【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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24-猪瀬

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青島は大分出来上がっているようだ。

青島が着用しているスマートウオッチはΩの首輪同様、暗証番号でしか外れない仕様だ。
スマートウオッチを見た時点で貴嗣様は同じスマートウオッチとベク杯と手配した。コンちゃんからのプレゼントかは不明だが、あんな風に愛おしそうに触れる物を貴嗣様が許すわけがない。その行為は貴嗣様が青島に与えた物にしか許されないのだ。
 貴嗣様は青島がスマートウオッチを撫でたのを見て即断された。青島を昏倒させて、今のスマートウォッチを貴嗣様が用意したソレと交換させると。

 青島の顔が赤い。かなりまわってきているのだ。宮下は意図を理解しないままに"青島を酔い潰せ"という指令を実行している。お互いに注ぎあっているが、おかめ杯の宮下と天狗杯の青島では勝負は明白だ。
 俺は意識していなかったが、アミダクジの際、そうなるよう千葉と貴嗣様が線を付け加えたのだろう。風呂に誘われた為だ。とんだもらい事故だ

 貴嗣様は暗示能力が高い。酔わせるより半催眠状態にして聞き出す方が青島の為にも良いのだが、貴嗣様はそれを選ばなかった。
 これは罰なのだ。コンちゃんに繋がるモノを装着している青島への軽い罰。明日、青島は酷い二日酔いに苦しむだろう。既に笑い上戸になっているから、確定路線だ。

 宮下も壊れて歌いはじめた。……青島とだいぶ距離が近いな。
 恐る恐る貴嗣様を見る。視線が冷たい。
「「「……」」」
 宮下の調子の外れた歌声と青島の笑い声。そして残りの面々は……冷えていく空気に通夜状態だ。
宮下……

「コンちゃんコンちゃん!」
ハイトーンで歌い始めた宮下に青島 がガバッと抱きついた。
「「「…………!」」」
「ひっ……!」
流石に宮下の酔いもさめる。
和室であることも災いした。
「コンちゃんコンちゃん!」
青島は宮下を下に組み敷き強く抱きしめた。肩口に顔を埋めて鼻をクンクンとする。
「……?あれ?コンちゃん…?」
項に鼻を近づける……

とぽとぽとぽ…………。貴嗣様が徳久利の日本酒を宮下にかけた。
「冷めたか、宮下?」
……いや、抱き着かれた時点で冷めてます。
「飲みすぎだ、宮下」
いえ、その指令を出したのは…
とぽとぽとぽ…………。顔にかけられ続けて、息継ぎがうまく出来ずに宮下がむせる。
「飲みすぎだ……」
……完全に被害者。人柱……。
「…ん?」
咳の振動で、青島が顔をあげる。
「あれ?宮下?うわっごめん!!」
慌てて体を起こす。それで一気にまわったのだろう。
「うっ……」
呻いた後、そのまま倒れた。

「陸!」

……
…………
本日の成果
宮下の裏声がコンちゃんとやらの声に似ている。
以上。

…………いや、誰得宴会?

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