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キャンプの誘いー智則
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相変わらず、九条は智則後をついてくる
振り切って教室を出ようとして、人にぶつかると、由希だった。
ホッとしてついつい、昔の呼び名が出た。
「由希にぃ!」
「元気そうだな」
頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。懐かしい。ちょっと笑ってしまう。
「……初めて俺に番がいて良かったと思ったよ」
「??」
「秋葉君、由希先輩ね」
隣にいた岡田に注意される。
「すみません。由希…先輩は何故こちらに
「ああ、今度、ゼミ生が集まってキャンプするんだよ。智則と殿山君を誘いにきた」
「俺は勿論参加で!」
「駄目。智則は不参加」
いつの間にか、また九条が背後霊になっていて、人の予定に口出ししてきた。
「九条、俺はお前とのルールを守ってる。そうである以上、口出しされるいわれはない」
「駄目。危険」
当然ながら無視する。こんな機会はめったにないのだ。集合場所と装備について確認する。
キャンプ当日になった。集合場所に行くと九条がいた。
無視だ、無視。
由希にぃの隣に綺麗なΩがいた。智則を睨んでくる。
普段であれば無視するが、目標とするゼミの人のだ。にっこり笑って挨拶すると、
「唐澤華です。由希の番」
交戦的だな、とは思うが由希にぃの番ならば、失礼のないようにしなければ。
αの体力はすごい。
由希は華さんが疲れてくると、お姫様抱っこをして運んでいく。足場が安定してないのにすごい。
他のメンバーは華さんの同行に体力的な意味で反対したようだが、華さんが「私が一緒でない限り、ゆきは帰らせる。体力の問題なら、ゆきがいるから大丈夫」と主張したらしい。
確かに。先を行くふたりを見つめた。
今は抱き上げられてない。
「気になる?」
珍しく九条が話しかけてきた。
「そうだね。華さん細いし転ばないか心配だ」
「そういう意味じゃないんだけどね。智則らしいといえば智則らしい」
くすりと笑われた。
「なんだそれ。意味わかんねぇし」
軽口が出た。ちょっとだけ懐かしい。九条と二人でトレイルランニングしたな。九条も慣れてきて、険しいコースも行くようになって、帰りに寝こけて……そして車で睡姦されてた。
「智則?」
「なんでもない」
顔を歪めた智則に九条が心配そうにきく。
考えるな、考えたところでなんの意味もないのだ。何故あんな事をしたのか、きいても共感なんて出来ないだろうから。
「智則?」
声が震えてる。九条は智則の機嫌を察知するようになった。そして嫌悪感に怯えるようになった。
「なんでもない」
すがりつくような目でこちらを見ないでほしい。
岩場にやってきた。落石注意の看板が出てる。片側は崖になっていて川が流れている。対岸の緑が綺麗だ。
九条がおくれがちになってきて、由希達と距離があいた。
少し急ぐか。
由希のほうをみると、小石がコロリと落ちてきた。上を見上げると、岩がグラつくのが見えた。
「由希にぃ!」
確証があった訳でもなく走り出して、思いっきり突き飛ばした。
その後はスローモーションのようだった。
岩が自分が谷に落ちて行く。由希にぃは木に守られて落ちずに済んだ。良かった。
「智則!」
九条が智則に飛びついてきた。
なんでお前まで…。
九条はどんな身体能力しているのか、智則を抱きしめて落下する。木に激突しながら、川へと落下する。三日前の雨で川は増水していて流される。
川の中でも岩にぶつかって、九条が時折うめき声を漏らしていた。
なんで……。
流れに逆らわずに少しずつ岸を目ざし、なんとか二人でたどり着いた。九条は、疲れ果てて川岸で体を丸めている。智則の代わりに体をかなり打っているはずだ。
振り切って教室を出ようとして、人にぶつかると、由希だった。
ホッとしてついつい、昔の呼び名が出た。
「由希にぃ!」
「元気そうだな」
頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。懐かしい。ちょっと笑ってしまう。
「……初めて俺に番がいて良かったと思ったよ」
「??」
「秋葉君、由希先輩ね」
隣にいた岡田に注意される。
「すみません。由希…先輩は何故こちらに
「ああ、今度、ゼミ生が集まってキャンプするんだよ。智則と殿山君を誘いにきた」
「俺は勿論参加で!」
「駄目。智則は不参加」
いつの間にか、また九条が背後霊になっていて、人の予定に口出ししてきた。
「九条、俺はお前とのルールを守ってる。そうである以上、口出しされるいわれはない」
「駄目。危険」
当然ながら無視する。こんな機会はめったにないのだ。集合場所と装備について確認する。
キャンプ当日になった。集合場所に行くと九条がいた。
無視だ、無視。
由希にぃの隣に綺麗なΩがいた。智則を睨んでくる。
普段であれば無視するが、目標とするゼミの人のだ。にっこり笑って挨拶すると、
「唐澤華です。由希の番」
交戦的だな、とは思うが由希にぃの番ならば、失礼のないようにしなければ。
αの体力はすごい。
由希は華さんが疲れてくると、お姫様抱っこをして運んでいく。足場が安定してないのにすごい。
他のメンバーは華さんの同行に体力的な意味で反対したようだが、華さんが「私が一緒でない限り、ゆきは帰らせる。体力の問題なら、ゆきがいるから大丈夫」と主張したらしい。
確かに。先を行くふたりを見つめた。
今は抱き上げられてない。
「気になる?」
珍しく九条が話しかけてきた。
「そうだね。華さん細いし転ばないか心配だ」
「そういう意味じゃないんだけどね。智則らしいといえば智則らしい」
くすりと笑われた。
「なんだそれ。意味わかんねぇし」
軽口が出た。ちょっとだけ懐かしい。九条と二人でトレイルランニングしたな。九条も慣れてきて、険しいコースも行くようになって、帰りに寝こけて……そして車で睡姦されてた。
「智則?」
「なんでもない」
顔を歪めた智則に九条が心配そうにきく。
考えるな、考えたところでなんの意味もないのだ。何故あんな事をしたのか、きいても共感なんて出来ないだろうから。
「智則?」
声が震えてる。九条は智則の機嫌を察知するようになった。そして嫌悪感に怯えるようになった。
「なんでもない」
すがりつくような目でこちらを見ないでほしい。
岩場にやってきた。落石注意の看板が出てる。片側は崖になっていて川が流れている。対岸の緑が綺麗だ。
九条がおくれがちになってきて、由希達と距離があいた。
少し急ぐか。
由希のほうをみると、小石がコロリと落ちてきた。上を見上げると、岩がグラつくのが見えた。
「由希にぃ!」
確証があった訳でもなく走り出して、思いっきり突き飛ばした。
その後はスローモーションのようだった。
岩が自分が谷に落ちて行く。由希にぃは木に守られて落ちずに済んだ。良かった。
「智則!」
九条が智則に飛びついてきた。
なんでお前まで…。
九条はどんな身体能力しているのか、智則を抱きしめて落下する。木に激突しながら、川へと落下する。三日前の雨で川は増水していて流される。
川の中でも岩にぶつかって、九条が時折うめき声を漏らしていた。
なんで……。
流れに逆らわずに少しずつ岸を目ざし、なんとか二人でたどり着いた。九条は、疲れ果てて川岸で体を丸めている。智則の代わりに体をかなり打っているはずだ。
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