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アルバイトー智則
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そのまま、カフェに向かうとαと思しき店長に呆れたように言われた。
「君、接客業って分かってるよね。ラブラブなのはわかったからさ、そんだけ脅しのマーキングをつけられていると、お客さんも不快だし帰って。クビね。」
羞恥心で死ぬとおもった。速攻家に帰って予備の石鹸で体を洗った。
九条から、
『智則、カフェにいないけど、何があったの?!』
連絡がきたが、無視した。ブロックした。何がじゃねぇ。
そのまま、他のアルバイト先を探していると、インターホンがなった。画像を見ると九条だったので、無視すると、連打された。
うるさいので、インターホンの音量を切った。達也から連絡がきた。達也もブロックしておけばよかった。
『英樹様が大立ち回りをされますよ。それが嫌なら出てきなさい』
………………
奴なら、エントランスなんて突破するだろう。管理人を含め色々破壊して。
………………
クソっ
『部屋を出たから大人しくしていろ』とだけ打って仕方ないので鍵を持って出ていく。ヤツを部屋に入れるつもりはない。
「智則っ何があったの!?いじめられたの?」
「…………」
とりあえず、無言で殴った。顔ではなく腹を殴っただけでもありがたいと思え。
ヤツが目を白黒させた。咄嗟に腹筋に力を入れたようだしダメージはほぼないようだ。やはり顔にするべきだったか。
とりあえず、マンションのロビーで話をする。
「お前のせいでクビだ。今後、マーキングはすんな。」
「………………いいの?」
「?何が」
「マーキング出来ないならマンションから出さないって伝えたよね」
九条がどろりとした目を向けてきた。
………………
九条は変わった。そう思ったのは勘違いだったのか。智則の意思は、希望は……。
「ねぇ。今回のマーキングが駄目だっただけでしょ。面接の時は何も言われなかったんだから。だったら、いつも通りのマーキングにする。それなら良いでしょ?」
九条が眉尻を下げて提案してくる。
…………前なら、こんな提案もなく、問答無用で巣とやらに連れ込まれていただろう。多少は智則を尊重してくれるようになったらしい
「わかった」
「ありがとう」
ふわりと笑った。
…………バイトに行く前に震えていた九条を思いだした。
クソっ
ホントに大型犬には弱いんだよ!
「おう」
そう言って、去った。
新しいバイトが決まった。
九条に報告した。
とくに問題なく初日を終えた。バイト仲間に歓迎飲み会に誘われ行こうとしたら、九条が歩道で待機していた。
………………
歓迎会は断るしかなかった。
九条は必ず迎えにきた。
ハイスペックαが突っ立っているのだ。すぐに見物人が集まるようになった。ヒートを起こしているΩまでいた。αほどではないがβだって多少はΩのヒートにつられる。偶々通りかかったαなんて、もっと悲惨だ。達也がαにブスリと抑制剤を注射してなんとか収めてた。地獄絵図。九条ではないが、酒池肉林。当の九条は涼しい顔で、スマホをいじってる
…………営業妨害だろ。
抗議すると、不安なんだよ、と言われてしまった。威嚇のマーキングを断った方としては強く出れない。
「終わったら、お前のマンションに顔を出す。それでどうだ?」
妥協案を提示すると、ヤツは幸せそうに笑った。
「ありがとう」
バイトのある日は朝晩九条のマンションに顔を出すようになった。
バイト開け、九条は土間で智則を待っている。玄関ドアを開けた途端に飛び込んできて、そのまま抱きしめられる。ハグというには力強い抱きしめ方だ。
「もう、うちから通えば?ここ3LDKだよ。智則の部屋も用意できるよ。もう寝てる間に襲ったりしないから」
……
信じられるわけがない。
智則を抱きしめながら、ゴリゴリと下半身を押し付けてくるようなやつをどう信じろと?
項に鼻を突っ込んでくんくんと匂いを嗅ぎながらはぁ…と熱い息をもらすようなやつを?
