【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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15ー猪瀬

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『猪瀬、シルバーウィークだが、毎年恒例の親睦会を志摩の別荘で行う。陸を連れてくるように』

貴嗣様に言われた。
毎年恒例の側近懇親会。初耳ですがっ。青島の予定をきけ、ではなく連れてくるように、ですか。
善処……ではなく実行させていただきますっ

大学が夏休みになり、貴嗣様が青島に会える機会が減った。私や他の者のように会社に出勤するように青島に求めたが、京極でインターンみたいなことしてもなぁと断られた。青島を説得できなかった俺への貴嗣様の視線はそれはそれはそれは冷たくて、高橋の二の舞になるのかと本気でおそれた。ウチは代々京極家に仕えているのに俺で、というわけにはいかない。
結局、貴嗣様自身が動かれて週一で青島は出勤しているが……休み前に比べると貴嗣様の青島充填率はさがる。それに比例して貴嗣様のコンディションも悪化している。業務効率も下がっている。
業務効率云々はさておき、青島を連れていかなければ俺は左遷……

会社の専務室……つまり貴嗣様の部屋で出勤してきた青島に言う
「青島、我々は親睦を深める為にシルバーウィークに親睦会を志摩の別荘で毎年行っている。必ず予定を空けておくように」

青島の顔が一瞬歪んだ。嫌だ、断る手段は……と探しているのがわかるが、こちらも首(リアルの首、息の音)がかかっているのだ、そんな事を許す訳にはいかない。貴嗣様が出社される前に決めなければ

「コンちゃんと約束があるのか?京極家より魅力的だなんて会ってみたいものだ。…………専務室なら問題無いし、来週連れて来い。」

「そんな事はありません!約束なんてしてませんし懇親会参加させていただきます!」

俺の言葉に咄嗟に反応する。深く考えずに出てしまった言葉に顔が歪んだのが見て取れた。青島は兎に角貴嗣様にコンちゃんを近づけたくないのだ。
青島が撤回を撤回をと考えている間に貴嗣様が入室した。

「貴嗣様、青島も懇親会に参加したいとの事で許可しました」
「そうか、楽しみだな」
青島が俺を睨んでいる。否定をしたくても、貴嗣様の前でコンちゃんという名を出されたくないから黙るしかないのだ。貴嗣様もそれが分かっていて、このタイミングで扉をあけたのだ。

貴嗣様はこの旅行で青島のΩ化を更に進めるのだろう。
そして、もう一つ。携帯を奪いコンちゃんとやらの情報をとるのも目的だ。流石に24時間携帯を首から下げているのは不可能だからな。

なのに。
懇親旅行をすれば、隙がうまれると思っていた。
だが、青島、いや、コンちゃんとやらか?の方が一枚上手だった。















    
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