努力に勝るαなし

認認家族

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番外篇ー

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「智則」
うっとりとした口調。
満たされた様な笑み
九条が口づけをしてくる。ゆったりと口内を弄られる。
何だっけ?何があったんだっけ?
体が熱い。頭がぼんやりする。
「え?智則!?」

なんか聞こえる……

彼はΩではないのですよ。Ωならば心はさておき、体だけでも暴力から守るために柔軟になる。怪我をしないために自ら体を明け渡す。βは固くてもろい。貴方のソレを無理やり受け入れさせられれば壊れるのは当然だ。
暴力じゃない。そんなものじゃない、愛情だ愛してるんだ。
本当にあなた方αというものはどうしようもない。とりあえず小学生にでも戻ってβとΩの違いを学び直してはいかがですか。愛?そんなものが免罪符になるとでも?

なんか……随分と毒舌な…
ウトウトしながらきいていると、声をかけられた
「目が覚めましたか?」
柔らかい声にぼんやりと顔を向ける。
医師と思しき人と九条がいた。
だるい。腹が痛い。
医師がベッド脇にやってきた。
「…………体を起こしたいのですが」
声がかすれる。医師がききとろうと身を寄せてきた。
九条の威圧を感じた。
……
医師はそれに構わず俺を抱き起こした
…凄いな。九条のコレをものともしないなんて。

「慣れですよ慣れ。αなんて一皮剥けば馬鹿ばっかり。番を診ろというくせに診察しようとすると番を診るなという。治療しろというくせに触るなという。その自己矛盾を何とかしてから医者を呼べと言いたい」

ド正論で笑ってしまった。
「振り切ってるやつもいるけどね。番 を他のものに触らせたくなくて医者になるαもいるし。まぁ、悪い事ばかりでもないんだけどね。Ω相手なら妥協するっていうα達の私費で未亡人Ωの介護士看護師ヘルパー育成機関が運営されてたり奨学金もあったりするから……。で、君はどうする?今の容態では一人では動けないだろう?看護師を派遣しようか?」 

「智則の世話は俺がする!」

俺が医師に答える前に九条が答えた。

……

「九条……」
かすれた声で何とかヤツを呼んだ。
九条が俺に近づいてきた。
体が震えそうになるのを深呼吸で落ち着かせる。
大丈夫、俺はできる。自分に言い聞かせて…………思いっきり殴った。
自分で言うのも何だが、完璧だった。この体調でよくもまぁ、九条に放物線を描かせたと思う。…………反動で死にそうだけど。

「出ていけ。お前がここから出ていかないなら、俺が出ていく」

「あ…智則、待って、違う」
尻もちをついた九条が一気に青ざめる

「分かった」

体中がきしむ。内臓が腫れているのも分かる位に高熱になってる。動ける状態ではないのは理解している。だが……何とかベッドから足を下ろす
この家を出るまでもてばいい。父か猛おじさんに連絡すれば何とかなるだろう。






    
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