【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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「マジか…………」
今朝、あんだけ体調が悪そうだった宮下がまた酒を飲んでいる。
どんだけ酒好きなんだろうか
でも、なんか…………
「陸、どうかしたのか」
「いえ、なんか宮下無理して飲んでるように見えて」
「……嫌なことでもあってやけ酒でもしているのかもしれないな」
「でも、あんな飲み方 していたら体を……」
「自業自得だ」
京極様がきっぱりと言う。ちょっと冷たくない?
俺の反感が伝わったのだろう
「飲む飲まないは個人の自由だ。それを私が制限するのは違うだろう?」
「「「……」」」
う~ん、確かにそうなんだけど。猪瀬さん達も気まずそうにこっちを見る。何で誰も止めないの?上が認めているから?そんなイエスマン、学生のうちから必要な事?
あぁでも、猪瀬さん達は半分会社員みたいなもんだから、仕方ないのか?でも……
京極様はため息をついたのち、俺に耳打ちした。
「陸は優しいな。そうだな、ノンアルコールビールがあるから、隙を見て差し替えるとしよう。だから、陸は宮下を気にかけるな」
そっか、宮下はだいぶ回っているから、ノンアルになっても気がつかない可能性が高い。
「いいですね、それ!」
京極様がメイドにノンアルコールビールを持ってこさせた。
俺はそれを奪い取り、取り皿をもって宮下の隣の席に移動する。
「笠井、席交代して」
「「「え!?」」」
いや、そんなに驚くところ?
まぁ、笠井が嫌がるのはわからんでもない。京極様の隣は緊張するだろう、飯の時間くらい気兼ねなく過ごしたいよな。とはいえ、宮下の為にも退いて頂こう
「い、いやぁ、青島は元の席の方が良いんじゃなかぁ?」
何故、そこで京極様をみる。ビビっているのがバレるぞ?
「あ、あおしま、戻った方が…」
宮下までそんなに事をいう。赤かった顔色も白くなってる。一瞬で酔いがさめたようだ。
「もう飲まない?ヤケ酒は体に良くない。心配なんだ」
宮下がぶんぶんと首をたてにふる。
「もう飲まないから席に戻れ……!」
いや、そんな涙目で言う事?まぁ確かに食事中に席を立つのはマナー違反だけど。京極様ってその辺のマナーに厳しい人なのか?でも懇親会だしなにより……
「陸、こっちへ」
椅子を引かれた。低い声に圧がある。ほぼ命令だ。皆、顔を歪めた。上位からのこれはかなりキツイ
「陸」
「…………はい……。」
席に戻ると圧が弱まった。
ふぅ……とどこからともなく息が漏れた。
「マナー違反をして申し訳ありません。てっきり無礼講なのかと思ってました」
昨日は宮下も俺の方に移動してきてベク杯でサシ飲みしたからさ。そういうのがOKなのかと思うじゃん
「陸と宮下は違う」
ああ、そういうことね。
あれだ。αの階級社会ってやつ。下位のお前に許した記憶はねぇってヤツ。唇をかんだ。
「陸…………誤解するな。」
京極様が手を伸ばして俺の頭を撫でてきた。いや、誤解もなにもないだろ。
「でも、陸……ばつ」
頭を撫でる手が項に移動した。ぞわりとして咄嗟にその手を弾き返した。
バシンと音が響く。場が静まりかえる。
「あ……すみませんっ」
どうしよう?流石に京極様に失礼だ。
「いや、私が急に撫でてしまったから驚いたんだろう。気にするな」
頭をポンポンとされた
……
京極様って寛容だよな。
俺だったらムッとするところだけど。
コンちゃんの言うイメージと一致しない。
そういえば、さっき京極様が何かいいかけてた。驚いて聞き逃したけど……。当人も気にされてないみたいだから、ま、良いか


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