【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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55ー猪瀬

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貴嗣様が、青島と宮下に風呂を勧めている。
…………宮下は不味い。
そう思って止めたが、貴嗣様は拒否された。余り強く言って、青島が宮下のフェロモンを感じとってる事がバレても困る。
貴嗣様は青島が宮下になら油断をしてスマートウオッチを外すと踏んでいるのだ。
…………可能性は高い。ただ、それは貴嗣様が想定している仲間意識では無く、自分を庇護してくれる存在と本能的に位置づけていることが問題なのだ。貴嗣様には怖れ、俺達はその側近で警戒対象と感覚的に察している
…………事実ではあるが。
宮下はビッチングを知らない。ただただ下位αが上位αに狙われてると思っている。自分の身だってソコソコ可愛いし、ソレは自己責任だろうαなんだから、とでも思っているんだろう。ただ、バースまで変更する事だと知っていたら宮下の性格上違った行動に出ていたかも知れない。

「宮下、分かっているな」
青島が去ったあと、貴嗣様がいう。
宮下は赤ベコのように高速で頷き続けた。…………顔色は真っ青だが。
千葉が、青島のスマートウオッチと同じ機種を宮下に渡した。青島のあの様子だと、アプリにはノータッチだ。時計機能だけあれば差し替えても気が付かない。そして一度手に入れれば暗証番号も何もかも入手できる。その後青島に戻すのも簡単だ。
この島は京極家が持つ島で、高度な情報セキュリティシステムになっている。当然、青島のスマートウオッチの電波も追える。それを警戒してかは不明だが、青島が外部と情報をやり取りした形跡はない。
…………違うか、青島は頻繁にスマートウオッチを見ている。連絡を取れたのなら、とっていたはず。『何も何も知らないんだ……』そう言っていた青島。警戒しているのはコンちゃんとやらか。

「宮下 必ず成功させるんだぞ」
千葉が真剣な顔で宮下に告げる。
この旅行で無人になった青島の家に 千葉の部下が忍び込んだのだが何の成果も得られなかったという
『あの男でもダメとは……』
千葉がそういうくらいだから青島の家に向かったのは相当な手練れだろう。それが何の情報も得られずに帰ってくる、青島にそんな対策ができるわけもない。いよいよ『コンちゃんは AI 』説が濃厚になったと俺は思ったのだが 逆に千葉は、コンちゃんは実在すると確信したようだ。
絶対にその面をおがんでやると言っている
千葉を唸らせる程の頭脳を持ったΩがいるとは思えないのだが……。

宮下が風呂へ向かう。
ちらりと貴嗣様を見るとかなり不機嫌な様子だった。
当然だろう、自分の番が他のαと風呂に入るのだ。裸を見るなと注意をしたものの、実際にはそれは難しいだろう。
青島はあれだけ肌身離さず持っていたのだ。今更 脱衣所の洗濯かごにスマートウォッチを置いているとは思えない。
洗い場でスマートウォッチを外して洗っている時が唯一のチャンスだ。となると裸の青島に近寄らざるを得ない。
…………宮下は貧乏クジばかりをひくな……。























































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モブとはそういうもの!
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