努力に勝るαなし

優に挑んだ日ー智則

目的は言わなかったが、先生に特別メニューを作ってもらった。
でも、先生にはばれている。先生が作るメニューは優対策がメインになっていた。

メニューはとてつもなくハードだった。ここまでしなければ優には勝てないのか。足の血豆は何度も潰れた。猛との鍛錬での打撲痕が酷くて、長袖しか着れなくなった。

メニューについていけず倒れてしまったこともある。病院に運ばれて点滴を受けたりもした。それでも特に父は何も言わなかった。

兄の一馬には『そこまでしててみっともないねェ、βというものは』と言われた
確かにポテンシャルが違う。ただそれでも智則は一馬よりも動けるし、一馬よりも成績は優秀だ。
人のことをみっともないと言う前に、努力もできてない結果、βに負けてる自分がはずかしくないのかよと、ちょっとだけ思った。面倒だから言わないけれど。


優と勝負した。
ストレート負けだった
あれだけの努力をしても、優には勝てなかった。軽く鍛錬した上位のアルファーにはかなわないのだ。もはや遺伝子からして違うのだと実感した。
やはり、別の種族なのだ。

同時にこれまでの自分の努力を思うととても虚しくなった
チーターに本気で走りで勝とうとする人間がいるだろうか
パソコンの演算能力に本気で勝とうとする人間がいるのだろうか
智則が今まで行なってきた努力というものはそういうものだったのだ。

それでも習慣化したトレーニングは続けた。猛から紹介された新たな道場にも通った。勉強もだ。だがそれに何の意味も見出せないままだった