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山下教授ー智則
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父がある日『この公演に行ってみないか』と誘ってきた
経済学者の講演だった。興味は全くない、というより今の智則は全てのものに興味がなかった。ただただ機械的に過ごしていただけだった。だが、珍しく父親が誘ってきたのだ。仕方がないとその講演を聞きに行った
『全てのものは経済に繋がる。自分がしてきた無意味なことも、無駄なことも、それは誰かのお金になっていく。つまり誰かに益をもたらしたのだ。自分が気がついてないだけで、自分のその行いは何もならなかったわけではない。人生に無駄な物などないのだ』
そうか、智則の努力は、誰かの為になっていたのだろうか。
別にこの教授がとても特別なことを言っているというわけではないのだろう。だが智則の心に染み渡った。
どうしようもないような絶望の中を救われた、そんな気がした。
それから智則は山下教授について調べた。βでありながら、帝都大学の教授をしていた。
どこかで公演があると聞けば、電車を乗り継いででも聴講しに行った。
やがて智則は帝都大学を、山下ゼミを目指すようになった。
経済を理解するためには何がいいかを考えた時、智則の頭に浮かんだのは投資、だった。
投資は父親の名義を借りた。ここでもβというものは使えないバースだった。αであれば父の名義など借りずとも投資などできたであろうに
全てが複雑に絡み合い、儲かったり損したり。
社会情勢が経済に与える影響などもお金という明白な基準で見えてくるようになった。
高校受験シーズンに突入した
父親は公立の高校の受験を指示した。帝都大学への道筋としては遠回りになるけれど、父との約束だからそれは守ることにした。
優には伝えていなかったので、すごくショックを受けていたようだった。
ひどく癇癪を起こしていた。
これは一波乱あるだろうなあと思っていたのだが、意外にも優がその後、口出して来ることはなかった。
経済学者の講演だった。興味は全くない、というより今の智則は全てのものに興味がなかった。ただただ機械的に過ごしていただけだった。だが、珍しく父親が誘ってきたのだ。仕方がないとその講演を聞きに行った
『全てのものは経済に繋がる。自分がしてきた無意味なことも、無駄なことも、それは誰かのお金になっていく。つまり誰かに益をもたらしたのだ。自分が気がついてないだけで、自分のその行いは何もならなかったわけではない。人生に無駄な物などないのだ』
そうか、智則の努力は、誰かの為になっていたのだろうか。
別にこの教授がとても特別なことを言っているというわけではないのだろう。だが智則の心に染み渡った。
どうしようもないような絶望の中を救われた、そんな気がした。
それから智則は山下教授について調べた。βでありながら、帝都大学の教授をしていた。
どこかで公演があると聞けば、電車を乗り継いででも聴講しに行った。
やがて智則は帝都大学を、山下ゼミを目指すようになった。
経済を理解するためには何がいいかを考えた時、智則の頭に浮かんだのは投資、だった。
投資は父親の名義を借りた。ここでもβというものは使えないバースだった。αであれば父の名義など借りずとも投資などできたであろうに
全てが複雑に絡み合い、儲かったり損したり。
社会情勢が経済に与える影響などもお金という明白な基準で見えてくるようになった。
高校受験シーズンに突入した
父親は公立の高校の受験を指示した。帝都大学への道筋としては遠回りになるけれど、父との約束だからそれは守ることにした。
優には伝えていなかったので、すごくショックを受けていたようだった。
ひどく癇癪を起こしていた。
これは一波乱あるだろうなあと思っていたのだが、意外にも優がその後、口出して来ることはなかった。
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