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被害者ーはるか
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ユリ要素が少し入ります。
苦手な方はこの話を飛ばして下さい。読まなくてもストーリーに影響はありません。
番外編の立ち位置です。
因みに、前話の猛が思い出した映画はエイリアン3。溶鉱炉に落ちてくあのシーンです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
救急出動依頼が入った
現場に向かいながら要請者から事情を聞く
救急対象者は2名
1名はレイプ被害
1名はアナフィラキシーショックによる意識混濁
………
番がいるオメガにをレイプして心肺停止状態になった被疑者を救う必要はあるのだろうかと本気で思ってしまう
まぁ私にそんな権限はないけれど
現場に着いた
部屋は想定外の状態だった
まず、被害者の男の子は私たちに会議しても怯えてエイリアンだと泣き叫んでいた
電話の先の番に助けを求めているのがとても切なかった。
番はずっと私たちのことをβだよ人間だよと言い続けた。
α恐怖症……
番の言葉がやっと彼に響いたのか、彼はこっちを見て人間?と聞いてきた。
頷くと、彼はホッとしたようだった。
痛々しかった
彼の両腕は見たこともないもので縛られていた
ボトムスは履いていない。加害者の精液と彼の血が混ざって大腿を伝っていた。
毛布で彼を包む
彼からスマホを借りて彼のつがいと話をした
話し相手はつがいではなく、被害者加害者の父親、深澤猛だった。
状況を確認する。
AED の機材がそのまま置かれていた。またエピペンも転がっていた。
被害者が加害者を蘇生させたのだろう。
頼られているからって、被害者に息子の蘇生を頼むなんてどれだけ面の皮が厚い親なのだ。苛立ちが募る。
さらに言うなら被害者の秋葉君は、被害者の乗る救急車に同乗するといった。
手も動かせないままで、こんなひどい目にあわされたのにと思うと正直理解ができない。
腕を縛っているこのリストバンドを外してあげたかったが、はるか達の装備では無理だった。
深澤猛に確認をすると、専用の機器かパスコードが必要とのことだった。
「パスコードは何?」
尋ねると深澤猛はいくつか候補があるが秋葉君には聞かれたくないと言っていた。
備え付けのヘッドフォンを秋葉くんにかぶせた
深澤猛がいう。
「智則、あいしてる」「智則すきだ」「智則結婚して」「智則僕とつがいになって」「智則を守る」「智則は優が好き」「智則幸せになって」「遠くから見守るから」「僕から逃げて」
………
「もういい。止めてください」
パスコードはこの系列なのだろう。ただ一文字でも違えば解錠はされない。この告白をずっと聞き続ける気はしなかった。
ヘッドホンを外した
秋葉君に、加害者が今どんな状態なのかを聞かれた。
アレルギー反応です、と。あなたの番があなたを守るためにしてくれたマーキングのおかげなんだよと
秋庭君は曖昧に笑った。なんだろう?
