【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

文字の大きさ
上 下
31 / 243

31ー猪瀬

しおりを挟む
青島と貴嗣様が戻ってきた。二人の距離感が少し縮まったようにみえる。貴嗣様の纏う空気が柔らかい。二人っきりを堪能されたのだろう

「どうだった?」

宮下が聞く。

「うん、楽しかったよ。波とかザバザバきてさ~。宮下も体調回復したら行こうぜ」

…………藪をつついて蛇……。宮下も学習能力が無いのでは?
人がイイだけでもあるが。宮下は上位αのくせして他人が好きだ。下位αの博愛主義に似ているが、一方で上位だけあって能力は高いから、貴嗣様と違った人望がある。
神のように崇め奉られ、自然と信奉者が増えていく貴嗣様と、共に苦境を乗り越えてこうぜ!といったリーダー的な一体感を与えつつ信頼出来る能力をもつ宮下。……真逆だな。だからか、このメンバーの中で青島が一番なついている。

「あ、ああ……まだまだ体調微妙だから今度な。」
宮下が貴嗣様をチラリと見ていう。俺は敵じゃありません、だから睨まないで!そう言ってる。
「あの辺、時々大波くるから、あのシューズがあって良かったろ」
宮下が貴嗣様を援護射撃するが、相手はあの青島だ。むしろ…………雉も鳴かずば撃たれまい、だ
「うん。あのシューズ良かった。京極様、あれ何処のメーカーのですか?俺もほしいので」
「……あれは、陸がここに初めて来た記念だ。研修旅行の景品だと思え」
やはり、プレゼントとは思われてなかったか。スリッパとかと同等にここの装備品と思われていたか。
「え?ありがとうございます!あれすげぇよかったんで。」
青島に喜ばれて貴嗣様はご満悦だ。
「あ、じゃぁ宮下ともオソロなんだ。だから、あれの良さを知ってたんだな」
「「「…………」」」
貴嗣様が宮下にプレゼントなんてする訳がないし、宮下と青島が同じ物を持つなんてなったら……
「あ、いや!俺はちょっと前に京極様に記念品は何が良いか聞かれたからタブレットをお願いして貰い済みなんだよ!!!」
「あ、そうなんだ」
青島が納得した事で宮下が深い深いため息をついた
助かった……と小さな呟きが聞こえた。
首の皮一枚ってところだけどな。散弾銃がむけられてはいるぞ

「体調、まだあんまり良くないんだ?」
「あ、ああ。夕飯にはまたちょっと飲みたいからさ、その為に安静にしておきたいんだよ」
「なんだよ、それ。今日位飲まない方が良くね?」
『俺だってそうしたいよ!!』
と、ツッコミいれてるんだろうな、心の中で。
「陸、飲みたいなら飲ませてやればいい。個人の自由なのだから」
「「「…………」」」
いや、ソレ、貴方だけは言ってはいけないヤツです。






しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜

車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

処理中です...