【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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フライボートを終えて、這這の体で露天風呂にたどり着いた。
もう、指一本すら動かしたくない。このままに気を失ってしまいたい位だ。

京極様がくすりと笑って言った
「体を洗ってやる」
いやいや!
覚醒しました!
京極様にそんなことはさせれない!
何とか、体を洗って湯船に浸かる……
寝落ちしそうになって慌ててあがる。
自分のベッドに戻ると、そのまま寝落ちした。

「青島、晩飯だぞ~」
宮下に起こされた
そこで、明日はキャニオニングで明後日はブッハと猪瀬さんに告げられた
体力持たないです!って抗議したら、皆にため息をつかれた。
しょうがないだろ!?上位連中と下位の体力差を考えてくれ。俺が湯船に沈みそうにになってた時に、まだまだ海で遊んでいた上位αを基準にしないでくれ
読書とかさぁ、ドライブとか何かしらあるでしょ、肉体を酷使しないあそびがさ!
「ブッハかフライボートか、二者択一だ。体力のない青島に選ばせてやる。どっちがいい」
猪瀬さんは折れてくれない。チラリと疲れ切った宮下を見る。
京極様が俺とタンデム滑空してる時、宮下は千葉さんのスパルタコーチングを受けていた。ドルフィン体験でぐったりになっていた俺同様、宮下も死んでいた。縋り付くような目で見られた
「ブッハかフライボートか…」
ブッハで宮下の目に希望が見えフライボートという言葉で 宮下の目が淀んだのが分かった
「…ブッハでお願いします」
宮下が俺に感謝の目を向けてきた。いいってことよ。
「貴嗣様」
猪瀬さんが、京極様に呼びかけた
??
生気が戻ったはずの宮下は再び死んだ魚の目になっている。

あれ?
ブッハでいいんだよな?
口パクでこっそり宮下に尋ねると、青褪めたままに頷いた。

「陸、宮下と密談か?楽しそうだな?」
「楽しくありません!!」
…………全否定をされた。
「み、宮下、それはそれで酷くね?」
「あ、いや!その……」
宮下が口をパクパクさせた。うん、悪気はないんだよなぁ。咄嗟に否定しちゃっただけって感じ。宮下に嫌われてる感はゼロだし。寧ろ猪瀬さんの方が俺に冷たいし。でも、ちょっとだけ反撃していいよな、ほんの少しだけだが寂しかったし
「酷い、俺、けっこう宮下のこと好きなのに……」
「う、あ……」
「「「…………」」」
わざとらしい泣き真似をしてやってやって顔をあげたら…………
皆が何とも言えない表情をしていた。
やはりα男のブリッコ泣き真似は寒いか。う~ん。
「あ、青島!お前は俺以外も好きだよな!」
宮下に唾を飛ばす勢いで言われる
「猪瀬さんとか千葉さんとか京極様とか……!」
「え……」
その返しが来るとは思ってもなかったから一瞬どもる
だってさ、猪瀬さんも千葉さんも冷たいし、俺とあんまり関わりたくない雰囲気を出すんだよ。京極様は尊敬はするけど、コンちゃんを巡ってのライバルな訳で……う~ん
「千葉さんのフライボート、かっこよかったですよね。見惚れちゃいました」
と無難に返す。
「「「…………」」」
なんの間?
「猪瀬」
「はい、フライボートにします」
え?
「いやいや!ブッハじゃないと俺死んじゃいます!」
「寧ろ死ね!」
俺がいい終える前に猪瀬さんが怒鳴りかえしてきた
直後に、ありえない程の威圧が場を支配した。
猪瀬さんがうずくまり、隣の千葉さんは箸を落とし、宮下は…意識を失ってる?
「京極!まだ第一段階だろ!説明できるのか!」
千葉さんが渾身の力で叫ぶ。直後に京極様の威圧が弱まった。
「「…………」」
「……猪瀬。仲間に死ねはない。冗談でも言って良いことと駄目な事がある」
え?
いやいやいや、あなたの威圧の方がやっちゃ駄目な事ですが!?
相当な衝撃だったのだろう、猪瀬さんは脂汗の滲む顔をのろのろとあげて言った。
「申し訳ありません。青島、済まなかった。」
「…………いえ」

なんだろう、猪瀬さんの目が……謝罪というよりも憐憫?俺を憐れんだ目でみてでいる?
トントントン
京極様が指でテーブルを叩く。
「…………貴嗣様、今日はあまり食欲がないので、これで下がらせていただきたいのですが…」
「分かった。宮下も連れていけ。…陸、食べようか」
見ると宮下もぐったりとしていて、食事どころではなさそうだ。
……大丈夫かな、おれも付き添うか、そう思った俺に千葉さんが言う
「青島、食え」
「え、いえ、俺は」
「青島、食え」
……千葉さんが俺に強く言うのは珍しい。これには従っておいたほうが良いのだろうな。
……
昨日までとは違い、まるで通夜のように静かな夕食だ。
…………
まぁ、休肝日が出来たのだと思っておこう
明日はキャニオニングだし……
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