………智則の抵抗を封じられる体術をもつ九条を?
「君、接客業って分かってるよね。ラブラブなのはわかったからさ、そんだけ脅しのマーキングをつけられていると、お客さんも不快だし帰って。クビね。」
羞恥心で死ぬとおもった。速攻家に帰って予備の石鹸で体を洗った。
九条から、
『智則、カフェにいないけど、何があったの?!』
連絡がきたが、無視した。ブロックした。何がじゃねぇ。
そのまま、他のアルバイト先を探していると、インターホンがなった。画像を見ると九条だったので、無視すると、連打された。
うるさいので、インターホンの音量を切った。達也から連絡がきた。達也もブロックしておけばよかった。
『英樹様が大立ち回りをされますよ。それが嫌なら出てきなさい』
………………
奴なら、エントランスなんて突破するだろう。管理人を含め色々破壊して。
………………
クソっ
『部屋を出たから大人しくしていろ』とだけ打って仕方ないので鍵を持って出ていく。ヤツを部屋に入れるつもりはない。
「智則っ何があったの!?いじめられたの?」
「…………」
とりあえず、無言で殴った。顔ではなく腹を殴っただけでもありがたいと思え。
ヤツが目を白黒させた。咄嗟に腹筋に力を入れたようだしダメージはほぼないようだ。やはり顔にするべきだったか。
とりあえず、マンションのロビーで話をする。
「お前のせいでクビだ。今後、マーキングはすんな。」
「………………いいの?」
「?何が」
「マーキング出来ないならマンションから出さないって伝えたよね」
九条がどろりとした目を向けてきた。
………………
九条は変わった。そう思ったのは勘違いだったのか。智則の意思は、希望は……。
「ねぇ。今回のマーキングが駄目だっただけでしょ。面接の時は何も言われなかったんだから。だったら、いつも通りのマーキングにする。それなら良いでしょ?」
九条が眉尻を下げて提案してくる。
…………前なら、こんな提案もなく、問答無用で巣とやらに連れ込まれていただろう。多少は智則を尊重してくれるようになったらしい
「わかった」
「ありがとう」
ふわりと笑った。
…………バイトに行く前に震えていた九条を思いだした。
クソっ
ホントに大型犬には弱いんだよ!
「おう」
そう言って、去った。
新しいバイトが決まった。
九条に報告した。
とくに問題なく初日を終えた。バイト仲間に歓迎飲み会に誘われ行こうとしたら、九条が歩道で待機していた。
………………
歓迎会は断るしかなかった。
九条は必ず迎えにきた。
ハイスペックαが突っ立っているのだ。すぐに見物人が集まるようになった。ヒートを起こしているΩまでいた。αほどではないがβだって多少はΩのヒートにつられる。偶々通りかかったαなんて、もっと悲惨だ。達也がαにブスリと抑制剤を注射してなんとか収めてた。地獄絵図。九条ではないが、酒池肉林。当の九条は涼しい顔で、スマホをいじってる
…………営業妨害だろ。
抗議すると、不安なんだよ、と言われてしまった。威嚇のマーキングを断った方としては強く出れない。
「終わったら、お前のマンションに顔を出す。それでどうだ?」
妥協案を提示すると、ヤツは幸せそうに笑った。
「ありがとう」
バイトのある日は朝晩九条のマンションに顔を出すようになった。
バイト開け、九条は土間で智則を待っている。玄関ドアを開けた途端に飛び込んできて、そのまま抱きしめられる。ハグというには力強い抱きしめ方だ。
「もう、うちから通えば?ここ3LDKだよ。智則の部屋も用意できるよ。もう寝てる間に襲ったりしないから」
……
信じられるわけがない。
智則を抱きしめながら、ゴリゴリと下半身を押し付けてくるようなやつをどう信じろと?
項に鼻を突っ込んでくんくんと匂いを嗅ぎながらはぁ…と熱い息をもらすようなやつを?
………智則の抵抗を封じられる体術をもつ九条を?
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