努力に勝るαなし

認認家族

文字の大きさ
上 下
87 / 178

九条のルールー智則

しおりを挟む
『ハンストは禁止。お父さんの件は対処するから』

先に言われてしまった。つまり、父を救いたければ、飯を食えと。
けれど、睡眠薬を盛ってくるようなヤツの家で、飯など食べる気がしない。

せめて、外で食べたいと言った。

『僕が指定したお店ならば良いけれど、それ以外はダメ。けど、それじゃ智則は納得しないでしょ』

当然だ。九条の息がかかってる店のなんて、結局薬盛り放題だ。

結果、ボディガードと言う名の監視員に見張られて目についたお店でテイクアウトをする。
そこまで出てきてるなら、食べて帰りたい所だが

『カラトリーが……』
と、言葉を濁して、許可が下りない。

そういえば、ここのところ、箸ばかりでナイフとフォークを使ってない。


一馬を使ってまで智則を捕らえたくせに、九条が智則に無体を働くような事はなかった。寧ろ、合わない日もあるくらいだ。

とはいえ、警戒は忘れていない。
智則に与えられた部屋にベッドはあるが、そこでは寝ない。いつでも起きれるようにと、ソファで座って浅い眠りにつく。
どれだけの日が過ぎたのか、体が限界を訴えはじめた。昼夜を問わず、ソファにいるだけで体がずり落ち、熟睡しそうになる。
ソファを諦めて、椅子で眠る事にした。

かちゃり、ドアの開く小さな音で目が覚めた。そのまま椅子から立ち上がる。
「智則、内鍵を付けるから、だから、だから、眠って。ベッドで寝て」
「………」

返事をしない智則に構わず、九条は内鍵と、ドアチェーンをつけた。
九条もDIYなんてするんだな。

「夜の間は閉めて良いよ。昼間は開けておいて。開いて無ければ、壁ごと壊す」

ドア、ではなく、壁と言った所に九条の本気を感じた。
どこからでも九条が現れる?これ以上、神経を張り詰めた生活をしていたら狂ってしまう。

施錠すると、安心して眠れた。


『授業は暫くリモートで出て』
そう言って、パソコンを渡してきた。
暫く、ね。
寧ろ、その暫くが過ぎたあと、自分はどうなっているのか、飽きて自由になっているのか、それとも飽きてくれずこのまま飼い殺しされるのか。

ただ、授業に出れるのは嬉しかった。
そして、しゃくだが、九条と講義のディスカッションをするのは、楽しかった。視点が違う者の考え方は新鮮で、リストバンドが目に止まるまでは夢中で話した。

リストバンド………優に付けられたやつに似ている。よく分からないがこのリストバンドが弾く引き出しは開けれない。磁石のN極同士が強く弾きあうのだ。

リストバンドにしろアンクルモニターにしろ、優や九条の執着の証に思えて、高揚した気分が一気におちる。

いつまで、自分はここにいるのだろう。












しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

一線の越え方

BL / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:18

チート?な転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

BL / 連載中 24h.ポイント:1,677pt お気に入り:5,155

サキュバスくんが執着御曹司に溺愛されるまで

BL / 連載中 24h.ポイント:725pt お気に入り:24

鬼上司と秘密の同居

BL / 連載中 24h.ポイント:3,260pt お気に入り:635

【R18】注文の多い料理店【TS】ー完結ー

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:737

オメガ判定は一億もらって隔離学園へ

BL / 連載中 24h.ポイント:106pt お気に入り:787

嫌われ者の僕はひっそりと暮らしたい

BL / 完結 24h.ポイント:1,164pt お気に入り:3,020

処理中です...