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閉じ込めたい本能ー英樹
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昨日の智則は最高だった。
英樹の手で踊る。微かな喘ぎと共に……
「おはよう」
智則がリビングに入ってきながら言う。危ない危ない、もう少しで兆してしまう所だった。
英樹が智則を抱きたいと思っていることぐらい智則も知っている。ただリアルに兆したそれを見せつけられたら、懐いてきた智則がまた元に戻ってしまう
智則はそのまま500円タワーに向かった
かわいいなあ
タワーを吹く、これは智則の朝のルーティンの一つだ。
達也がタワーを拭いていた時、智則は自覚がないであろうがとても嫌そうにしていた。何かを隠しているのではないかとタワーの近くも含め達也が細部にわたり確認をしたが、何も出なかった。
英樹がタワーに触れることに関しては何の反応も示さない。いやちょっと困ったような、不思議な顔をした。
『あれを九条や俺以外が触るのはなんとなく嫌なんだよ。俺にやらせてくれ』
それって…
天国にも昇る気持ちだった。僕とのデート記念を他の人に触られるのが嫌だなんて……智則はその理由を真剣に考えてはくれない。けれど、それでも一歩前進だと思う。
今日も智紀はそそくさとタワーに向かい、そして切なくなるような微笑を浮かべながら磨く。
本当に小悪魔だと思う。
いつか………
「九条、今日から出張って言ってなかったっけ?」
拭き終えた智則が席につきながらきく。達也がコーヒーを持ってきた。
「うん、でも、辞めた。嫌な予感がするからね。全部排除するまで出張はしないんだ」
こういった予感は必ず当たる。ならばできる限りの対策は取るべきだ。
あと少し、あと少しで智則が手に入るのだから。
「僕から智則を奪うヤツは許さないんだ。昨日みたいなあんなにも幸せで満たされる時間を僕から強奪したら地の果てまでおいかけて復讐するんだから」
あと少し、あと少しで昨日みたいな事を起きてる智則とできる。昨日ですら満ち足りた時間だったのだから、智則の瞳を見ながらできたら、僕はどうなるのだろうか?
「怖いな。でも……俺が自分から去ったら?」
こうやって僕を翻弄する。智則は魔性だ。
「智則は僕の番なんだから、そんなこと考えないで。ただ僕に甘えていればいい」
「俺を解放してくれないか。一時的でいいから、感情を整理する時間をくれ」
「何を言ってるの」
やっと、関係が変わろうとしているのに。感情を整理?元に戻る?昨日、あんなに僕を受け入れてくれたのに。僕ので啼いて僕の子種を受け入れてイったのに?
「君は僕のものだよ」
智則の表情が強張った。氷ついた。そのまま無言で踵を返した。
しまった。墓穴を掘ってしまったのだとわかった。
「智則っ」
慌てて手を伸ばすが、振り払われた。
「朝のランニングをしてくるだけだ。それすらも許されないのか」
「ちがっ智則っ違うんだっそうじゃ無くてっ」
ああ、どうすれば良いのだろうか。智則が頑なになっている。
予感はこれだったのか?
得られそうだったのに、その機会を自身で遠ざけてしまう事だったのか?
わからない。
わからないけれど、このままでは駄目だ。
智則が自室から出てくる音がして玄関までいく。智則は昨日英樹がプレゼントしたグローブをしていた。
よかった。これをしているうちは、まだ大丈夫なのだろう。
そう思うのに、本能が智則を閉じ込めろという。
閉じ込めろ閉じ込めろ閉じ込めろ!!
