【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

文字の大きさ
上 下
45 / 247

45-猪瀬

しおりを挟む
……味をしめたらしい。
何がっていうと、バナナボートとフライボートだ。
貴嗣様が、明後日のスケジュールにブッパかフライボートをいれるように言ってこられた。
…………
休息日の予定だったのですが。バーベキューでゆったりしようと。
αといえども、さすがにキツイです、この日程。
もう、ブッパ一択だ。

「あ~、京極拗らせすぎ。恋愛童貞って行動がアホ過ぎて笑える」
千葉が遠慮なくぶった斬る。
「……」
そう、貴嗣様は入れ喰い状態で欲をもて余すという経験がない。
青島がΩだったらこんなまどろっこしい事もせず、さっさと噛んで終わっていたであろうに。
心だの何だのなんて貴嗣様であれば後からいくらでも引っ張れる。奪われないように所有痕を打ち込むことが重要なのだ。
そう、青島はΩになり次第、意思など関係なく番にされるだろう。


「ブッハなんて、アレだろ、二人羽織狙い。体力のない青島がぶっ飛ばされないようにとか言って足をまた絡ませるんだろ。で、今日のは端からみてたら、完全に駅弁。駅弁したいからフライボートって本当ぶっ飛んでる」

ケタケタ笑う千葉にため息しか出ない。
貴嗣様は俺たちαから見ても天上人、だったはずなのに。冷静に冷徹に物事を判断し益不益で取捨選択を行ってきた方だったはずなのに。それにより京極グループはさらなる発展を遂げてきたというのに。
それが……番(未来の)にさわる為にこんなくだらない事を俺にさせるなんて……。俺、これでも数千万円の契約を結べる人間よ?貴嗣様の最終承認は必要だけどさ。
それが何だって……

「しっかしまぁ、青島の自滅度合いも笑えるな。」
「そうだな…」
バナナボートの操縦者は察しのいいやつだった。貴嗣様が青島を抱きかかえていたのを見て、これはと思ったのだろう。故意に落とすように操縦しまくっていた。そして宮下の筋力を褒めた青島の口を閉ざさせようとした。突然の旋回で舌を噛ませた。軽い怪我で済まさせるあたり技術力は相当なものなのだろう。大怪我であれば、貴嗣様が黙っていない。
貴嗣様は、彼に報奨金を与えるようにと言っていた。青島と密着できたことが本当に嬉しかったのだろう。恋愛童貞、か…

「昨日なんて風呂に宮下を誘うし、揃いのパンツだな!なんて笑いながら宮下に言うし。んな訳ねえっつーの」
くつくつ嗤いながら千葉が言う。
「…………」
スーツケースの鍵を開ける程度、千葉には造作もないことだ。ただ、バナナボートで緩んだ青島の警戒心を再び強める事に益はない。だから、青島には客用の下着を渡した。
白いブリーフを選んだのは千葉だ。戻ってきた貴嗣様が千葉に近寄って何かを言っていたのが見えたが、内容は…………想像したくない。
貴嗣様は孤高の存在なのだ。決してそんな事で喜ぶ様な方ではないっ
「いや、上位になればなるほど変態になるぞ」
…………、千葉よ。お前、今、自分も変態と認めたようなものだぞ?





ーーーーーーーーーーーーーーーー
やっと、シリアス展開に突入。
元々はシリアス予定だったのに、作者の性癖が時々、暴走していました。
そちらを気にいってくださった方、スミマセン
読者の皆様、はなれてい~か~な~い~で~( ゚д゚)

しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。 ※(3/14)ストック更新終わりました!幕間を挟みます。また本筋練り終わりましたら再開します。待っててくださいね♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

処理中です...