秋葉君はスマホで色々調べ始めた。そして嘔吐した。嘔吐し続けた。
あまりにも酷いので何かの病気かと思ったほどだった
脱水症状になる危険もありそうなほどだったので彼にも診察を試みたが、βの医師が見つからなかった。αを見るだけで半狂乱になる。
事件処理に現れた女性警官のαにも怯えていた。
はるかが抱きしめて背中をあやすようにポンポンとやり続けると少し落ち着いてくる。それでも恐怖心は治らないのかずっとガタガタと震えていた。
医師の診察が受けられないのであればと、経口補水薬を渡すも口に一口入れただけでやはり嘔吐してしまう。
何て酷いことを
加害者の深澤優にイラつきを覚えた。
しばらくすると深澤猛が現れた。
秋葉くんは彼に抱きついて、そして泣き崩れた。
深澤猛は秋葉君を抱きしめたまま処置室の前に陣取った。
曰く秋葉君にマーキングした相手から息子を守る為だと言う
レイプ犯なんて死んでしまえばいいのに。
意識を取り戻した秋葉君に訴えるかと聞いたが訴えないと言われた
かなり納得がいかない
けれどそれは親告罪だし被害者の自由なんだよと女警官に言われて押し黙る
この女性警官は珍しくαだ。αは現場ではなくたいてい指揮の位置にいることが多いのに。
ちなみにはるかはこの女性警官、田辺が苦手だ。田辺自身もはるかのことが苦手なようで出来る限り距離を取ろうとしているのが分かる。
そして秋葉君のつがいがやってきた
女性警官は秋庭君の番が九条というものだったことにとても驚いていた。
「血を見るな……」
どういう意味かと問えば、アルファの中でも最高位になるらしい。高位になればなるほど執着は激しく、つがいを傷つけたものを許さないらしい
つがいを見た秋葉くんは青ざめていた
レイプ被害者は恋人にその事実を知られるのを嫌がる傾向がある
でも恋人だからこそ知っていて、そして寄り添うべきなのだとはるかは思う
けれど……
つがいだと思っていた九条とやらもまた、秋葉君をレイプしていた。
睡眠薬を盛ってレイプするやつ、手を縛ってレイプするやつ、αに本当にろくな人間はいない。
自身も秋葉君をレイプしておきながら、他のものがレイプすることは秋葉君を傷つけることだから、許さないって?
秋葉君が嘔吐していた原因はこの九条っていう男のせいだ。
んで、幼なじみを守りたいなら意識ある状態で自分に抱かれろって提案してくるなんて
秋葉君を何だと思っているのか。
苦笑にもイラつくが田辺にもイラついた
九条が目の前で脅してきているのに何も動こうとしないのだ。
むしろ最高位αに楯突いていると言って、はるかを止める始末だ。
九条がさり、はるかは田辺に抗議した
「はるかさんはアルファーの執着というものを知らない。あの場で、九条の邪魔を続けていたら、今頃はるかさんはここでこんな風に過ごせていない」
αの執着?そんなものは知らない。αにとってβは単なる遊び道具のはずだ
「あの状況を見ておいてそんな風に言うはるかさんも凄いけど」
「遊び道具でないなら性奴隷?睡眠薬とか無理やりとか、人間扱いしてないもんね」
そう、幼馴染の友達は弄ばれて捨てられた。それ以来、はるかは番のいないαが大嫌いだ
「はるかさんが知っているのはそれは下位のαだ。高位はβにはまらないように近づかない」
「秋葉くんはβだし、さらに言うならあの二人は高位αだし。どちらにしろ、αはαとΩの世界で完結してほしいわ。βにはやっぱりβ」
「はるかさんも?」
「はい。今回ので特に思い知ったわ」
「でも遅かったね。1回抱きしめられたら最後なんだよ。せっかく、距離をとっていたのになぁ。それも、九条の狙いかな。こっちも同じ犯罪をしてしまえば、見過ごすしかないもんな~」
「???」
そして、私も田辺にレイプされた。
田辺は私を囲った。
