努力に勝るαなし

認認家族

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寝室ー智則

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九条が鼻歌を歌いながら智則を九条の寝室の
ダブルベッドへと運んだ

智則の体が警戒の為に強ばる。

「今まだ手を出さないって言ってるでしょ。ちょっとだけでもいいから信用してよ。…………あんまりにもあれだと僕も逆ギレしちゃうよ?」

…………
そう言ってくるヤツをどう信用しろというのか。
しかも、九条の寝室だ。
何時でも智則に入ってきて欲しいから、そう言って九条の部屋には鍵はない。
籠城もできない。

「智則、この部屋にしたのは僕が看病するためだ。病気でも、君の部屋には僕は許可なく入らない。そして、君は許可をくれないだろう?一人で食事を取れるようになったら自分の部屋に戻っていいよ。それまで、僕はリビングで寝るから」

…………どちらにしろ、今の智則にできる事はなにもない。
ならば、九条の言い分を信じるほうがベターだろう。

体の力を抜こうと努めるがやはり理性と感情はべつだ。それでも、九条は智則の歩み寄りを感じ取ったようだ。柔らかく笑った。

「少し、休んで。後でお粥をもってくる」

九条はご機嫌だ。やはり鼻歌を歌いながら部屋を出ていく。どう見ても浮かれている。
本当に回復したら智則のマンションに戻してくれるのか、心配になる。
けれど、ベッドに埋まっていると、優しい香りとともに、重力が急に強くなるかのように、深く深く吸い込まれていった。


ふっと目が覚めると、腕に点滴が。針をさされても、ねこけてる自分はかなり問題ではないだろうか。
九条は床に座ってベッドに寄り掛かりながらタブレットを操作していた。

「おはよう」

「……おはよう」

ニコニコと笑顔で挨拶される。
おそらくずっとここにいたのだろう。智則が目を覚ますまで、仕事もベッド脇でかたしていたのだろうということぐらい、簡単に想像できる。

抱き上げられた。抵抗すると、
「動かないで。点滴が外れる。トイレに連れて行くだけだよ」
「……」
確かに、水分が入ってきて尿意はある。寝落ちする前までは脱水状態でそんな体調にもなかった。

抵抗をやめて体を九条に預けると、ヤツはあからさまに浮かれた。
そのままトイレに連れていかれる。お礼をいうと、デレっとさらに相貌を崩した。

「番の排泄は見たいけど、智則は見られてするの嫌だろうから、外で待ってるね。終わったらノックして」

「……」
いや、見られてしたいヤツなんているのか!?……まあ、番のαに望まれたならΩならば従うか……。
ため息がでる。
何故、自分なのだろう。
九条ほどのαならば、他にもっと素敵なΩがいるであろうに。

このマンションを逃げ出してから直ぐに九条についても調べた。九条に監禁されるまで興味を持ってなかった。正直、時折面白ネタを提供してくるだけのクラスメイトのバックボーンなんてどうでもよかったのだ。周囲のαの態度やこのマンションからいい所の出なんだろうな、とは思っていたが。
調べれば、まさかのあの九条財閥で。高位な家柄にも関わらず、政略結婚を良しとせず、恋愛至上主義な家。
当然、九条にも婚約者はいないが先日近々結婚すると公言。相手はそれまでαの間では噂になっていたβ男性。
…………タイミング的に智則の事だとわかる。

それを受けて、一部のΩの間では、側室目当てで九条に対するフェロモンレイプを仕掛ける行為が横行。
そりゃそうだ。βを伴侶にするということは、Ωに対して無防備でいるということだ。番契約はある意味早いもの勝ち。
智則を監禁している間、九条は何度もフェロモンレイプにあっていた……

もっとも、智則もまた、当人が知らぬ間に何度も睡姦されていたわけだが。

ため息がでる。
なんで、俺なんだよ。


扉をノックされる
「智則、時間かかっているけど大丈夫?」

「あ、ああ、大丈夫だ。すまんがお願いする」

扉が開いて、また抱き上げられる。
九条は鼻歌交じりだ。

こっちは、心許ないのに。
着ているパジャマはワンピースタイプでボトムスはなし。下着もなしだ。着脱するほどの体力もないから良いんだが……やはり心許ない。






















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