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25-猪瀬
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嘔吐表現あります。ご注意下さい
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そうこうして誰得にもならない宴会が終わった
いや貴嗣様のみが得をした宴会が終わった。
スマートウォッチの付け替えを目的に残っていた千葉はスケジュールがずれ連れ込んだし、宮下に至っては貴嗣様に汚物を見るような目で、それを部屋に連れて行けと言われて終わった。
青島は完全に潰れた。
このままでは不味いからと言って貴嗣様が青島をトイレに連れて行き吐かせていた。
貴嗣様が青島の喉奥に指を入れる。えずき、かなり苦しそうにしていた。
貴嗣様がこちらも見ずに手を伸ばした。ミネラルウォータを渡す。
「陸、もう少し吐いておいたほうがいい。急性アルコール中毒になってしまう」
柔らかい声だ。
青島がノロノロと水を受け取り少しだけ飲んだ。
また、指を入れ吐かせる。
「うぐっ、うう…」
何度も何度も繰り返す。まるで拷問のようだ……
「も、むりぃ~」
「陸、頑張って。」
優しい声に、鳥肌がたった。
青島が力無く首をふる。
「もぅ……だめ…」
涙や涎でどろどろになった顔で貴嗣様を見上げる。荒い息使いに貴嗣様の指を加えた顔……。
貴嗣様が唾を飲み込む音がした。
え?今?この状況で!?
青島の焦点のあってない瞳が涙を湛えて貴嗣様を見……カクリと落ちた。体力の限界がきたのだろう
「猪瀬、先に戻れ」
欲に掠れた声で貴嗣様が言う
「…………あまり無体なことは……」
「猪瀬、コレは誰のモノだ?」
「…………貴嗣様のです」
ナイフを首元に当てられた様な緊張感に声が震える。
今、ではなかったのだろう、もっと前から……
「先に戻れ」
「…はい……」
暫くして貴嗣様に抱えられて居室に戻ってきた青島はまるで死体のようだった。ぷらぷらと揺れる手足。まぶたの落ちた蒼白な顔。血の気が全く無い唇には……白いナニカがついていた
「「「「……………………」」」」
軽い罰?
天狗杯が?
この状態が?
貴嗣様が青島をそっとベッドにおろすと、控えていた看護師が青島に点滴を開始した。そう控えていたのだ。
いつから、どこからが計算だったのか。
看護師が離れると貴嗣様がリモコンを操作した。可動壁が俺たちと貴嗣様達を分断した。元々横並びだったツイン客室をぶち抜いただけの造りだ。壁は可動壁だから、防音性には欠ける。けれど、その音を拾ってはいけない。
貴嗣様の独占欲の強さを思いしらされた。行為の声を聞いたとなれば……
くじ引きとはいえ逆端の千葉が羨ましい。…………いや、恐らく千葉は端を狙った。やり方は分からないが。
可動壁が完全に閉まる。
皆、押し黙った。
αというものは番を甘やかす傾向にある。
一方で何処までも酷薄になる生物でもある。
外を望む番の脚の腱を切るという話は珍しい事ですらない。
「「「…………」」」
番にさえ、青島にさえ、あんな状態にして、その上更に、こんな事ができてしまうのが貴嗣様なのだ。
怖ろしい
そして俺たちはそんな方の部下なのだ……。
青島、お前は正しいよ。
コンちゃんの存在を極秘にする、それは正しい。
そして、極秘のままに別れろ。今ならまだ間に合うかもしれない。続ければボロが出る。コンちゃんは死んだほうがマシな目にあう。自死すら出来ない環境下で……
嘔吐表現あります。ご注意下さい
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そうこうして誰得にもならない宴会が終わった
いや貴嗣様のみが得をした宴会が終わった。
スマートウォッチの付け替えを目的に残っていた千葉はスケジュールがずれ連れ込んだし、宮下に至っては貴嗣様に汚物を見るような目で、それを部屋に連れて行けと言われて終わった。
青島は完全に潰れた。
このままでは不味いからと言って貴嗣様が青島をトイレに連れて行き吐かせていた。
貴嗣様が青島の喉奥に指を入れる。えずき、かなり苦しそうにしていた。
貴嗣様がこちらも見ずに手を伸ばした。ミネラルウォータを渡す。
「陸、もう少し吐いておいたほうがいい。急性アルコール中毒になってしまう」
柔らかい声だ。
青島がノロノロと水を受け取り少しだけ飲んだ。
また、指を入れ吐かせる。
「うぐっ、うう…」
何度も何度も繰り返す。まるで拷問のようだ……
「も、むりぃ~」
「陸、頑張って。」
優しい声に、鳥肌がたった。
青島が力無く首をふる。
「もぅ……だめ…」
涙や涎でどろどろになった顔で貴嗣様を見上げる。荒い息使いに貴嗣様の指を加えた顔……。
貴嗣様が唾を飲み込む音がした。
え?今?この状況で!?
青島の焦点のあってない瞳が涙を湛えて貴嗣様を見……カクリと落ちた。体力の限界がきたのだろう
「猪瀬、先に戻れ」
欲に掠れた声で貴嗣様が言う
「…………あまり無体なことは……」
「猪瀬、コレは誰のモノだ?」
「…………貴嗣様のです」
ナイフを首元に当てられた様な緊張感に声が震える。
今、ではなかったのだろう、もっと前から……
「先に戻れ」
「…はい……」
暫くして貴嗣様に抱えられて居室に戻ってきた青島はまるで死体のようだった。ぷらぷらと揺れる手足。まぶたの落ちた蒼白な顔。血の気が全く無い唇には……白いナニカがついていた
「「「「……………………」」」」
軽い罰?
天狗杯が?
この状態が?
貴嗣様が青島をそっとベッドにおろすと、控えていた看護師が青島に点滴を開始した。そう控えていたのだ。
いつから、どこからが計算だったのか。
看護師が離れると貴嗣様がリモコンを操作した。可動壁が俺たちと貴嗣様達を分断した。元々横並びだったツイン客室をぶち抜いただけの造りだ。壁は可動壁だから、防音性には欠ける。けれど、その音を拾ってはいけない。
貴嗣様の独占欲の強さを思いしらされた。行為の声を聞いたとなれば……
くじ引きとはいえ逆端の千葉が羨ましい。…………いや、恐らく千葉は端を狙った。やり方は分からないが。
可動壁が完全に閉まる。
皆、押し黙った。
αというものは番を甘やかす傾向にある。
一方で何処までも酷薄になる生物でもある。
外を望む番の脚の腱を切るという話は珍しい事ですらない。
「「「…………」」」
番にさえ、青島にさえ、あんな状態にして、その上更に、こんな事ができてしまうのが貴嗣様なのだ。
怖ろしい
そして俺たちはそんな方の部下なのだ……。
青島、お前は正しいよ。
コンちゃんの存在を極秘にする、それは正しい。
そして、極秘のままに別れろ。今ならまだ間に合うかもしれない。続ければボロが出る。コンちゃんは死んだほうがマシな目にあう。自死すら出来ない環境下で……
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