【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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バナナボート
なんだかんだで、先頭に乗るのも一番後ろに乗るのも、どっちも楽しかった。
ただ、やっぱり秋口。
快晴で気温は高くても海水温はそれなりに下がってるわけで……遊び終わると寒い!宮下の唇は真っ青だ。
「もう、このまま温泉に浸かっちゃいましょう!」
斜行エレベーターで部屋に戻るのに、この寒さなのに露天風呂を素通りするなんてありえない!宮下の腕を掴んで京極様に言った。
「ひぃっ」
「「「…………」」」
「確かに全員が部屋まで戻るのは時間の無駄だな。猪瀬たちは私達の分も着替えを持って来てくれ。私達は先に入ってる」
「え"」
「わかりました」
宮下がぶるぶると震えている。唇どころか顔色まで蒼白になっていて、これはさっさと湯船に突っ込まないと風邪を引くだろう
「では着替えを取ってきます」
千葉さんがそう言うと
「俺も!」「俺も!」「俺も……!」皆が勢いよく挙手をする。我先にって感じ
お前らは ダ○ョウ倶楽部か!
けど、お決まりのどうぞどうぞという譲りあいはなくゾロゾロとエレベーターに向かっていった。
終わった、と宮下がつぶやいた
「そうだな。宮下はもう少し体力をつけた方がいい。αして終わりになるぞ」
「いやいや、宮下で終わりだったら俺どうなるんですか。京極様におんぶに抱っこ状態でしたけど」
「陸はそのままでいい」
う~ん、なんか納得がいかない

結局、第1弾は俺と京極様と宮下の3人で風呂に入ることになった。宮下はものすごい勢いで水着を脱いで脱衣場を出でいく。
そんなに寒かったか。
俺と京極様が並びで頭や体を洗ってると、 ドボンと湯船に浸かる音がした。宮下、かけ湯だけで済ませたな。
お湯が汚れるっつーの。
まぁ、ここは源泉かけ流しのかけ流し度合いがすごいし、なんとかなる……のか?

ちらりと横目で見ると、湯船の端の方に宮下の背中が見えた。海を見ながら浸かる温泉、気持ちいいよな!

俺もちゃちゃっと洗って宮下の方へ行き声をかけた。
「サイコーだよな」
「ああ」
宮下が振り返りながら返事をし…息を飲んだ。
「??」
「じ、事故です事故!故意じゃありません!」
自己?じこ?事故?故意?濃い?恋?宮下も猪瀬さんも、突然脈絡のない事をいう。そして……
「過失ならば許されるとでも?」
なんでか、京極様には通じてるんだよな。しかも声がマジで怖い。振り返りたくない。
文脈から、過失事故ってことと思われるが……事故?
よくわからんが、宮下は気の毒なくらいに怯えている。腰を直角に折り謝罪している。湯船じゃなきゃ土下座をしているだろう
「あのっ京極様!」
振り返ると、真後ろに京極様がいた。表情が全く無い人間がこんなにも怖いものとは思ってもなかった。


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