30 / 243
30
しおりを挟む
斜行エレベーターで下る。
露天風呂の脇に細い道が砂浜まで続いていた。
人工ものなのかもしれない。逆サイドは岩場で磯遊びが出来そうな感じだし。
因みに俺は岩場のほうが好きだ。ちょっとアスレチック感があるから。
アスレチック感…………
が、ねえ!
いや、ちょっとはあるんだよ、段差の大きい所とか潮溜まりとか?
でも、岩をよじ登ろうとすると、京極様が横からスルリというかタンタンタンって忍者みたい登って手を先に述べてくるのさ。
差し出された手を拒否るのも違うからと掴むとグイッと引っ張られて次の瞬間には上にいるのだ。
潮溜まりにいたってはお姫様抱っこされてガンって飛び越える。
なんつー筋力…………。俺、それなりに重いけどね?上位種ではないけれど一応αだから、βよりは……βの平均身長よりは1cm上だよ?そこそこ筋肉だってあるから、重いよ?それなのにうさぎを抱っこするみたいに手軽に……
いや、流石に姫抱っこは抵抗したよ?けど、やり辛くしただけみたいで空中で京極様がバランス崩して、あわやって感じだったから、もう無抵抗……というか首に腕を回すという協力体制をとっている。
こ~ゆ~のって、行けないとこまでいったら引き返すもんじゃないの?ああ、でも京極様は行ける訳だから……う~ん
まあ、迷惑かけているけれど京極様の機嫌は良いから問題ないか。
…………俺のプライドの問題点はあるけど。とりあえず、部屋に戻ったら筋トレしよう。昨日は酔いつぶれてしまってやってないから、いつもの二倍だな。
しかし、長閑だ。
ちょっと一休み
ずっと波音しか聞こえてこない。船とか車とかの音もないなぁ。
「過疎地なんですか、ここ」
「うちが所有者している島だ。住民は管理人位しかいない」
………ヲイヲイ
マジか。規模、ちがくね!?
でも、納得。
露天風呂も不用心だし、そこからのエレベーターだって鍵もない。防犯意識低いなぁと思っていたら、そんなオチか。
一番近い島でも……どれくらいの距離だろう。
目を眇めると
「近そうに見えるけれど、実際には離れている。潮の流れも特殊で泳いで他の島を目指すのは自殺行為だ」
「ボートかヘリか、ですか」
凄いなぁ。究極のプライベート空間だな
「ああ、それ以外にこの島を出る手段はない」
「………」
何故かひやりとした。よく分からないけど……そうだ、今の嗤い方が怖いんだ。
咄嗟にスマートウオッチを庇った。
京極様が目を眇めた
「筏などでは転覆するし、なにより作っている間に見つける。逃げる手段はない。その為に買い取った島だ」
怖い
威圧とも違う、けれどなんかしらの圧……そうだ、肉食動物を見た時の恐怖感だ。ギラギラとした目……
本能的にじりっと後ずさり、そして、足を取られた。岩場なんて凸凹だらけ、足元も見ずに後ずされば転んでも仕方ない。
「うわっ」
が、後ろは海だ。
ポスン
次の瞬間には京極様の腕の中にいた。どうやら引き寄せてくれたらしい。
「先代が、だ」
え?
ああ、さっきの話……。
「もう使わなくなって、でも、勿体無いだろう?だから研修とか家族旅行とかで使っているんだ。」
イヤイヤ、ヘリでしか来れない所を持ってる方が勿体無くない!?
どういう金銭感覚なんだ
あまりにも常人離れしていて、ついつい笑ってしまった。
露天風呂の脇に細い道が砂浜まで続いていた。
人工ものなのかもしれない。逆サイドは岩場で磯遊びが出来そうな感じだし。
因みに俺は岩場のほうが好きだ。ちょっとアスレチック感があるから。
アスレチック感…………
が、ねえ!
いや、ちょっとはあるんだよ、段差の大きい所とか潮溜まりとか?
でも、岩をよじ登ろうとすると、京極様が横からスルリというかタンタンタンって忍者みたい登って手を先に述べてくるのさ。
差し出された手を拒否るのも違うからと掴むとグイッと引っ張られて次の瞬間には上にいるのだ。
潮溜まりにいたってはお姫様抱っこされてガンって飛び越える。
なんつー筋力…………。俺、それなりに重いけどね?上位種ではないけれど一応αだから、βよりは……βの平均身長よりは1cm上だよ?そこそこ筋肉だってあるから、重いよ?それなのにうさぎを抱っこするみたいに手軽に……
いや、流石に姫抱っこは抵抗したよ?けど、やり辛くしただけみたいで空中で京極様がバランス崩して、あわやって感じだったから、もう無抵抗……というか首に腕を回すという協力体制をとっている。
こ~ゆ~のって、行けないとこまでいったら引き返すもんじゃないの?ああ、でも京極様は行ける訳だから……う~ん
まあ、迷惑かけているけれど京極様の機嫌は良いから問題ないか。
…………俺のプライドの問題点はあるけど。とりあえず、部屋に戻ったら筋トレしよう。昨日は酔いつぶれてしまってやってないから、いつもの二倍だな。
しかし、長閑だ。
ちょっと一休み
ずっと波音しか聞こえてこない。船とか車とかの音もないなぁ。
「過疎地なんですか、ここ」
「うちが所有者している島だ。住民は管理人位しかいない」
………ヲイヲイ
マジか。規模、ちがくね!?
でも、納得。
露天風呂も不用心だし、そこからのエレベーターだって鍵もない。防犯意識低いなぁと思っていたら、そんなオチか。
一番近い島でも……どれくらいの距離だろう。
目を眇めると
「近そうに見えるけれど、実際には離れている。潮の流れも特殊で泳いで他の島を目指すのは自殺行為だ」
「ボートかヘリか、ですか」
凄いなぁ。究極のプライベート空間だな
「ああ、それ以外にこの島を出る手段はない」
「………」
何故かひやりとした。よく分からないけど……そうだ、今の嗤い方が怖いんだ。
咄嗟にスマートウオッチを庇った。
京極様が目を眇めた
「筏などでは転覆するし、なにより作っている間に見つける。逃げる手段はない。その為に買い取った島だ」
怖い
威圧とも違う、けれどなんかしらの圧……そうだ、肉食動物を見た時の恐怖感だ。ギラギラとした目……
本能的にじりっと後ずさり、そして、足を取られた。岩場なんて凸凹だらけ、足元も見ずに後ずされば転んでも仕方ない。
「うわっ」
が、後ろは海だ。
ポスン
次の瞬間には京極様の腕の中にいた。どうやら引き寄せてくれたらしい。
「先代が、だ」
え?
ああ、さっきの話……。
「もう使わなくなって、でも、勿体無いだろう?だから研修とか家族旅行とかで使っているんだ。」
イヤイヤ、ヘリでしか来れない所を持ってる方が勿体無くない!?
どういう金銭感覚なんだ
あまりにも常人離れしていて、ついつい笑ってしまった。
130
お気に入りに追加
1,572
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。


義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる