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『狼の巣に行くようなものよ!私は反対!』
でもコンちゃん、猪瀬が君の事で脅してきたんだ。俺は君を守りたいんだよ。
『守ってなんて言ってない!推しに護られたいなんて思ってない!』
でも、俺が守りたいんだ。いづれ番う君を守りたいと思うのは違うの?
『……番えるのかな、私達。小説と違う行動をしているのに、京極は…………!』
泣かないで、コンちゃん。大丈夫だから。ここは小説なんかじゃない。俺が守る
『陸、行くならお願いがあるの。これまで使っていたスマホを私の所に送り返して。新しいスマホを買ってそれを持って行って。旅行が終わるまで、連絡しないから陸もしないで』
コンちゃん、君との連絡手段はこのスマホしかないのに取り上げるの。住所も電話番号も……本名すら教えて貰えてないのに!
ーーーーーーー名前教えてよ?
ーーーーーーーえ~。陸がミスってヤツに名前知られたら殺されるからヤダ
ーーーーーーーだって、このままじゃ君の名前を呼ぶことすら俺はできない
ーーーーーーーじゃぁ、陸の婚約者でコンちゃん!
ーーーーーーーえ~。
ーーーーーーーじゃぁ、ヤクちゃん?
ーーーーーーー……教えてくれないの?
ーーーーーーーごめん、ごめん、陸…私はヤツが怖いの。陸は私の推しだけど…………
ーーーーーーーいいよ。25になったら結婚してくれるんだろ?そのときにわかればいいよ。
その先に続く言葉を聞きたくなくて、コンちゃんを遮った。
『ごめんね、陸。スマホを返して』
コンちゃんが泣きながらいう
運命の番は、細い細い糸すらたどって出会わせるといわれている。そして、本能的にその細い糸が何なのか察するとも。
コンちゃんの運命の番は京極様なのだろう。自立したΩにとって運命の番はある種の恐怖の対象だ。ぐずぐずに溶かされてそれまで培ってきた自分がなくなることも多々ある。番が言うなら……と従ってしまうのだ。
『分かったよ。でも、旅行から帰ってきたら今のスマホ、返してね』
「どうした、陸?」
「あ、いえ。失礼しました」
ぼんやりしていたらしい
スマホのタイマーが鳴っていたのにも気が付かなかった。
慌てて紅茶を入れ、スコーンを用意する。京極様にはイチゴジャム、他のヤツはブルーベリー、俺はカボチャジャム。
ヘリを降りて直ぐは少し不機嫌だった京極様だが、イチゴジャムを見て機嫌が回復した
…………どんだけ、イチゴ好きなんだか。
京極様とこんなふうに接点を持つまでは嫌いだった。コンちゃんを怯えさせる存在だから。
でも、話して見れば聖徳太子でも不死身でも無くて、ふつうに疲れもすればイチゴジャムで癒やされる男子だった。俺のライバルだけど。
冷徹で冷酷……などということもなく高位ゆえにΩを本能的に萎縮させてしまうだけなのだろう。俺の恋敵だけど。
「陸のジャム、面白い色してるな」
スコーンにジャムを塗りつけていると京極様に言われた。
「カボチャで作ったんです。好き嫌いあると思うので、小皿にも用意しました。皆さんもおためしください」
言い終えた直後に、京極様がパクリと俺の手ごとスコーンを食べた。
「わ!」
京極様の歯が指先にあたり、ピリッと痺れた。
慌てて手を取り戻した。
「どうした、陸?」
「いえ…………」
なんだ、今のは
「美味いな………」
染み染みと言われた。そうでしょそうでしょう?コンちゃんのレシピなんだ。スマホを取り上げられたけど、コンちゃんを感じていたくて、女々しいけれど持ってきたんだ。
「ありがとうございます」
コンちゃんの味を京極様が気に入るのはシャクだが、でもコンちゃんが褒められて嬉しい。
「皆様もどうぞ」
猪瀬さんたちが恐る恐る京極様を見る
いやいや、お世辞言ってくれる人でもないし、味覚異常の人でもないだろ。美味いの言葉を信じてくれ。
「ああ、陸の手作りだ。遠慮なく喰え」
「「「「…………」」」」
「俺、ブルーベリーが好きなので。」
「そうそう、なんか、今日のは格別に美味しいなぁ」
京極様、味オンチと思われている?因みにブルーベリーも今回は特別。コンちゃんレシピ
「?嬉しそうだな、陸」
「はい。ブルーベリーがいつものと違う事に気がついて貰えて光栄です。作ってきた甲斐がありました!」
「「「「…………」」」」
あれ?
なんか、俺、変な事言った?
