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無傷では帰れないだろうー西川
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九条様からの連絡は家に来る
父親が9月からの連絡をとても喜んでいる西川が九条英樹に嫁ぐことを夢見ているのだ
この頃で呼ばれているのは西川だけだ。事実を知らなければ、そう誤認するのも仕方がないかもしれない
とはいえ西川にもプライドがあるのだ
あんな風に秋葉の代役として嬲られるだけ嬲られて終わるという時間などお断りだ。
それがわかっているから、九条家いや、小堀達也は西川の家に連絡をしてくるのだ
この日も呼ばれた。嫌な予感がした。この日は絶対に来るようにというお達しだったのだ。今迄は日程の変更の余地はあった。しかし、今回はそれがない。
恐る恐る九条様のマンションにいく。
部屋に入って、九条様を見たときに自分がサンドバッグにされる為に呼ばれたことが分かった。恐らく、今迄以上に手酷く扱われる
既に部屋にいたβ男も九条様の荒れた雰囲気は察しているようだ。
あの趣味の悪い人形も、そして何故かビデオカメラも用意されている。
カメラは許容できない。
小堀達也に抗議したが、
『これの悪用は考えていません。ただ、これは……保険です。貴方を守る為の。隣室でモニターをわたしが見ています』
と言われた。西川というよりも九条様を守るためだろうけど。無傷では帰れない、そう宣告されたようなものだった。
九条様は智則智則と繰り返しながら、人形に噛みついている。結果、西川もβ男に噛みつかれる。痛みにうめく。
「智則。君がΩだったら……」
咄嗟に項を手でかばった。β男がそれを外し首を振った。小声で忠告をしてくる
「人形は動かない。今日は気をつけた方がいい」
………
いつもは、コックリングの苦しさに我を忘れて動く、そしてそれに対して何か反応される事は今迄なかった。
だが、今日は……
熊に会った時に咄嗟に踵を返して逃げる、これはNGだ。ゆっくりゆっくり間合いをとるが正解。
動いているのを見られたらやられる
目にとまってはいけない。
英樹が人形の項をなめた。
β男が西川の項を舐める。Ωの項は急所だ。ゾワゾワして、恐怖のあまりに啜り泣いた。
「ああ、智則、項で感じてくれてるの。もっと僕を感じて」
九条様が人形の項をかぷかぷ噛む。同じように項に歯を当てられ、悪寒が走る
恐怖のあまり、禁じられていた言葉を発してしまった
「もう嫌だ~」
九条様を拒絶する言葉は禁止されていた。
当然だろう、秋葉に相手をされない九条様を慰める為に呼ばれているのだ。拒絶など、本末転倒だ。それでも、咄嗟にでてしまった。
「智則、僕を拒絶するの?夢の中の智則まで僕を拒絶するの?駄目だよ智則。夢ぐらいみさせて。さあ」
がぶりと噛むのが見えた。β男もそれにあわせて噛んできた。ただ、β男もΩの項に噛みつくのは抵抗があるようで跡がつかない強さだ。それでもΩには辛い
「ゔ~」
「演技でいいから受け入れろ」
小声でβ男が囁くが、そんな余裕ない。吐き気までしてきたが、力を入れて耐える
「智則、なんで番ってくれないの」
九条様の声にそちらを見ると…………人形の首が折れていた。項が切れて頭が前に倒れている。それでもまだ噛んでいる
衝撃的な光景に堪えきれずに嘔吐した。
酸味のある臭いが広がる。
しまった
「智則、また吐いたの」
九条様がこっちを見た。いや、見ているけど見ていない
「僕がそんなに嫌なの。僕に触れられてまた吐いたの」
秋葉は九条様に触れらると吐くのか。まるで、番以外を生理的に受け付けないΩのようだ。
「智則……」
九条様が幽鬼のように虚ろな目でこっちにくる。
「ひっ。く、くるな」
思わず後ずさる
「番を拒絶するなんて、駄目だよ、智則」
「九条様っ、僕は西川です。秋葉じゃないっ番じゃない」
小首をかしげられた
「何言ってるの、智則?ああ、そうか、力が足りないんだね」
β男が間に入ってくれたけれど、簡単になぎ倒された。
髪を引っ張られうめいた直後にものすごい痛みが襲った。
噛まれた。項をかまれた。
ヒートもおこしてない時の項なんて痛いだけだ。
神経を直接いじられるような、兎に角絶叫しか出ない。
「痛い、やめて、痛いはなしてやめて!!」
噛む力が更に強くなった。首の折れた人形が目に入る。
「イヤだ~!」
殺される殺される殺される
「西川!声をあげるな!余計に誤認する!」
急に、九条様の力がなくなった。
顔をあげると、ガスマスクを付けた小堀達也がいた。
「α専用のスプレーです」
どうやら、それで昏倒させたらしい。
「救急車をよびます。それまで山岸君、西川君の止血を……ストレッチャーをもってきます。それまでうつ伏せで」
小堀が部屋からでていくと声が聞こえた。
「智則様部屋にお戻りください」
秋葉か。
コイツをキレイでいさせるために、僕がこんな目にあってる