拳を強く握った。爪が食い込んで多分、血も出ている。
でも
『朝のランニングをしてくるだけだ。それすらも許されないのか』
唇を噛む。
そうだ、智則がランニングをし始めた日だって不安だったじゃないか。でも何もなかった。英樹の本能は何時でも智則を閉じ込めたがる。いつものソレなはずた。今、ランニングを禁止したら、智則は更に遠くなる。
これは本能。予感じゃないはずだ
下唇が切れて血の味がした。
「いってらっしゃい。気をつけてね」
声をかけるが、振り向くこともない。
そのまま、玄関ドアがパタンと閉まった
まるで、智則の心のように思えた。
英樹の手で踊る。微かな喘ぎと共に……
「おはよう」
智則がリビングに入ってきながら言う。危ない危ない、もう少しで兆してしまう所だった。
英樹が智則を抱きたいと思っていることぐらい智則も知っている。ただリアルに兆したそれを見せつけられたら、懐いてきた智則がまた元に戻ってしまう
智則はそのまま500円タワーに向かった
かわいいなあ
タワーを吹く、これは智則の朝のルーティンの一つだ。
達也がタワーを拭いていた時、智則は自覚がないであろうがとても嫌そうにしていた。何かを隠しているのではないかとタワーの近くも含め達也が細部にわたり確認をしたが、何も出なかった。
英樹がタワーに触れることに関しては何の反応も示さない。いやちょっと困ったような、不思議な顔をした。
『あれを九条や俺以外が触るのはなんとなく嫌なんだよ。俺にやらせてくれ』
それって…
天国にも昇る気持ちだった。僕とのデート記念を他の人に触られるのが嫌だなんて……智則はその理由を真剣に考えてはくれない。けれど、それでも一歩前進だと思う。
今日も智紀はそそくさとタワーに向かい、そして切なくなるような微笑を浮かべながら磨く。
本当に小悪魔だと思う。
いつか………
「九条、今日から出張って言ってなかったっけ?」
拭き終えた智則が席につきながらきく。達也がコーヒーを持ってきた。
「うん、でも、辞めた。嫌な予感がするからね。全部排除するまで出張はしないんだ」
こういった予感は必ず当たる。ならばできる限りの対策は取るべきだ。
あと少し、あと少しで智則が手に入るのだから。
「僕から智則を奪うヤツは許さないんだ。昨日みたいなあんなにも幸せで満たされる時間を僕から強奪したら地の果てまでおいかけて復讐するんだから」
あと少し、あと少しで昨日みたいな事を起きてる智則とできる。昨日ですら満ち足りた時間だったのだから、智則の瞳を見ながらできたら、僕はどうなるのだろうか?
「怖いな。でも……俺が自分から去ったら?」
こうやって僕を翻弄する。智則は魔性だ。
「智則は僕の番なんだから、そんなこと考えないで。ただ僕に甘えていればいい」
「俺を解放してくれないか。一時的でいいから、感情を整理する時間をくれ」
「何を言ってるの」
やっと、関係が変わろうとしているのに。感情を整理?元に戻る?昨日、あんなに僕を受け入れてくれたのに。僕ので啼いて僕の子種を受け入れてイったのに?
「君は僕のものだよ」
智則の表情が強張った。氷ついた。そのまま無言で踵を返した。
しまった。墓穴を掘ってしまったのだとわかった。
「智則っ」
慌てて手を伸ばすが、振り払われた。
「朝のランニングをしてくるだけだ。それすらも許されないのか」
「ちがっ智則っ違うんだっそうじゃ無くてっ」
ああ、どうすれば良いのだろうか。智則が頑なになっている。
予感はこれだったのか?
得られそうだったのに、その機会を自身で遠ざけてしまう事だったのか?
わからない。
わからないけれど、このままでは駄目だ。
智則が自室から出てくる音がして玄関までいく。智則は昨日英樹がプレゼントしたグローブをしていた。
よかった。これをしているうちは、まだ大丈夫なのだろう。
そう思うのに、本能が智則を閉じ込めろという。
閉じ込めろ閉じ込めろ閉じ込めろ!!
拳を強く握った。爪が食い込んで多分、血も出ている。
でも
『朝のランニングをしてくるだけだ。それすらも許されないのか』
唇を噛む。
そうだ、智則がランニングをし始めた日だって不安だったじゃないか。でも何もなかった。英樹の本能は何時でも智則を閉じ込めたがる。いつものソレなはずた。今、ランニングを禁止したら、智則は更に遠くなる。
これは本能。予感じゃないはずだ
下唇が切れて血の味がした。
「いってらっしゃい。気をつけてね」
声をかけるが、振り向くこともない。
そのまま、玄関ドアがパタンと閉まった
まるで、智則の心のように思えた。
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