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父ー智則
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タクシーでマンションに着いた。
鍵はなかったが、管理人は全住人の顔を覚えてくれていて、智則が鍵を落としたと言うと、開けてくれた。
ついでに、父以外が訪ねてきたら、取次がないでもらいたいと伝えた。
まだ、一時間もたってない。九条はまだ、智則が逃げ出した事にも気がついてないかもしれない。
スマホをチェックする。
佐久間から、心配するメールが何通も来ていた。リモートで合ってる時は何もいってなかったのに。他にも数人から連絡があったが、共通しているのは、皆βだった。αには智則の近況が知れ渡っているのかもしれない。
咄嗟に逃げてはきたが、このあとどうするべきか。
資金はある。
一番いいのは拠点も決めずに国内外をとわず色々な所を放浪することだ。
だが、それで、自分は何を得るのか?
大学も中退になってしまう。
インターホンが鳴った。びくりと体が震えるが見ると父だった。ネットをモールス信号のように使用して、『今日か明日九条のところから逃げる』と連絡していたからだろう、早かった。リビングに迎えいれ、
「スマホ、充電してくれててありがとう。会社の件も対応してくれて助かりました。」
「いいや、ただ、ああは言ったが、逃げ出せるとは思ってもなかったけどな、いずれは九条の所に相談にいくつもりだったよ」
「……案外、あっさり行ったよ」
そう、九条は智則を信用していた。
新品のグローブをみつめる。塀を登る時に何処かに引っ掛けたようで、一部が破れていた。
ピカピカのそれに智則が傷つけた。それがまるで九条の心のように思えていたたまれない。
「とりあえず、智則はシャワーを浴びてこい。臭くてたまらん」
「そんなに汗かいてないと思うし……そんな時間ないよ」
悠の眉がピンと動いた。
「?どうかした?」
「いや、いい。これからの事を話すためにも浴びてこい。臭くてたまらん」
…………
酷い言われようだ。
だが、時間がない事は伝えた上でもシャワーを勧めてくるのだから、何らかの理由があるのだろう。
父は、そういう人だ。
熱いシャワーを浴びながら今後を考える。
英樹は信用を裏切った智則を許さないだろう。再び捕まれば、ランニングは勿論のこと、部屋から出ることもネットすら許されない可能性がある。
拠点も持たない英樹から逃げる為だけの未来のない生活と、捕まればなんの自由もない生活と、智則にろくな選択肢はない。
シャワーからでてリビングに行く。
「お前、なんの石鹸使ってんだ?全然落ちてないぞ」
「?何が?メーカーはわからないけど、九条が置いてった石鹸だよ」
「…………他に石鹸ないのか?」
「?ドラッグストアで試供品で渡されたやつならあるけど」
「それで体も頭も洗ってこい」
「…………」
試供品の石鹸をとり再びバスルームに戻る。
どういう事だろうか。九条からもらったの石鹸では落ちない、普通の石鹸なら落ちるナニカ。
………!
胃液がせり上がるってきて、そのまま嘔吐した。
空腹でよかった。
バスルームでよかった。
掃除が楽だ………。
石鹸で念入りに洗う。使われたであろう大腸も、本当は洗い流したかったけれど勇気がなかった。
シャワーからでたら大量に下剤を飲もう。
皮膚が真っ赤になる位に洗った。本当は表皮をはぎ落としてしまいたい位だ。
いつだいつだいつだ!