救急隊も辞めさせられた。逃げれないように、服を奪われ裸で生活させられた。外から施錠され、抱かれる事以外、本もテレビも何もすることがない毎日になった。唯一の話し相手が田辺のみで、田辺に依存するようになっていく。自分が壊れていくのが分かる。
田辺が嗤う
「ああ、これで、はるかは私だけのモノになる……」
ぼんやりした頭でおもう。
睡姦とはいえ、まだ九条の方がマシだったのではと。
こんな、壊して自分のみを頼るように作り変える事に喜びを見出すような変態よりは。
深澤にしろ九条にしろ、田辺よりも上位のαだ。執着も田辺以上だ
けれど、二人共、秋葉君を閉じ込めたい自分と闘っているのだろう。
秋葉君が彼らしくあれるようにと、αなりの譲歩だったのかもしれない。
………どちらにしろ、βには理解できないし、しようとも思わないな。
体力の低下を感じる。私、あんまり長くないかもな………
ユリ要素が少し入ります。
苦手な方はこの話を飛ばして下さい。読まなくてもストーリーに影響はありません。
番外編の立ち位置です。
因みに、前話の猛が思い出した映画はエイリアン3。溶鉱炉に落ちてくあのシーンです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
救急出動依頼が入った
現場に向かいながら要請者から事情を聞く
救急対象者は2名
1名はレイプ被害
1名はアナフィラキシーショックによる意識混濁
………
番がいるオメガにをレイプして心肺停止状態になった被疑者を救う必要はあるのだろうかと本気で思ってしまう
まぁ私にそんな権限はないけれど
現場に着いた
部屋は想定外の状態だった
まず、被害者の男の子は私たちに会議しても怯えてエイリアンだと泣き叫んでいた
電話の先の番に助けを求めているのがとても切なかった。
番はずっと私たちのことをβだよ人間だよと言い続けた。
α恐怖症……
番の言葉がやっと彼に響いたのか、彼はこっちを見て人間?と聞いてきた。
頷くと、彼はホッとしたようだった。
痛々しかった
彼の両腕は見たこともないもので縛られていた
ボトムスは履いていない。加害者の精液と彼の血が混ざって大腿を伝っていた。
毛布で彼を包む
彼からスマホを借りて彼のつがいと話をした
話し相手はつがいではなく、被害者加害者の父親、深澤猛だった。
状況を確認する。
AED の機材がそのまま置かれていた。またエピペンも転がっていた。
被害者が加害者を蘇生させたのだろう。
頼られているからって、被害者に息子の蘇生を頼むなんてどれだけ面の皮が厚い親なのだ。苛立ちが募る。
さらに言うなら被害者の秋葉君は、被害者の乗る救急車に同乗するといった。
手も動かせないままで、こんなひどい目にあわされたのにと思うと正直理解ができない。
腕を縛っているこのリストバンドを外してあげたかったが、はるか達の装備では無理だった。
深澤猛に確認をすると、専用の機器かパスコードが必要とのことだった。
「パスコードは何?」
尋ねると深澤猛はいくつか候補があるが秋葉君には聞かれたくないと言っていた。
備え付けのヘッドフォンを秋葉くんにかぶせた
深澤猛がいう。
「智則、あいしてる」「智則すきだ」「智則結婚して」「智則僕とつがいになって」「智則を守る」「智則は優が好き」「智則幸せになって」「遠くから見守るから」「僕から逃げて」
………
「もういい。止めてください」
パスコードはこの系列なのだろう。ただ一文字でも違えば解錠はされない。この告白をずっと聞き続ける気はしなかった。
ヘッドホンを外した
秋葉君に、加害者が今どんな状態なのかを聞かれた。
アレルギー反応です、と。あなたの番があなたを守るためにしてくれたマーキングのおかげなんだよと
秋庭君は曖昧に笑った。なんだろう?
