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不安ー英樹
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智則を殿山が連れてきた。昨日の脅しは充分に響いたらしい。
ただ、本人は不本意そうだ。不本意とはいえ連れてきた以上、智則を売ったことに変わりはない
智則をまたユメノで眠らせた。
「九条様、秋葉は……」
一瞥して黙らせた。
拳をギュッと握っているのが見えた。
「………心配するな。今日はマーキングするだけだ」
明らかにほっとした顔をされた
日を追うごとに英樹の焦燥感は強くなっている
本当は智則に鎖でもつけて監禁してしまいたい、それくらいに恐怖感がある。
だが英樹は智則とのあの透明な空気感に惹かれたのである。鎖を付けて智則を壊してあの透明感が保持されるとは思えない。
ここまで智紀に囚われてしまった自分は、透明感がなくなったとしても智紀を愛し続ける。でもできれば透明感のあるままの智則でいてほしいとも思うのだ。自分の理性が続く限りはそうしたいと思ってはいる。
智則をベッドに運んだ。
全身に口付けをしながら服を脱がせていく。指先つま先全てを甘噛みしながら智則を裸に剥いていく。英樹の愛撫になれてきた智則は控えめに答えてくれるようになってきた。
「ん……」
今日は無理はさせない。後腔をほぐし、英樹の先端とキスをさせ、そのまま何度もイッた。温かい内部に指で擦りつける。
こんな保険が必要な事態にはなってほしくないけれど。
どれ程マーキングしようと、不安は尽きない
でも、こんな不安さえも、智則がいたから知れた感情で。
もとに、出会う前に戻りたいなんて思うことはない。
リビングに移動した。
智則が目を覚ます。
「あれ?おれまた寝てた?」
「うん。疲れているみたいだね。週末のトレイルランニング、やめた方が良いんじゃない?」
「………いや、いく」
今の間は、なんだったのだろうか?
こちらを見るその表情がいつもと違う気がする。それは、今、自分に余裕がないから、そう思うのか?
「殿山は?」
「今、コンビニに行ってる」
「……そうか。俺、もう帰る」
「え?もう少しゆっくりしても良いんじゃ」
「帰る」
被せるように言われた。
「分かった」
そういうしか、ない。
『行かないで』
そう言えるのなら、どれだけ良かったろうか。
「駅まで送るよ」
「殿山も戻ってくるんだろ、大丈夫だ」
殿山なんてどうでも良い、なんて、言ったら不信感を与えてしまう
「分かった」
そういうしかない。
玄関でスニーカーの靴紐を結ぶ智則をみて、思わず抱きしめた。
「行かないで」
「?どうした?」
番が巣から飛び立とうとしている。恐怖に声も体も震える。
「?泣いてんのか?何かあったのか?」
智則が腕の中で身じろぎする。
離れようとしているように思えて、より強く抱きしめた。
「……ちょっと動くから緩めろ」
渋々腕を離すと、智則は振り返って頭を撫でてくれた。
え?
ええ?
智則から触れてきてくれてる?
ゆめ?
夢?
撫で続けてくれる。
「何、泣いてんだ。不安なのか?……殿山が戻ってくるまではいるよ」
………殿山君なんか、ずっと戻ってこなくていいのに。
ただ、本人は不本意そうだ。不本意とはいえ連れてきた以上、智則を売ったことに変わりはない
智則をまたユメノで眠らせた。
「九条様、秋葉は……」
一瞥して黙らせた。
拳をギュッと握っているのが見えた。
「………心配するな。今日はマーキングするだけだ」
明らかにほっとした顔をされた
日を追うごとに英樹の焦燥感は強くなっている
本当は智則に鎖でもつけて監禁してしまいたい、それくらいに恐怖感がある。
だが英樹は智則とのあの透明な空気感に惹かれたのである。鎖を付けて智則を壊してあの透明感が保持されるとは思えない。
ここまで智紀に囚われてしまった自分は、透明感がなくなったとしても智紀を愛し続ける。でもできれば透明感のあるままの智則でいてほしいとも思うのだ。自分の理性が続く限りはそうしたいと思ってはいる。
智則をベッドに運んだ。
全身に口付けをしながら服を脱がせていく。指先つま先全てを甘噛みしながら智則を裸に剥いていく。英樹の愛撫になれてきた智則は控えめに答えてくれるようになってきた。
「ん……」
今日は無理はさせない。後腔をほぐし、英樹の先端とキスをさせ、そのまま何度もイッた。温かい内部に指で擦りつける。
こんな保険が必要な事態にはなってほしくないけれど。
どれ程マーキングしようと、不安は尽きない
でも、こんな不安さえも、智則がいたから知れた感情で。
もとに、出会う前に戻りたいなんて思うことはない。
リビングに移動した。
智則が目を覚ます。
「あれ?おれまた寝てた?」
「うん。疲れているみたいだね。週末のトレイルランニング、やめた方が良いんじゃない?」
「………いや、いく」
今の間は、なんだったのだろうか?
こちらを見るその表情がいつもと違う気がする。それは、今、自分に余裕がないから、そう思うのか?
「殿山は?」
「今、コンビニに行ってる」
「……そうか。俺、もう帰る」
「え?もう少しゆっくりしても良いんじゃ」
「帰る」
被せるように言われた。
「分かった」
そういうしか、ない。
『行かないで』
そう言えるのなら、どれだけ良かったろうか。
「駅まで送るよ」
「殿山も戻ってくるんだろ、大丈夫だ」
殿山なんてどうでも良い、なんて、言ったら不信感を与えてしまう
「分かった」
そういうしかない。
玄関でスニーカーの靴紐を結ぶ智則をみて、思わず抱きしめた。
「行かないで」
「?どうした?」
番が巣から飛び立とうとしている。恐怖に声も体も震える。
「?泣いてんのか?何かあったのか?」
智則が腕の中で身じろぎする。
離れようとしているように思えて、より強く抱きしめた。
「……ちょっと動くから緩めろ」
渋々腕を離すと、智則は振り返って頭を撫でてくれた。
え?
ええ?
智則から触れてきてくれてる?
ゆめ?
夢?
撫で続けてくれる。
「何、泣いてんだ。不安なのか?……殿山が戻ってくるまではいるよ」
………殿山君なんか、ずっと戻ってこなくていいのに。
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