努力に勝るαなし

認認家族

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番外篇ー

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「智則…」
達也から報告を受けたであろう九条が扉をノックした。体がビクリと跳びはねた
そうだ、このαには敵わない……

「智則、今夜は必ず寝室で眠るように。」

命令も慣れたものだ。そうだ、この男はそういうαだった。
どうすれば、どうすればいい?
どうすれば?

深呼吸だ深呼吸……。
言い聞かせるのに呼吸は更に荒くなる。
視界が暗くなり、何かが落ちる音が聞こえた。
ドアが黒い物体にぶち破られた。そしてソレが智則にベッタリと覆い被さる。息が息ができない。足が痛い。苦しい、痛い!
がむしゃらにあばれる。やがて、タールのように智則にくっついていた物もとれた。
……………………………………


目を開けると、見たことも無い部屋にいた。
足!
…………は痛くない。
恐る恐る動かしてみるが痛みはなかった。
折れてはいない。
安堵した。
ここはどこだろう?見たことも無い部屋だ。微かに消毒液のニオイがする……

コンコン。ノックの音に体が強張った。
ドアは智則の返答を待たずして開けられる。
「智則君、気分はどうですか?」
先日まで診てもらった医師だ。
「大丈夫です」
「そう、ごめんね、ちょっと確認を……」
そう言いながら、医師が体をずらした。後ろから
女性医師が入ってくる。
息がみだれる。苦しい……!首を絞めないで!
「もういい」
医師の言葉にハッとする。見渡すと、医師の他に人はいない。

「ええと?」

「先ずは、謝罪を。君がα恐怖症と見抜けなかった。」

智則も申告しなかったのだ、医師に非はない。それに、智則自身ももう克服したと思っていた事だ。

「君にはカウンセリングが必要だった。加害者の九条英樹から引き剥がす事も必要だった。すまない」

頭を下げられた。

「先生は悪くありません。俺が弱いだけです」

「違うよ、それは違う。そう言っても今の君には届かないだろうけど。…………ここはね、β用のシェルターなんだ。αはさっきの彼女以外入って来れないようになってる。だから、もう少し寝なさい。」

β用のα対策シェルター?
Ωではなくて?

智則の疑問が顔に出ていたのだろう、医師がいう。

「Ωはしなやかだ。そして、何だかんだ強かだ。βは硬くて脆い。だから……αの愛情を受け止められない。それを憂いた人がここを造った。ここはね、かなりの上位αの番様が造った場所だし、恩義があるαも多い……九条英樹もね。だから君が望まない限り、彼と会うこともない。もっとも、この屋敷から出たら違うし、九条も君と長期間離れていれば壊れて分別を失ってここを襲撃するだろうけど」

「…………」

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