秋葉君はスマホで色々調べ始めた。そして嘔吐した。嘔吐し続けた。
あまりにも酷いので何かの病気かと思ったほどだった
脱水症状になる危険もありそうなほどだったので彼にも診察を試みたが、βの医師が見つからなかった。αを見るだけで半狂乱になる。
事件処理に現れた女性警官のαにも怯えていた。
はるかが抱きしめて背中をあやすようにポンポンとやり続けると少し落ち着いてくる。それでも恐怖心は治らないのかずっとガタガタと震えていた。
医師の診察が受けられないのであればと、経口補水薬を渡すも口に一口入れただけでやはり嘔吐してしまう。
何て酷いことを
加害者の深澤優にイラつきを覚えた。
しばらくすると深澤猛が現れた。
秋葉くんは彼に抱きついて、そして泣き崩れた。
深澤猛は秋葉君を抱きしめたまま処置室の前に陣取った。
曰く秋葉君にマーキングした相手から息子を守る為だと言う
レイプ犯なんて死んでしまえばいいのに。
意識を取り戻した秋葉君に訴えるかと聞いたが訴えないと言われた
かなり納得がいかない
けれどそれは親告罪だし被害者の自由なんだよと女警官に言われて押し黙る
この女性警官は珍しくαだ。αは現場ではなくたいてい指揮の位置にいることが多いのに。
ちなみにはるかはこの女性警官、田辺が苦手だ。田辺自身もはるかのことが苦手なようで出来る限り距離を取ろうとしているのが分かる。
そして秋葉君のつがいがやってきた
女性警官は秋庭君の番が九条というものだったことにとても驚いていた。
「血を見るな……」
どういう意味かと問えば、アルファの中でも最高位になるらしい。高位になればなるほど執着は激しく、つがいを傷つけたものを許さないらしい
つがいを見た秋葉くんは青ざめていた
レイプ被害者は恋人にその事実を知られるのを嫌がる傾向がある
でも恋人だからこそ知っていて、そして寄り添うべきなのだとはるかは思う
けれど……
つがいだと思っていた九条とやらもまた、秋葉君をレイプしていた。
睡眠薬を盛ってレイプするやつ、手を縛ってレイプするやつ、αに本当にろくな人間はいない。
自身も秋葉君をレイプしておきながら、他のものがレイプすることは秋葉君を傷つけることだから、許さないって?
秋葉君が嘔吐していた原因はこの九条っていう男のせいだ。
んで、幼なじみを守りたいなら意識ある状態で自分に抱かれろって提案してくるなんて
秋葉君を何だと思っているのか。
苦笑にもイラつくが田辺にもイラついた
九条が目の前で脅してきているのに何も動こうとしないのだ。
むしろ最高位αに楯突いていると言って、はるかを止める始末だ。
九条がさり、はるかは田辺に抗議した
「はるかさんはアルファーの執着というものを知らない。あの場で、九条の邪魔を続けていたら、今頃はるかさんはここでこんな風に過ごせていない」
αの執着?そんなものは知らない。αにとってβは単なる遊び道具のはずだ
「あの状況を見ておいてそんな風に言うはるかさんも凄いけど」
「遊び道具でないなら性奴隷?睡眠薬とか無理やりとか、人間扱いしてないもんね」
そう、幼馴染の友達は弄ばれて捨てられた。それ以来、はるかは番のいないαが大嫌いだ
「はるかさんが知っているのはそれは下位のαだ。高位はβにはまらないように近づかない」
「秋葉くんはβだし、さらに言うならあの二人は高位αだし。どちらにしろ、αはαとΩの世界で完結してほしいわ。βにはやっぱりβ」
「はるかさんも?」
「はい。今回ので特に思い知ったわ」
「でも遅かったね。1回抱きしめられたら最後なんだよ。せっかく、距離をとっていたのになぁ。それも、九条の狙いかな。こっちも同じ犯罪をしてしまえば、見過ごすしかないもんな~」
「???」
そして、私も田辺にレイプされた。
田辺は私を囲った。
救急隊も辞めさせられた。逃げれないように、服を奪われ裸で生活させられた。外から施錠され、抱かれる事以外、本もテレビも何もすることがない毎日になった。唯一の話し相手が田辺のみで、田辺に依存するようになっていく。自分が壊れていくのが分かる。
田辺が嗤う
「ああ、これで、はるかは私だけのモノになる……」
ぼんやりした頭でおもう。
睡姦とはいえ、まだ九条の方がマシだったのではと。
こんな、壊して自分のみを頼るように作り変える事に喜びを見出すような変態よりは。
深澤にしろ九条にしろ、田辺よりも上位のαだ。執着も田辺以上だ
けれど、二人共、秋葉君を閉じ込めたい自分と闘っているのだろう。
秋葉君が彼らしくあれるようにと、αなりの譲歩だったのかもしれない。
………どちらにしろ、βには理解できないし、しようとも思わないな。
体力の低下を感じる。私、あんまり長くないかもな………
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