シャワーから出る。
「なんか、痛そうだ。保湿しておけよ」
と、今度は汚れているとは言われなかった。
汚れている、か……
自分でいっておきながら嗤えた
あの人形、九条の体液まみれになっていた。
またこみ上げてきて、トイレに駆け込んだ。
父が、水をもってきてくれた。
「父さんならわかるんだよね?俺、近々で九条にヤラれた?」
何も言われなかった。
つまりは、そういう事だ。
九条の前で意識がなかったのは………
「昨日、とか?」
否定してくれない。
再び胃が捻じくれる
吐く水分すらないのに嘔吐感が止まらない。
あの石鹸は早々に渡された。その頃から九条は智則を犯していたのか。
Ωやαのクラスメイト達の違和感。
智則は九条のマーキングを色濃く残して登校してたのだろう。
殿山………。
鍵はなかったが、管理人は全住人の顔を覚えてくれていて、智則が鍵を落としたと言うと、開けてくれた。
ついでに、父以外が訪ねてきたら、取次がないでもらいたいと伝えた。
まだ、一時間もたってない。九条はまだ、智則が逃げ出した事にも気がついてないかもしれない。
スマホをチェックする。
佐久間から、心配するメールが何通も来ていた。リモートで合ってる時は何もいってなかったのに。他にも数人から連絡があったが、共通しているのは、皆βだった。αには智則の近況が知れ渡っているのかもしれない。
咄嗟に逃げてはきたが、このあとどうするべきか。
資金はある。
一番いいのは拠点も決めずに国内外をとわず色々な所を放浪することだ。
だが、それで、自分は何を得るのか?
大学も中退になってしまう。
インターホンが鳴った。びくりと体が震えるが見ると父だった。ネットをモールス信号のように使用して、『今日か明日九条のところから逃げる』と連絡していたからだろう、早かった。リビングに迎えいれ、
「スマホ、充電してくれててありがとう。会社の件も対応してくれて助かりました。」
「いいや、ただ、ああは言ったが、逃げ出せるとは思ってもなかったけどな、いずれは九条の所に相談にいくつもりだったよ」
「……案外、あっさり行ったよ」
そう、九条は智則を信用していた。
新品のグローブをみつめる。塀を登る時に何処かに引っ掛けたようで、一部が破れていた。
ピカピカのそれに智則が傷つけた。それがまるで九条の心のように思えていたたまれない。
「とりあえず、智則はシャワーを浴びてこい。臭くてたまらん」
「そんなに汗かいてないと思うし……そんな時間ないよ」
悠の眉がピンと動いた。
「?どうかした?」
「いや、いい。これからの事を話すためにも浴びてこい。臭くてたまらん」
…………
酷い言われようだ。
だが、時間がない事は伝えた上でもシャワーを勧めてくるのだから、何らかの理由があるのだろう。
父は、そういう人だ。
熱いシャワーを浴びながら今後を考える。
英樹は信用を裏切った智則を許さないだろう。再び捕まれば、ランニングは勿論のこと、部屋から出ることもネットすら許されない可能性がある。
拠点も持たない英樹から逃げる為だけの未来のない生活と、捕まればなんの自由もない生活と、智則にろくな選択肢はない。
シャワーからでてリビングに行く。
「お前、なんの石鹸使ってんだ?全然落ちてないぞ」
「?何が?メーカーはわからないけど、九条が置いてった石鹸だよ」
「…………他に石鹸ないのか?」
「?ドラッグストアで試供品で渡されたやつならあるけど」
「それで体も頭も洗ってこい」
「…………」
試供品の石鹸をとり再びバスルームに戻る。
どういう事だろうか。九条からもらったの石鹸では落ちない、普通の石鹸なら落ちるナニカ。
………!
胃液がせり上がるってきて、そのまま嘔吐した。
空腹でよかった。
バスルームでよかった。
掃除が楽だ………。
石鹸で念入りに洗う。使われたであろう大腸も、本当は洗い流したかったけれど勇気がなかった。
シャワーからでたら大量に下剤を飲もう。
皮膚が真っ赤になる位に洗った。本当は表皮をはぎ落としてしまいたい位だ。
いつだいつだいつだ!
シャワーから出る。
「なんか、痛そうだ。保湿しておけよ」
と、今度は汚れているとは言われなかった。
汚れている、か……
自分でいっておきながら嗤えた
あの人形、九条の体液まみれになっていた。
またこみ上げてきて、トイレに駆け込んだ。
父が、水をもってきてくれた。
「父さんならわかるんだよね?俺、近々で九条にヤラれた?」
何も言われなかった。
つまりは、そういう事だ。
九条の前で意識がなかったのは………
「昨日、とか?」
否定してくれない。
再び胃が捻じくれる
吐く水分すらないのに嘔吐感が止まらない。
あの石鹸は早々に渡された。その頃から九条は智則を犯していたのか。
Ωやαのクラスメイト達の違和感。
智則は九条のマーキングを色濃く残して登校してたのだろう。
殿山………。
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