努力に勝るαなし

認認家族

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体力低下を実感するー智則

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最近の九条は変だ。

気持ちが悪いくらいに穏やかだ

ほんの少し前まではこちらを見る目に欲望が宿っていたようにも思う。
鍵をかけても完全なる安眠はできなかった
けれど今の九条であれば大丈夫な気がする
無理強いはしてこない、そんな気がした。
かといって智則に飽きてくれたわけではないだろう
九条に睡姦されていると知る前の二人の空気感だ。
九条は出会った頃からこんな風に智則への欲望を隠しながら、関係を築いてきていたのだ



「智則、明後日どこか出かけない?行きたい所ある?」

家に…家に帰りたい
優の見舞いに行きたい
いや、寧ろ………

「開放はしない」

言い切られた

最近の九条の様子から、もしかしたらと淡い希望を持ったのだが………

「そんな顔しないで。家が気になるなら一緒に行こう?マンションも解約しないとだし、部屋を片付けにいこうか」

首を振った。
今、なんて言った。マンションを解約?解約して何処に住めと?いや、聞いたら最後だ。
解約云々はさて置き、強姦魔をウチにいれるなんて冗談じゃない。部屋にどんな細工をされるか

優の件もアウトだ。面倒くさい嫉妬でもしてきそうだ。深澤家にこれ以上の迷惑はかけれない。

体がなまってきたから道場に行きたいが、敵の前で鍛錬するほど馬鹿ではない。

結局九条がいては、智則がやりたいことなどできないのだ。
このまま飼い殺されるのか

「いいよ………」

智則の諦めたような物言いに九条は傷ついたようだった
傷つくくらいなら解放してくれればいいのに……


「行きたい所がないなら、僕にトレイルランニング、教えてよ」

レイプ魔の体力向上に協力する被害者がいると思っているのか?
首を振る。

「……そう。じゃあ、僕が走るから智則はおんぶされてて」

「は?」

「前に、行きたいって言ったけど、初心者はパスだって」

「あれは優と二人で……」

しまった、と思ったが九条の表情に変化がなくてホッとした。

「だから練習した。もう、他のランナーたちより早いよ。智則を背負ったままでも早いよ」

……αの運動神経、凄いな。


そして本当に英樹は山を駆け抜けた
むしろ外に出れなくて筋力が低下した智則の方が遅れがちだ。

これは不味い。このままでは、次に英樹が智則に無体を強いてきたとき、抵抗できない可能性がある。
………強いてくるのか?最近の九条には欲望の色がない気がするが。
とはいえ、開放しない以上、信用はできない。
一人暮らしをしていた時の朝のルーティンの復活と道場への通い、これを交渉して勝ち得なければならない。マンションに閉じ込めておきたい九条がどこまで譲歩してくれるのかは不明だが。

3本を行い、久々にスッキリとした。やはり人間、外で、自然に触れ合い、体を動かす事が重要だ!
帰りの車の中では、眠ってしまった。

あたまを撫で慣れている。久々に猛おじさんの夢だ
なんか、気持ちいい。
「猛おじさん……」
一瞬猛おじさんの手がとまった。けれどすぐまた撫でてくれた。
「帰りたいよ。おじさん……」



















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