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再会ー猛
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やっと、拠点が日本にもどった。
必要な所に連絡をすると、智則から返事がきた。
『叔父さん、会いたいから、都合の良い日、教えてください!いつでもあわせます!30分でもいいから!』
優に焼き餅焼かれそうだ。というか、焼いているだろう。優は智則のスマホをこっそり覗けるように同機させている。
『智則はβと結婚するのが、一番幸せになれる』
だが、智則はβなのにαの劣情を誘う。秋葉の家格でαに望まれれば、智則のβを伴侶にするという未来は難しい。
『守るよ。智則の大学卒業までに、俺は力をつけて日本に戻る。智則の幸せを隣で、見守る』
それは、物凄く辛いことだ。
『良いんだ。智則が智則らしくあれれば。』
唐澤由希を調べた。あの子は智則を感じ取れなくなって壊れた。優もまた、壊れてしまうのだろうか。それならば、隣で血を流し続ける方がいいとでもいうのか。緩慢な自殺。このコは智則に殺されることを望んでいる。それを止めれらない自分の不甲斐なさに、涙する。高位αの執着とは、かくもつよいものなのか。ならば、奪って閉じ込めてしまえばいいのに。
『それは、智則の心が死んでしまう』
ああ、智則がΩであればよかったのに。だが、βだからこそ、今の智則があって、そんな智則だからこそ、優は覚悟を決めているのだ。
昔、智則が優と決別する前、あの試合の前まで、猛は智則と優が夫夫になり会社を回していくという夢をみた。香苗もだ、そんな未来を夢に描いた。
努力家で少しお馬鹿な智則はカワイイ。息子になって、優と二人背中を預けあって二人で会社を成長させて、穏やかな家庭を作って……
なのに、試合って、智則は完全にαを人と認識しなくなった。
あの試合で猛も失ったのだ、優の未来を。当の本人は、その時点で何も気がついてなくて、笑うしかなかった。
あの時、どうすればよかったのだろう。優の覚悟を見せられる度に、後悔が押し寄せる
智則には
『来月には落ち着くから、来月ゆっくり会おう』
と連絡した。久々に合う智則の姿を想像して、笑みが溢れる。
猛を無条件に信頼尊敬してくる智則はカワイイ。優の事が無くても大事にしたいコだ。心情的には甥っ子といった所だ。どうせなら、香苗と3人でゆっくりと過ごしたい。
色々な所に招待されているが、先ずは先代当主にお世話になったので九条家のガーデンパーティにいった。
ドリンクを飲んでいると、
「猛おじさん!」
呼ばれて振り向くと智則がいた。そのまま凄い勢いで、腕の中に飛び込んできた。大きくなったのに、成長していない。いや、中学生の頃のほうが大人びていたか?
泣いているのがわかって頭をポンポンと叩いた。しがみついて、胸に顔をグリグリと押し付けてくる。優に恨まれそうだ。
?
智則のタイから威嚇フェロモンをかんじた。服にもベッタリと着いている。かなりの上位だ。ただ、本体についていない?確認の為、項に顔をちかづけると…
強烈な殺気を食らった。咄嗟に智則に背中を預けて周囲を伺う。
九条英樹が怒気をまとってこちらのにやって来るのが見えた。……智則に着いているのは、コイツのだな。九条から智則を隠しながら、関係をきくと、
「使用済みタオル押し付けられたり?子泣き爺されたり。地味な嫌がらせはうけているよ」
目の前が真っ暗になる気がした。智則は最高位αに目をつけられたのだ。ここまでマーキングをするのだ。唯一と決めているのだろう
優が身を引いたのはこんなことのためではないのに!優を呼び寄せるか?いや、もう遅い。どうすればいいのか!
智則が怯えている。九条のナニカを察したのだろう。優が力を付けて遠ざけてあげたかったモノ
「これはまだ幼い。勉学に励んできたので、疎いのです。今は、何卒ご容赦を。我々は師弟関係にあったのですが、事情で6年ほど会えてなかったので、お許しを頂きたく………」
「く、九条、俺もゴメンな。マナー違反だった」
智則の言葉に、九条がため息を着いた。空気が柔らかくなった。九条は智則に本気だ。
「分かりました。警告を無視した件は今回は見逃します」
威嚇フェロモン。猛には効かなかったが、恐らく智則に邪な思いを抱いているものであったら、無傷ではなかったろう。
九条のもの言いに、智則が不快に感じているのが伝わってきたが、抑えろと合図した。
そのまま、九条は智則を連れて行った。
もう、パーティどころではない。
今回の事で、ヤツは改めて深澤家を調べるだろう。優の思いが知られるのも時間の問題だ。
どうする?
智則を説得して優と二人で逃がすか?
逃げれるのか、あの執着から?
