努力に勝るαなし

夢ー英樹……

『Ωを用意しますか？』
英樹を見かねて達也が提案してくる
けれど智則以外としても虚しいだけだ。
『それでも発散しないと事故に繋がりますよ』
そうだな、タンクは出来る限り空に近い方がいい

ホテルでΩとやろうとして、たたなかった。巣から離れていることも気になってしまった
この界隈では英樹が智則に夢中なのは有名だ
最高位αなのだ。執着相手以外に立たなかったことに対して皆納得をして去っていく
智則の映像を見て抜くぐらいしかできなかった。タンクを空にするなんて絶対無理だ

達也が変な人形を用意した
智則を模した人形だった。
オメガを相手にするよりもまだマシだった
けれど反応もない人形を相手だと虚しさばかり広がっていく

昼間見た智則の唇を思い出し人形に口づけをする。応えることはない
どれだけ愛撫したところで無反応で、智則のあの喘ぎ声も聞けないのだ。

自分が今危ういバランスの上に立っていることぐらいはわかる。

生身の智則が目の前にいて、涎がたまる。英樹の言葉に反応して淡い笑みを浮かべる智則を貪り食いたくて。
でも、笑顔も守りたくて。
心が千々にみだれる


達也が、Ωの西川とβ男性を招いた。
『巣に入れるのは嫌でしょうが、貴方が、巣でないと無理なので』

英樹が人形を愛撫する。
その動きを真似てβ男性が西川に触れる。
西川が喘ぐ。

ああ、西川の声は智則に似ている……。

人形の肩に噛みついた。
「ああ！」
悲鳴をあげた。僕の印……

乳首をつねる
「い～」
智則が悲鳴をあげた。

「智則智則智則っ」
ひたすら噛みつく。食べてしまいたい。僕のだっ

「痛い痛い痛い」
「ヤダヤダヤダ、乳首取れちゃう」

「智則、そんなこと言わないで。体はこんなにも従順なんだから」

智則は力が入らないみたいだ。抵抗してこない
脚を広げ、後腔を露わにする。そのまま舌で解すと智則が喘ぎたした。

「や、九条」
「イッて智則」

智則の良いところに指を突き立てた

「い～～～～～」

「智則……いきたい？」

「いきたい、いかせて九条！」

「智則、僕が欲しいの」

「欲しい、欲しいよ！九条が欲しい」

ああ、智則が僕に抱かれたがっている。

「うん、智則、僕を食べて」

一気に貫いた。そのままほりつづける。
智則が僕を咥えて泣いている。そんなに気持ちいい？
僕もだよ。
何度もイッタ

「もう、もう許して九条。もうイカせて」

？？
智則は何を叫んでいるの？
ああ、このコックリングか。
だめ、とってはダメ。……から醒めてしまう。
僕は智則を抱いているのだ。

何回イッたのかもう覚えていない。
ひたすら智則を貪った
智則はひたすら喘いでお願いって繰り返している
意識が途切れる。

何処かで音がした。

『ご苦労さまでした』
『辛い。チンコがイタイ。リング外して！』
『人形は射精しません。トイレをお貸ししますのでそこで処理されてもかまいませんが、こちらは駄目です。』
『こんな酷いこと赦されると思ってんの』
『さあ？九条家は要望しただけですよ』

何かが聞こえる。
でも、どうでもいい話しのようだ。


「英樹様」
達也に起こされた。
なんか、良い夢を見ていた気がする。
心なしか、体もスッキリしている

ルーティン。智則と朝食を食べる。
コーヒータイムになってから智則のお気に入りのボイシーで経済見通しを聞く。
「九条は、金利どう動くと思う？」
「僕は………」
智則は僕の観点に興味をもっている。色々な視点を持ちたいようで、どうしてそう思ったかとかきいてきてくれる。こちらを見上げる目には尊敬と、微かな興奮があって英樹には嬉しい時間だ
「やっぱお前すげぇな」
笑顔に釘付けになる。形のいい唇に目がいく。
でも、大丈夫だった。
昨日の自分であれば、その口に突っ込みたい欲望と闘ってこの場をそそくさとさるしかなかったが、今日の英樹はその唇を見ていられる。欲望はあるけれど、今を大切にできる。

………
昨夜、何かあったんだっけ？
ああ、そうだ、良い夢をみたんだ。

「九条、なんかご機嫌だな」

「うん。夢見が良くて。あの夢が続けばずっとこんな幸せな時間が続くな」

智則が眉を顰めた。
あ、ダメだ。智則は仕方なくここにいるんだった。
でも、智則が巣にいる今が英樹にとって幸せな時間なのは確かで
ずっと続いて欲しい時間なのも事実なのだ。