【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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あれから一月がたった

コンちゃんの事は西野がチクってバレているが、スマホは死守しているからなんとかなっている。
西野は……あの警告が彼の中での最大限だったんだろう。
コンちゃんの形跡を直ぐに消せ。
わかってる、京極の前に、俺たちなんて蟻みたいなもんだ。聞かれたら答えるしかない。

ただ……
意外?にも京極様はコンちゃんに興味がない。
『私の存在がバレたらヤツに殺される!』
これが現実なんだよ、コンちゃん。でも、コンちゃんが怖がるから、黙秘を続けるけどね。

で、一月経って俺が何をしているかと言うと…………何もしていない。
この部屋に着た翌日からは仕事を振られたけれど、満足のいく出来ではなかったのだろう。与えられる業務のレベルはどんどん下がっていって……やがて何も回ってこなくなった。
当たり前だ。
俺はただの大学生。京極グループの一端を担う人が求めるレベルの能力なんてない。
お払い箱になるかと思いきや、何故かここで給仕係をやっている。それ以外の時は授業の課題をやっている。

俺は、αの割にできが悪い。だから、相当な受験勉強をしてきた。そこで学んだ気分転換の重要性。美味しいお茶と菓子が、心身をリフレッシュしてくれて効率をあげてくれる。
だから、茶菓子とお茶の淹れ方には自信がある。
そろそろ辞め時だなーなんて思っていた俺だが、ある時、京極様がとても疲れているように見えた。だから、自慢の紅茶をいれた。そして…その味にハマられたらしい。

…………
『なに墓穴掘ってんのよ!』
コンちゃんには怒られた。そりゃそうだ。もうちょいで無罪放免される所だったのに、給仕係なんかたまわってしまったのだ。
でもさ、だって同じ18歳の男だよ?いくら京極様とはいえ、海千山千の歳下部下を使うなんて疲れる訳で、同情するし。その疲れに本人自体も気がついてないあたりも気の毒で、ちょっと位は労るべきだなぁ~なんて考えて丁寧に丁寧にお茶を淹れちゃって……リリースされなくなってしまった。
うう……。

ただ、いい事もある。
給仕係な俺にも日当が出るのだ。
日当4万円、時給換算すると、一時間でおおよそ一万円。
どうせ飽きられるまでの短期高額バイトだ、と割り切る事にした。
誰にも言ってないけど、コンちゃんにネックガードを俺からプレゼントしたいと思っていたのだ。
コンちゃんに似合いそうなソレは高機能でありながらも繊細で、……そしてあり得ない位に高かった。今のカテキョーでも数年がかかり、下手したら卒業までかかると覚悟していたそれが、半年かからずに買えるかも?
…………つまりは、金に目がくらみました。
いや、だって。
俺、地頭良くないのよ。勉強時間も確保したいのさ。
タイパよくいかないと留年しかねない。

なので、カテキョーは一時的に辞めて(猪瀬さんがめちゃ喜んでた。なんで?)給仕の短期バイトと頭を切り替えて、まじめに働く事にした。といっても、皆が一休みしたい時にお茶を用意するだけだが。京極様や他の人の体調を見て茶葉を選ぶ。
ちらりと皆の顔を見る。…………高橋、疲れているな。ちょっと前まで単なる高校生だった俺等に京極様の雑務はきついよな~。うん。うん。
よし、今日はヤツの好きなアッサムティーでいくか。スコーンもあったしな。

「アッサムティーなんて珍しいね」
隣に座られた京極様がいう。
「はい。高橋が疲れていたみたいで。」
「そう…………」
「きょ京極様、私は……」
真っ青になった高橋に京極様がピシャリと言う
「黙って。」
…………急に室内の温度が下がったきがする。
「陸は優しいね、これは疲れている高橋の為のお茶なんだね」
「??高橋の好きなお茶にはしましたけど?」
今一、何を言いたいのか分からない。このメンバーにアッサムが嫌いな人はいなかったはずだ。そこまで怒ること?
「で、高橋と陸はいちごジャム、残りはブルーベリー」
…………え?
いちごジャムの残量が2人分だったし、高橋はブルーベリーよりいちご派で、京極様には好き嫌い無かったからそうしたのに。
「はははは!」
笑ってしまった
天下の京極様が、いちごジャムを食べれなかったからってゲキオコ
笑うしかないだろ。
京極様の目がまん丸になる。そんな表情もするんだと思うと、更に笑ってしまった。
「…………陸が笑っている」
いや笑うだろ。ジャムでむくれるって小学生かよ
俺のスコーンにいちごジャムをつけて口に突っ込んでやった。
京極様が幸せそうに、それは幸せそうに笑った。
よっぽどいちごジャムが好きだったんだな…………。











~~~~~~~~~~~~~~~~~
『バカ陸!何、阿呆なことしてんのよ~!』
だが、しかし、陸は給餌したこと(無自覚)報告しわすれましたとさ。






    
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