた。コンちゃんの正体が判明すればどうなるか……。それに、千葉もだ。ここまで千葉を翻弄させたコンちゃんに興味を抱いている。
少し、少しだけ青島が気の毒だ。
「…………猪瀬。やっすい同情はよせ。京極はそれすら許さない」
「…………わかっているよ」

青島が荷物を詰めている。リュックを背負おうとしてよろめいた。
…………明らかに筋肉が落ちている。当人も不安そうな顔をしている。何が起きているのかわかってない。
京極様が俺をチラリと見た後に青島に話かけた。顔が強張ってしまった俺に気が付かないように…。
「猪瀬」
千葉が非難するように俺を呼ぶ。
「?猪瀬さん、どうかしたんですか?」
宮下が能天気に訊いてくる
「いいや……」
お前はいいよな。貴嗣様のビッチング能力を知らない。Aの血液型にAAとAOがあるように、αにもΩ因子をもつαもいる。と言ってもΩ因子は微弱でバースを変更するほどのものではない。ただ、そうただ、他のαの催淫フェロモンを感じ取れる者もいたりする程度だ。因みにΩ因子の皆無なαには他のαの香りは感じ取れない。マーキングは別だが。あれは他のαに対する警告だからな
結果、宮下は、貴嗣さまが無理矢理青島のバースを書き換えてるなどと知らないですんでいるのだ。
……知ったらどうするのだろう。
貴嗣様至上主義の俺ですら良心が咎めているのに。何も思わないと信じていた、自分はそんなに弱くないと思っていた。貴嗣様の前には他人の人生なんて蟻ほどの価値もないと。蟻を踏んで、申し訳ないと良心の呵責を覚える人間などいるか?
「猪瀬さん?」
首を振った。
青島が、青島があまりにも馬鹿だからそう思ってしまうのだ。
けれど、何が自分の一番かは分かってる。貴嗣様だ。
…………機械になれればいいのに。


































~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やっぱり一番まともなのは猪瀬さんだね


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