【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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脅されたとはいえ、今回の旅行?にも給料は発生している。そうである以上、頭を切り替えて仕事として参加した。
…………と言っても、お茶汲み係だけど。プラス雑用だけど、本当に雑用で雑務とすら言えないけど。
だから、参加者の好む茶葉をチョイスしたし、茶菓子も準備した。
給料泥棒にはなりたくない。

けれど、やっぱり色々思ってしまうわけで。
テーブルにつき、ため息をつきながら下をみると、買ったばかりのスマートウオッチが目に入った
「あれ?青島スマートウオッチ買ったんだ?」
「うん」
コンちゃんに以前のスマホも取り上げられた。けれど、このスマートウオッチはコンちゃんの指示だ。言われたメーカーの指示された機種。指定のアプリも入れた。前のスマホみたいに俺だけのためにコンちゃんがプログラミングしてくれたモノではないけれど、コンちゃんが俺を想って探してくれたアプリ。
まだ、繋がっている。
ベルトをなぞってから顔をあげた、切り替えないと!

コツコツ。
京極様が机を人差し指で叩いた。
…………?苛ついている?

「あの?」
「なんでもない」
「貴嗣様、この後ベッドの割符と温泉が……」
「そうか」
あれ?機嫌直った?温泉好きなんだな。
京極様って意外と単純。機嫌が悪い時に好きなものを提案すると一瞬でご機嫌が治る。


取り敢えず、初日は移動と別荘についてからは本来は自由時間。眼下の海岸に行ってもいいし、部屋でのんびりしても良いとのこと。
ただ、部屋が意外にも大部屋で病院の大部屋とか思い出してしまった。
こんなにデカイ別荘ならツインの部屋とか多そうなんだけどな
因みに、俺のベッドは一番端っこ。隣は京極様。俺、くじ運悪すぎない?
最初に京極様が引いて、
「ああ、私はここか」とベッドの上に座られてからの皆の緊張感。
絶対に失敗は出来ない……!そんな悲壮感漂うくじ引きで、宮下なんて蒼白になりながら手のストレッチをしていた。俺も皆の緊張感につられてドキドキしながらひいた。そして、崩れ落ちた。なんで、隣なんだよぉ……端は嬉しいけど!
「私の隣はそんなに嫌か?」
「い、いえ、光栄であります!」
咄嗟に敬礼までつけてしまった。
片側が埋まったせいか、くじ引きは一気になごやかになった。いや、あんたら、まだ逆サイド残っているからな?
「あ~、ホッとした。手がつるかと思ったわ」
宮下が手をぷらぷらさせていう。……逆サイド、当たってしまえ!

結局、俺、京極様、猪瀬さん、宮下……千葉さんの順に並んでいった。
サイドチェストに服とかを詰め込んでいく。

「陸はこの別荘初めてだろう、案内するよ」

イヤイヤ、京極様に案内係させるなんてありえんやろ。ご自分の時給、お幾らだと思ってんだ。

「海に面した露天風呂もある。先ずはそこから行くぞ。今年は丁度大潮の時期でそろそろ満潮時刻だから格別だ。」

なんとインフィニティ風呂!
「よろしくお願いします!あ、そしたら皆さんも大潮は初ですよね?皆でワイワイしましょう!」

「か、家族風呂サイズだから!狭いから二人位がちょうどいいぞ!」
「「「「そうそう!」」」」
「………………」
皆の気持ちは分からないでも無い。折角の温泉に上司と浸かりたくは無いよな…
けど人身御供だよ?それ。

風呂はなんと、斜行エレベーターで海岸まで降りていくというものだった。温泉旅館とかでは見かけるけれど、個人の別荘でこれは凄い!
ぱっと見た脱衣所も広くて、最早ホテル……。













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