【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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京極様の別荘は凄かった。
行くまでも凄かったけど。移動がヘリだなんて誰が思うよ?
テンションが爆上りして京極様との距離感をミスったりもしたが、不機嫌にはなられてなかったので大丈夫だろう。
富士山を見下ろした時には、思わず体を引き寄せて、「ほらほら、富士山~!」などとやってしまった。実際には京極様の体幹が強くて引っ張った俺が京極様に倒れ込んだというオチだったけど。抱きとめられて、京極様って着やせするんだなってわかった。すげぇ筋肉…………俺、筋トレメニュー見直ししようかなぁ。
その後もはしゃぎ続けた俺の相手をしてくださり…………反省。いや、京極様以外、皆寝こけていたから、話し相手がいなかったんだよ。
富士山に興奮してたら、インカムでもっと近寄りますか?とかパイロットさんにきかれて、かっこええ!とか叫んだり我儘言ったり五月蠅くしてしまい、とにかく反省。
けど、京極様は嫌な顔もせず、
「私も操縦できるんだよ。今度乗せてあげる」
とか言って下さった。パイロットは信用している、それでも生殺与奪権を与える訳にはいかない、だから、免許を持っているとも。
折角の免許が勿体無いな。操縦士免許は取るのも維持するのも労力がかかる。京極様とて免れない。それをこんな理由で維持しなきゃならないなんて……
頭をポンポンとたたかれた。う~ん……そういえば!
「羽田!」
「?え?」
「操縦士が選ぶ美しい夜景に羽田が入ってるらしいです!感動するらしいです!羽田の夜景を見るとか花火を上から見るとか!せっかくなんで楽しんではいかがですか?」
「陸は見たいの?」
「はい!」
「わかった」
???
何が分かった?
まぁいいか。

そんなこんなで楽しく別荘についた。
煉瓦で出来た美しい建物にうっとりとする。コンちゃんが好きそうな家だ。
写真を送ろうとスマホを取り出した。

そして皆に注目されている事に気がついた
??
「青島、そのスマホ……」

あ…………
コンちゃんとやり取りをし続けたスマホをここに持ってくるのは危険と判断して新しいのにしたのだ。
俺の前の機種を全員が覚えている時点で……まだ、京極さまはコンちゃんを狙っている?
そうだ、コンちゃんの傷付けるかもしれないし相手に何を油断してしまっていたのか。唇を引き結ぶ。
気まずい空気が流れた。

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