努力に勝るαなし

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子羊の抵抗ー西川

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九条からまた連絡があった
あんなことをしでかしたのによくもまた連絡をしたものだ

ヒートではなかったから番契約はなされてはいない
だが、西川の項には縫合した跡が残る。抜糸もまだ済んでいない。

その状況で、まだ自分を慰めものにしようというのか

今回の慰謝料として九条家は西川不動産に巨額の援助を申し出、そして父親はそれを受け入れた。示談成立だ

父親は西川の噛み跡を見て、九条家の妾になれる可能性がさらに高まったと思ったようだ。
次に呼ばれた時は強制的にヒートを起こしていけとも言われた。
誰が行くか。冗談じゃない。

でも、ヒートは良いかもしれない。

九条家は番契約はしたがらないだろう。ヒートを起こしている西川は願い下げなはず。
実際、九条の家に入る前にマンションのゲストルームで小堀がフェロモンチェックを行っている。発情の兆候があれば帰宅を命じられるはずだ。
こちらが断れないなら、あちらに断らせるだけだ。

そして、想像通り、父親に命じられて九条家に向う。
抜糸も済んでない状況だと返事をしたのに却下してくる時点で、今日も相当ヤバい日だ。
ヒート誘発剤を飲んで向う。


西川のフェロモンチェックをして、小堀が舌打ちした。
ヤッタ。これで帰れる
なのに……ヤツは抑制剤を注射しやがった。薬で起こしたヒートを薬で収めるのは体にかなりの負担を強いる。昨年やったノロウィルスとインフルエンザに瞬時に罹患したような感じだった。
ゲストルームのトイレにひたすら引き籠もるしかなかった。
辛くて辛くて涙がでる
「なんで……」
「貴方が、誘発剤など飲んでくるからでしょう。己の浅慮の恨みなさい」

……
こいつら、許せない。

前かがみになって嘔吐するたびに、項の傷が引き攣れる。
声が秋葉に似ていた、それだけでこんな目にあわされるなんて。

ニ時間もすると、嘔吐は落ち着いてきた。頭がガンガンするのと高熱による筋肉の痛みはひかないままだが。

小堀が戻ってきていう。
「シャワーを浴びてきて下さい。智則様が眠られたので、準備ができ次第、英樹様の元に向かいます」

お姫様が眠ったから?だから、僕を安心して嬲ると?ふざけるなっ

「僕は行かないっ」

「そうなさっても結構です。ただ、西川不動産は巨額の赤字を出されてますよね。銀行に九条家が一言伝えているから何もいってこない」

「………卑怯だろっ」

「いいえ?元々、巨額の借金を作られたのは貴方の父上ですよ。……今日は、さほど問題無いと思います。智則様が部屋に籠城されたりはしてないので。さあ、智則様の眠りが深いうちに移動しましょう」


秋葉の眠り
秋葉の眠り
秋葉の眠り
そんなに秋葉に知られたくないのか。
ならば………

もう、家が父がどうなろうがしらない。
父は、銀行と西川で銀行をとったのだ。ならば、西川だって会社と西川なら、いや、コイツらを傷つけられるならば……





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