【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

文字の大きさ
上 下
45 / 243

45-猪瀬

しおりを挟む
……味をしめたらしい。
何がっていうと、バナナボートとフライボートだ。
貴嗣様が、明後日のスケジュールにブッパかフライボートをいれるように言ってこられた。
…………
休息日の予定だったのですが。バーベキューでゆったりしようと。
αといえども、さすがにキツイです、この日程。
もう、ブッパ一択だ。

「あ~、京極拗らせすぎ。恋愛童貞って行動がアホ過ぎて笑える」
千葉が遠慮なくぶった斬る。
「……」
そう、貴嗣様は入れ喰い状態で欲をもて余すという経験がない。
青島がΩだったらこんなまどろっこしい事もせず、さっさと噛んで終わっていたであろうに。
心だの何だのなんて貴嗣様であれば後からいくらでも引っ張れる。奪われないように所有痕を打ち込むことが重要なのだ。
そう、青島はΩになり次第、意思など関係なく番にされるだろう。


「ブッハなんて、アレだろ、二人羽織狙い。体力のない青島がぶっ飛ばされないようにとか言って足をまた絡ませるんだろ。で、今日のは端からみてたら、完全に駅弁。駅弁したいからフライボートって本当ぶっ飛んでる」

ケタケタ笑う千葉にため息しか出ない。
貴嗣様は俺たちαから見ても天上人、だったはずなのに。冷静に冷徹に物事を判断し益不益で取捨選択を行ってきた方だったはずなのに。それにより京極グループはさらなる発展を遂げてきたというのに。
それが……番(未来の)にさわる為にこんなくだらない事を俺にさせるなんて……。俺、これでも数千万円の契約を結べる人間よ?貴嗣様の最終承認は必要だけどさ。
それが何だって……

「しっかしまぁ、青島の自滅度合いも笑えるな。」
「そうだな…」
バナナボートの操縦者は察しのいいやつだった。貴嗣様が青島を抱きかかえていたのを見て、これはと思ったのだろう。故意に落とすように操縦しまくっていた。そして宮下の筋力を褒めた青島の口を閉ざさせようとした。突然の旋回で舌を噛ませた。軽い怪我で済まさせるあたり技術力は相当なものなのだろう。大怪我であれば、貴嗣様が黙っていない。
貴嗣様は、彼に報奨金を与えるようにと言っていた。青島と密着できたことが本当に嬉しかったのだろう。恋愛童貞、か…

「昨日なんて風呂に宮下を誘うし、揃いのパンツだな!なんて笑いながら宮下に言うし。んな訳ねえっつーの」
くつくつ嗤いながら千葉が言う。
「…………」
スーツケースの鍵を開ける程度、千葉には造作もないことだ。ただ、バナナボートで緩んだ青島の警戒心を再び強める事に益はない。だから、青島には客用の下着を渡した。
白いブリーフを選んだのは千葉だ。戻ってきた貴嗣様が千葉に近寄って何かを言っていたのが見えたが、内容は…………想像したくない。
貴嗣様は孤高の存在なのだ。決してそんな事で喜ぶ様な方ではないっ
「いや、上位になればなるほど変態になるぞ」
…………、千葉よ。お前、今、自分も変態と認めたようなものだぞ?





ーーーーーーーーーーーーーーーー
やっと、シリアス展開に突入。
元々はシリアス予定だったのに、作者の性癖が時々、暴走していました。
そちらを気にいってくださった方、スミマセン
読者の皆様、はなれてい~か~な~い~で~( ゚д゚)

しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜

車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

処理中です...