薄れて意識の中、秋葉が自室に戻るのが見えた。
真っ直ぐな立ち姿だな……
父親が9月からの連絡をとても喜んでいる西川が九条英樹に嫁ぐことを夢見ているのだ
この頃で呼ばれているのは西川だけだ。事実を知らなければ、そう誤認するのも仕方がないかもしれない
とはいえ西川にもプライドがあるのだ
あんな風に秋葉の代役として嬲られるだけ嬲られて終わるという時間などお断りだ。
それがわかっているから、九条家いや、小堀達也は西川の家に連絡をしてくるのだ
この日も呼ばれた。嫌な予感がした。この日は絶対に来るようにというお達しだったのだ。今迄は日程の変更の余地はあった。しかし、今回はそれがない。
恐る恐る九条様のマンションにいく。
部屋に入って、九条様を見たときに自分がサンドバッグにされる為に呼ばれたことが分かった。恐らく、今迄以上に手酷く扱われる
既に部屋にいたβ男も九条様の荒れた雰囲気は察しているようだ。
あの趣味の悪い人形も、そして何故かビデオカメラも用意されている。
カメラは許容できない。
小堀達也に抗議したが、
『これの悪用は考えていません。ただ、これは……保険です。貴方を守る為の。隣室でモニターをわたしが見ています』
と言われた。西川というよりも九条様を守るためだろうけど。無傷では帰れない、そう宣告されたようなものだった。
九条様は智則智則と繰り返しながら、人形に噛みついている。結果、西川もβ男に噛みつかれる。痛みにうめく。
「智則。君がΩだったら……」
咄嗟に項を手でかばった。β男がそれを外し首を振った。小声で忠告をしてくる
「人形は動かない。今日は気をつけた方がいい」
………
いつもは、コックリングの苦しさに我を忘れて動く、そしてそれに対して何か反応される事は今迄なかった。
だが、今日は……
熊に会った時に咄嗟に踵を返して逃げる、これはNGだ。ゆっくりゆっくり間合いをとるが正解。
動いているのを見られたらやられる
目にとまってはいけない。
英樹が人形の項をなめた。
β男が西川の項を舐める。Ωの項は急所だ。ゾワゾワして、恐怖のあまりに啜り泣いた。
「ああ、智則、項で感じてくれてるの。もっと僕を感じて」
九条様が人形の項をかぷかぷ噛む。同じように項に歯を当てられ、悪寒が走る
恐怖のあまり、禁じられていた言葉を発してしまった
「もう嫌だ~」
九条様を拒絶する言葉は禁止されていた。
当然だろう、秋葉に相手をされない九条様を慰める為に呼ばれているのだ。拒絶など、本末転倒だ。それでも、咄嗟にでてしまった。
「智則、僕を拒絶するの?夢の中の智則まで僕を拒絶するの?駄目だよ智則。夢ぐらいみさせて。さあ」
がぶりと噛むのが見えた。β男もそれにあわせて噛んできた。ただ、β男もΩの項に噛みつくのは抵抗があるようで跡がつかない強さだ。それでもΩには辛い
「ゔ~」
「演技でいいから受け入れろ」
小声でβ男が囁くが、そんな余裕ない。吐き気までしてきたが、力を入れて耐える
「智則、なんで番ってくれないの」
九条様の声にそちらを見ると…………人形の首が折れていた。項が切れて頭が前に倒れている。それでもまだ噛んでいる
衝撃的な光景に堪えきれずに嘔吐した。
酸味のある臭いが広がる。
しまった
「智則、また吐いたの」
九条様がこっちを見た。いや、見ているけど見ていない
「僕がそんなに嫌なの。僕に触れられてまた吐いたの」
秋葉は九条様に触れらると吐くのか。まるで、番以外を生理的に受け付けないΩのようだ。
「智則……」
九条様が幽鬼のように虚ろな目でこっちにくる。
「ひっ。く、くるな」
思わず後ずさる
「番を拒絶するなんて、駄目だよ、智則」
「九条様っ、僕は西川です。秋葉じゃないっ番じゃない」
小首をかしげられた
「何言ってるの、智則?ああ、そうか、力が足りないんだね」
β男が間に入ってくれたけれど、簡単になぎ倒された。
髪を引っ張られうめいた直後にものすごい痛みが襲った。
噛まれた。項をかまれた。
ヒートもおこしてない時の項なんて痛いだけだ。
神経を直接いじられるような、兎に角絶叫しか出ない。
「痛い、やめて、痛いはなしてやめて!!」
噛む力が更に強くなった。首の折れた人形が目に入る。
「イヤだ~!」
殺される殺される殺される
「西川!声をあげるな!余計に誤認する!」
急に、九条様の力がなくなった。
顔をあげると、ガスマスクを付けた小堀達也がいた。
「α専用のスプレーです」
どうやら、それで昏倒させたらしい。
「救急車をよびます。それまで山岸君、西川君の止血を……ストレッチャーをもってきます。それまでうつ伏せで」
小堀が部屋からでていくと声が聞こえた。
「智則様部屋にお戻りください」
秋葉か。
コイツをキレイでいさせるために、僕がこんな目にあってる
薄れて意識の中、秋葉が自室に戻るのが見えた。
真っ直ぐな立ち姿だな……
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