ーーーーーーーーーーーーー
ハイ
言いました。
合掌…………。
でもコンちゃん、猪瀬が君の事で脅してきたんだ。俺は君を守りたいんだよ。
『守ってなんて言ってない!推しに護られたいなんて思ってない!』
でも、俺が守りたいんだ。いづれ番う君を守りたいと思うのは違うの?
『……番えるのかな、私達。小説と違う行動をしているのに、京極は…………!』
泣かないで、コンちゃん。大丈夫だから。ここは小説なんかじゃない。俺が守る
『陸、行くならお願いがあるの。これまで使っていたスマホを私の所に送り返して。新しいスマホを買ってそれを持って行って。旅行が終わるまで、連絡しないから陸もしないで』
コンちゃん、君との連絡手段はこのスマホしかないのに取り上げるの。住所も電話番号も……本名すら教えて貰えてないのに!
ーーーーーーー名前教えてよ?
ーーーーーーーえ~。陸がミスってヤツに名前知られたら殺されるからヤダ
ーーーーーーーだって、このままじゃ君の名前を呼ぶことすら俺はできない
ーーーーーーーじゃぁ、陸の婚約者でコンちゃん!
ーーーーーーーえ~。
ーーーーーーーじゃぁ、ヤクちゃん?
ーーーーーーー……教えてくれないの?
ーーーーーーーごめん、ごめん、陸…私はヤツが怖いの。陸は私の推しだけど…………
ーーーーーーーいいよ。25になったら結婚してくれるんだろ?そのときにわかればいいよ。
その先に続く言葉を聞きたくなくて、コンちゃんを遮った。
『ごめんね、陸。スマホを返して』
コンちゃんが泣きながらいう
運命の番は、細い細い糸すらたどって出会わせるといわれている。そして、本能的にその細い糸が何なのか察するとも。
コンちゃんの運命の番は京極様なのだろう。自立したΩにとって運命の番はある種の恐怖の対象だ。ぐずぐずに溶かされてそれまで培ってきた自分がなくなることも多々ある。番が言うなら……と従ってしまうのだ。
『分かったよ。でも、旅行から帰ってきたら今のスマホ、返してね』
「どうした、陸?」
「あ、いえ。失礼しました」
ぼんやりしていたらしい
スマホのタイマーが鳴っていたのにも気が付かなかった。
慌てて紅茶を入れ、スコーンを用意する。京極様にはイチゴジャム、他のヤツはブルーベリー、俺はカボチャジャム。
ヘリを降りて直ぐは少し不機嫌だった京極様だが、イチゴジャムを見て機嫌が回復した
…………どんだけ、イチゴ好きなんだか。
京極様とこんなふうに接点を持つまでは嫌いだった。コンちゃんを怯えさせる存在だから。
でも、話して見れば聖徳太子でも不死身でも無くて、ふつうに疲れもすればイチゴジャムで癒やされる男子だった。俺のライバルだけど。
冷徹で冷酷……などということもなく高位ゆえにΩを本能的に萎縮させてしまうだけなのだろう。俺の恋敵だけど。
「陸のジャム、面白い色してるな」
スコーンにジャムを塗りつけていると京極様に言われた。
「カボチャで作ったんです。好き嫌いあると思うので、小皿にも用意しました。皆さんもおためしください」
言い終えた直後に、京極様がパクリと俺の手ごとスコーンを食べた。
「わ!」
京極様の歯が指先にあたり、ピリッと痺れた。
慌てて手を取り戻した。
「どうした、陸?」
「いえ…………」
なんだ、今のは
「美味いな………」
染み染みと言われた。そうでしょそうでしょう?コンちゃんのレシピなんだ。スマホを取り上げられたけど、コンちゃんを感じていたくて、女々しいけれど持ってきたんだ。
「ありがとうございます」
コンちゃんの味を京極様が気に入るのはシャクだが、でもコンちゃんが褒められて嬉しい。
「皆様もどうぞ」
猪瀬さんたちが恐る恐る京極様を見る
いやいや、お世辞言ってくれる人でもないし、味覚異常の人でもないだろ。美味いの言葉を信じてくれ。
「ああ、陸の手作りだ。遠慮なく喰え」
「「「「…………」」」」
「俺、ブルーベリーが好きなので。」
「そうそう、なんか、今日のは格別に美味しいなぁ」
京極様、味オンチと思われている?因みにブルーベリーも今回は特別。コンちゃんレシピ
「?嬉しそうだな、陸」
「はい。ブルーベリーがいつものと違う事に気がついて貰えて光栄です。作ってきた甲斐がありました!」
「「「「…………」」」」
あれ?
なんか、俺、変な事言った?
ーーーーーーーーーーーーー
ハイ
言いました。
合掌…………。
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