努力に勝るαなし

認認家族

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マンションにてー智則

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力を失った九条を転がす。

「大丈夫か?しかしまあ、最高位αってのは化け物だな。抑制剤打っても打ってもまだ動きやがった。残り後一本だよ。信じられん」

悠一が首を振りながらいう。

「大丈夫だけど……取り敢えず部屋に戻る。すぐ戻ってくるから、ここをお願いいたします」

二人にするのは不安だが、流石にジーパンの後が破かれてているのこの格好は問題だ。
部屋に戻って着替える。
しかし、αの力はどうなってるんだ。ジーンズを引き裂くって………
しかも。。。
あれ、確実に理性がなくなっている

速攻で着替えてエントランスに戻ると、九条が後ろ手にワイヤーで縛られていた。どんだけ危険人物なんだか。
意識はあるようだ。

さて、どうしたもんかな。
もどってはきたけれど、解決策が……ない事もないけど、最終手段だしな

「智則、巣に帰ろう?今なら怒らないから」

「……」

どこまでも、九条にとって俺はペットなんだな。いや人形か
やっぱりあれしかないか。
ちらりと父を見る。一瞬だけど父親が辛そうな顔をした。ごめん。でも、逆に貴方がいるから安心してできる。

「あのマンションで、俺はお前に惹かれていたよ」

「だったら!」

「あれは異常な空間だ、話す相手もお前と達也さんだけ。お前に惹かれたのが、ストックホルム症候群なのか確かめたかった。お前は俺にそれすらも認めない」

「言ってくれれば!」

「機会をくれたか?違うな、許可を求める時点で対等じゃない。俺はお前のペットだったんだ。餌をあげて、お前のルールを守れなければしつけと称してクレートに閉じ込める」

「違うよ、僕はそんな事思ってない!君の好きな物、事を考えて大切にしてきた!尊重してきた!」

「尊重?眠らせてレイプが?俺を模した人形でぬいてたな。そうだな、俺はペットですらなかったな」

「あ………あれは」
九条が青ざめた。

「意志すら必要ないんだもんな。壊れれば良いと言う位だしな。だったら、一生人形で十分だろ」

「ち、違う……」

「俺は、、、正直今迄あんなに甘やかされた事がない。俺が望む前に先回りして用意してくれて、俺の事を凄く思ってくれていると、そう、勘違いしていた。お前は俺の体があれば良かったんだな。壊れた俺が良いと言う位だしな」

「違うよ!勘違いじゃない、僕は君が好きだ!」

「お前の好きは、俺は受け入れられない」

「……帰るよ、智則。また、巣に戻れば君はそんな事思わなくなる。それくらい愛してあげる」

九条が立ち上がってこっちに向かってくる。無表情のまま、目だけが怒りをたたえていた。

「お断りだ」

「智則、ワガママ言わないの。そんな事言ってると秋葉商事がどうなると思うの」

「どうなろうと構わないよ、父さんが、そう言ってくれた」

九条が悠一を振り返って言った

「本気か?後悔させるぞ」

九条の怒気が溢れ出ている。悠一は辛そうだったが、それでも頷いた。

「流石にね。息子を差し出さなきゃダメな家業ってどうなのよ」

「智則、ならば深澤だ」

「君が色ボケしている間に彼はイロイロと対策を取っていたよ。彼は海外の要人達に信頼されている。その彼が理不尽なことにさらされたら………いくら九条家でも大変でしょ」

「ならば、深澤優だ。ヤツは上位種の番をレイプした。αのルールを無視したのだから、周りは助けない」

レイプしたのは、お前もだけどな。

「優は、俺の弱点になることをのぞまない。自分のせいで俺が九条に捉えられているとなったら、命だって絶つだろう」

「そうだね、優君なら九条君が彼に手を出しているうちは、それで智則を守れているんだって思いそうだ。智則………優君にしとけ。とりあえず、九条君に囚われておけば?優君には伝えておくから、ラプンツェルみたいに優君を待ってれば?」

その間に俺が壊れているかもしれない

「優君なら、最速でむかえに行くとおもうけど」

珍しく、父が粘る。そういえば、一人暮らしにも反対してたな。決めた事に口を出さない人なのに……父的には一人暮らしは同じレベルでヤバいことだったんだな、まあ、今のこの状況が物語っているけど。

「壊れていたら意味ないでしょ。父さんの予想では直ぐ壊されるんだろ?」

父は躊躇った後に頷いた。こんな時でも嘘の約束はしない人だ。悲しい人だな。

父と優は似ている所がある。俺が俺らしくある為に、自分の感情を犠牲にする。
九条は……嵐だ。

九条がこちらギラギラにらみながらやってくる。まずいな。阻まれても困る。
左のポケットの硬い物が手にぶつかった。
部屋を出るときに目についた500ウォン。なんとなくポケットに入れた。
以前に釣り銭を500円玉と思って受けとったら違っていた。10分の一の価値。ある意味、今日にふさわしいのかもしれない。

「九条、やるよ。」

両手が塞がっているのを承知で投げる

九条の意識と体も逸れたのがわかった。

「人形はゴメンだ」

隠し持っていたナイフで自分の首を切った。

つもりだった。
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