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対策はー英樹
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「この程度の商談もまとめられないのか!」
書類を机に叩きつけながら、40代後半の部下に怒鳴った後に、はっとする
「すみません、部長。言葉が過ぎました」
「いえ……もう一度、交渉します」
営業部長がお辞儀をして、退室した。
英樹は椅子にドサリと座った。
完全に八つ当たりだ。今日は、ともすれば叫び出しそうな自分との戦いで、そんな最中にどうしようもない契約書をもってこられてキレてしまった。あの態度はない。
「コーヒー入れますね」
達也が席をたった。
「ありがとう」
携帯をみると、智則に送ったメッセージには既読がついていた。
『おはよう』
『体調はどう?』
『今何しているの』
『一人?』
『お昼食べた?』
『講義、どんな感じ』
『お腹空いてない?』
『今日は殿山君と帰ってね』
一時間おきにメッセージを送っている。今日は特に不安で、本当はずっと電話を繋いでいたい。
智則に嫌がられるから、しないけど。
智則の鞄つけたGPSは智則の自宅マンションになっている。動いてはいない。
達也がコーヒーをもってきた。
コーヒーを飲んでも落ち着かない。
「深澤優の護衛対象への揺さぶりは手配したんだよな。それに穴はないか?」
今夜、ヤツの対象の敵対勢力が攻撃を仕掛ける手はずになっている。深澤優は優秀だ。早すぎても解決させて、智則の元にきてしまう。
金曜日のフライトならば、いい塩梅のはずだ。なのに、何故、これ程に落ち着かないのか。
「一時間前にも確認しましたが、問題はありません」
「そうか…」
達也の電話がなった。嫌な予感がして、聞き耳をたてた。
「キャンセルした?いつのを申し込んでる?……わかった。確認を急げ」
「深澤優か?フライトをキャンセルしたのか?」
「はい。いつに延期したのか確認中です」
ザワリとした。
ヤツは、既に日本にいる
「達也っ車を出せ!智則のマンションに行く!」
部屋を飛び出した。まにあえ!
智則の部屋についた。インターホンを何度も押すが、返答がない
「智則っ智則!!」
ドアをドンドンと叩く。同じ階の住人が通りがかる。
「あれ?貴方……秋葉さんの番さん?」
智則につけたフェロモンと全く同じ香りに、住人が話しかけてきた。
「そうです」
「大変。連絡もらってないの?秋葉さん、救急車で運ばれたみたいですよ。どこの病院かとかは分からないんですけど」
「病院?」
血の気がひいた。
「英樹様」
ふらついた英樹を達也が支えた。
「何があったのですか?」
「分からないわ。救急隊に支えられて……もう一人の人は、ストレッチャーで運ばれていたわ。秋葉さん、不安だと思うから早く迎えに行ってあげて。……彼は被害者よ。悪くない。怒らないで」
………
最悪の想像がよぎる。考えすぎだと思いたい。
達也が病院を調べた。
病院につくと、救急隊がいた。智則の香水が着いている女が女性警察官と話している。
「おい!智則がどこにいるか知らないか!?」
二人はいきなり話しかけてきた英樹に驚いたようだが、警官が、あ~、と言った。被害者の番だな。と。
被害者………
「落ち着いて下さい。秋葉さんは深澤猛さんと、処置室の前にいます。案内します」
警官に先導される。この警官はαだ。
「秋葉さんですが、α恐怖症になられている可能性があります。質問しようとした私に怯えていました」
α恐怖症……
昔、智則が一馬に首を絞められたときになったあれか。
どんなに怖い思いをしたのか。
ぎりっと奥歯がなる。
「深澤猛さんのみ大丈夫なようです。そのせいか不明ですが、深澤優を訴えることはしないとの事でした。パートナーであるあなたが、彼を訴えることも可能ですが、どうしますか?」
訴える?
司法に委ねる?
そんな生温いことをはしない。
書類を机に叩きつけながら、40代後半の部下に怒鳴った後に、はっとする
「すみません、部長。言葉が過ぎました」
「いえ……もう一度、交渉します」
営業部長がお辞儀をして、退室した。
英樹は椅子にドサリと座った。
完全に八つ当たりだ。今日は、ともすれば叫び出しそうな自分との戦いで、そんな最中にどうしようもない契約書をもってこられてキレてしまった。あの態度はない。
「コーヒー入れますね」
達也が席をたった。
「ありがとう」
携帯をみると、智則に送ったメッセージには既読がついていた。
『おはよう』
『体調はどう?』
『今何しているの』
『一人?』
『お昼食べた?』
『講義、どんな感じ』
『お腹空いてない?』
『今日は殿山君と帰ってね』
一時間おきにメッセージを送っている。今日は特に不安で、本当はずっと電話を繋いでいたい。
智則に嫌がられるから、しないけど。
智則の鞄つけたGPSは智則の自宅マンションになっている。動いてはいない。
達也がコーヒーをもってきた。
コーヒーを飲んでも落ち着かない。
「深澤優の護衛対象への揺さぶりは手配したんだよな。それに穴はないか?」
今夜、ヤツの対象の敵対勢力が攻撃を仕掛ける手はずになっている。深澤優は優秀だ。早すぎても解決させて、智則の元にきてしまう。
金曜日のフライトならば、いい塩梅のはずだ。なのに、何故、これ程に落ち着かないのか。
「一時間前にも確認しましたが、問題はありません」
「そうか…」
達也の電話がなった。嫌な予感がして、聞き耳をたてた。
「キャンセルした?いつのを申し込んでる?……わかった。確認を急げ」
「深澤優か?フライトをキャンセルしたのか?」
「はい。いつに延期したのか確認中です」
ザワリとした。
ヤツは、既に日本にいる
「達也っ車を出せ!智則のマンションに行く!」
部屋を飛び出した。まにあえ!
智則の部屋についた。インターホンを何度も押すが、返答がない
「智則っ智則!!」
ドアをドンドンと叩く。同じ階の住人が通りがかる。
「あれ?貴方……秋葉さんの番さん?」
智則につけたフェロモンと全く同じ香りに、住人が話しかけてきた。
「そうです」
「大変。連絡もらってないの?秋葉さん、救急車で運ばれたみたいですよ。どこの病院かとかは分からないんですけど」
「病院?」
血の気がひいた。
「英樹様」
ふらついた英樹を達也が支えた。
「何があったのですか?」
「分からないわ。救急隊に支えられて……もう一人の人は、ストレッチャーで運ばれていたわ。秋葉さん、不安だと思うから早く迎えに行ってあげて。……彼は被害者よ。悪くない。怒らないで」
………
最悪の想像がよぎる。考えすぎだと思いたい。
達也が病院を調べた。
病院につくと、救急隊がいた。智則の香水が着いている女が女性警察官と話している。
「おい!智則がどこにいるか知らないか!?」
二人はいきなり話しかけてきた英樹に驚いたようだが、警官が、あ~、と言った。被害者の番だな。と。
被害者………
「落ち着いて下さい。秋葉さんは深澤猛さんと、処置室の前にいます。案内します」
警官に先導される。この警官はαだ。
「秋葉さんですが、α恐怖症になられている可能性があります。質問しようとした私に怯えていました」
α恐怖症……
昔、智則が一馬に首を絞められたときになったあれか。
どんなに怖い思いをしたのか。
ぎりっと奥歯がなる。
「深澤猛さんのみ大丈夫なようです。そのせいか不明ですが、深澤優を訴えることはしないとの事でした。パートナーであるあなたが、彼を訴えることも可能ですが、どうしますか?」
訴える?
司法に委ねる?
そんな生温いことをはしない。
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