『叔父さん、久しぶり!来月、楽しみにしているね!』
『あ、九条きたからまたね』
慌ててメールを返す
『何度もいうが、いつでもどこでも、お前だけに出される食べ物は口にするなよ!』
………智則がこの返事を読めているといいんだが
必要な所に連絡をすると、智則から返事がきた。
『叔父さん、会いたいから、都合の良い日、教えてください!いつでもあわせます!30分でもいいから!』
優に焼き餅焼かれそうだ。というか、焼いているだろう。優は智則のスマホをこっそり覗けるように同機させている。
『智則はβと結婚するのが、一番幸せになれる』
だが、智則はβなのにαの劣情を誘う。秋葉の家格でαに望まれれば、智則のβを伴侶にするという未来は難しい。
『守るよ。智則の大学卒業までに、俺は力をつけて日本に戻る。智則の幸せを隣で、見守る』
それは、物凄く辛いことだ。
『良いんだ。智則が智則らしくあれれば。』
唐澤由希を調べた。あの子は智則を感じ取れなくなって壊れた。優もまた、壊れてしまうのだろうか。それならば、隣で血を流し続ける方がいいとでもいうのか。緩慢な自殺。このコは智則に殺されることを望んでいる。それを止めれらない自分の不甲斐なさに、涙する。高位αの執着とは、かくもつよいものなのか。ならば、奪って閉じ込めてしまえばいいのに。
『それは、智則の心が死んでしまう』
ああ、智則がΩであればよかったのに。だが、βだからこそ、今の智則があって、そんな智則だからこそ、優は覚悟を決めているのだ。
昔、智則が優と決別する前、あの試合の前まで、猛は智則と優が夫夫になり会社を回していくという夢をみた。香苗もだ、そんな未来を夢に描いた。
努力家で少しお馬鹿な智則はカワイイ。息子になって、優と二人背中を預けあって二人で会社を成長させて、穏やかな家庭を作って……
なのに、試合って、智則は完全にαを人と認識しなくなった。
あの試合で猛も失ったのだ、優の未来を。当の本人は、その時点で何も気がついてなくて、笑うしかなかった。
あの時、どうすればよかったのだろう。優の覚悟を見せられる度に、後悔が押し寄せる
智則には
『来月には落ち着くから、来月ゆっくり会おう』
と連絡した。久々に合う智則の姿を想像して、笑みが溢れる。
猛を無条件に信頼尊敬してくる智則はカワイイ。優の事が無くても大事にしたいコだ。心情的には甥っ子といった所だ。どうせなら、香苗と3人でゆっくりと過ごしたい。
色々な所に招待されているが、先ずは先代当主にお世話になったので九条家のガーデンパーティにいった。
ドリンクを飲んでいると、
「猛おじさん!」
呼ばれて振り向くと智則がいた。そのまま凄い勢いで、腕の中に飛び込んできた。大きくなったのに、成長していない。いや、中学生の頃のほうが大人びていたか?
泣いているのがわかって頭をポンポンと叩いた。しがみついて、胸に顔をグリグリと押し付けてくる。優に恨まれそうだ。
?
智則のタイから威嚇フェロモンをかんじた。服にもベッタリと着いている。かなりの上位だ。ただ、本体についていない?確認の為、項に顔をちかづけると…
強烈な殺気を食らった。咄嗟に智則に背中を預けて周囲を伺う。
九条英樹が怒気をまとってこちらのにやって来るのが見えた。……智則に着いているのは、コイツのだな。九条から智則を隠しながら、関係をきくと、
「使用済みタオル押し付けられたり?子泣き爺されたり。地味な嫌がらせはうけているよ」
目の前が真っ暗になる気がした。智則は最高位αに目をつけられたのだ。ここまでマーキングをするのだ。唯一と決めているのだろう
優が身を引いたのはこんなことのためではないのに!優を呼び寄せるか?いや、もう遅い。どうすればいいのか!
智則が怯えている。九条のナニカを察したのだろう。優が力を付けて遠ざけてあげたかったモノ
「これはまだ幼い。勉学に励んできたので、疎いのです。今は、何卒ご容赦を。我々は師弟関係にあったのですが、事情で6年ほど会えてなかったので、お許しを頂きたく………」
「く、九条、俺もゴメンな。マナー違反だった」
智則の言葉に、九条がため息を着いた。空気が柔らかくなった。九条は智則に本気だ。
「分かりました。警告を無視した件は今回は見逃します」
威嚇フェロモン。猛には効かなかったが、恐らく智則に邪な思いを抱いているものであったら、無傷ではなかったろう。
九条のもの言いに、智則が不快に感じているのが伝わってきたが、抑えろと合図した。
そのまま、九条は智則を連れて行った。
もう、パーティどころではない。
今回の事で、ヤツは改めて深澤家を調べるだろう。優の思いが知られるのも時間の問題だ。
どうする?
智則を説得して優と二人で逃がすか?
逃げれるのか、あの執着から?
『叔父さん、久しぶり!来月、楽しみにしているね!』
『あ、九条きたからまたね』
慌ててメールを返す
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………智則がこの返事を読めているといいんだが
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