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禁欲と反動ー英樹2
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智則が誘いに乗ってくれない。
攫って監禁してしまいたい自分との戦いだ。
西川でごまかしているが、いつまで自分は持つのだろうか。
バス企画から、工場の公募の知らせがきた。
急な連絡だ。
『通常はオンラインで行なっている工場公募ですが、一部の出資者の要望により今回のみ対面式公募となります』
あの変態が、出資者に何か言われた所でそんな面倒なことをするようには思えない。煩わしい要求をしてくるようであれば、製品を売らないと脅してくるだけだ。そして、出資者達はそれだけは避けたいはずだ。バス企画の製品は唯一無二のニッチな商品なのだ
『パートナーとのご参加をお待ちしております。参加特典として、ユメノシリーズの次回作のサンプルをお渡しいたします。説明会終了後にお時間のある方は、入場される際に配っているドルチェを開会前にお召し上がりいただく事を勧めます』
嗤ってしまう。
つくづく、αというのは愚かな生き物だ。
こんな頭脳を持ちながらも、ヤツもまた本能のままに盛って伴侶にバレかけているのであろう。
ヤツは、顧客のユメノのアロマの発注頻度から今回の招待客をヘビーユーザーにしぼっているばす。お互いをバーターにして、信用を取り戻そうと、言ってきている
智則に声をかけると、難なく了承された。英樹の家ではないこと、バス企画で有ることが大きいのだろう。
ドルチェは入口に置かれ、参加者が自分で選ぶようにしてあった。座席もだ
全てが『あなたが自分で選んだのです。α側の作為が入る余地はなかったでしょう?』といったところか。全員が共犯者だが。
智則に『美味しいよ』と言いながらドルチェを勧める。勿論、英樹も食べる。
智則は、いや、参加しているβ達はヤツの話術にすっかり嵌っている。連れのαどもは、このあとの事を考えて、皆、雄の顔をしている。英樹も、人のことは言えないのだろうけど。
会が終わって、智則はぐったりしていた。『すげー面白すぎて、集中し過ぎて疲れたわ』うん、奴の狙いはそれだから。
家に誘うと、智則は素直に同意した。カフェに行くには、この面々だと辛いものがある。そうなることを見越して殿山君をさそったのだ。
殿山君が顔を引き攣らせた。
「高位αの推察力が凄いなと」
そうだよ。全ては、作為的なんだよ。智則は選んでいるつもりだけど、初めから選択肢なんてないんだよ。
「褒めてくれてありがとう~。殿山君は、最近僕とも友達だって事、忘れかけているみたいだから、嬉しいな」
しっかりと、脅しをかけた。最近の殿山は智則寄りだ。智則に懸想しないαが側にいるのは、智則の今後にはいい。だが、智則に同情して英樹の邪魔をするのは許さない。
軽く怒気を乗せた英樹の言葉に、殿山がはっきりと青ざめた。
それでいい。4週間もご無沙汰になったのは、殿山の協力が得られなかったことも大きいのだ。
英樹の部屋でテイクアウトしたケーキを食べると、智則の眠気が限界にきたらしい。
「九条、悪い、眠い。ソファーかりる」
智紀が自分から休むだなんて、ああ、なんて可愛いんだ
「いいよ、ゆっくりお休み」
そう、ゆっくりとお休み。
「殿山君」
「はいっ4時間後ですね!」
直立している。
まあ、先程の警告も効いたようだし、いい事にするか。
「うん。よろしくね」
智則を寝室につれていく。
ユメノシリーズの最新作、その力を見せてもらおうか!
攫って監禁してしまいたい自分との戦いだ。
西川でごまかしているが、いつまで自分は持つのだろうか。
バス企画から、工場の公募の知らせがきた。
急な連絡だ。
『通常はオンラインで行なっている工場公募ですが、一部の出資者の要望により今回のみ対面式公募となります』
あの変態が、出資者に何か言われた所でそんな面倒なことをするようには思えない。煩わしい要求をしてくるようであれば、製品を売らないと脅してくるだけだ。そして、出資者達はそれだけは避けたいはずだ。バス企画の製品は唯一無二のニッチな商品なのだ
『パートナーとのご参加をお待ちしております。参加特典として、ユメノシリーズの次回作のサンプルをお渡しいたします。説明会終了後にお時間のある方は、入場される際に配っているドルチェを開会前にお召し上がりいただく事を勧めます』
嗤ってしまう。
つくづく、αというのは愚かな生き物だ。
こんな頭脳を持ちながらも、ヤツもまた本能のままに盛って伴侶にバレかけているのであろう。
ヤツは、顧客のユメノのアロマの発注頻度から今回の招待客をヘビーユーザーにしぼっているばす。お互いをバーターにして、信用を取り戻そうと、言ってきている
智則に声をかけると、難なく了承された。英樹の家ではないこと、バス企画で有ることが大きいのだろう。
ドルチェは入口に置かれ、参加者が自分で選ぶようにしてあった。座席もだ
全てが『あなたが自分で選んだのです。α側の作為が入る余地はなかったでしょう?』といったところか。全員が共犯者だが。
智則に『美味しいよ』と言いながらドルチェを勧める。勿論、英樹も食べる。
智則は、いや、参加しているβ達はヤツの話術にすっかり嵌っている。連れのαどもは、このあとの事を考えて、皆、雄の顔をしている。英樹も、人のことは言えないのだろうけど。
会が終わって、智則はぐったりしていた。『すげー面白すぎて、集中し過ぎて疲れたわ』うん、奴の狙いはそれだから。
家に誘うと、智則は素直に同意した。カフェに行くには、この面々だと辛いものがある。そうなることを見越して殿山君をさそったのだ。
殿山君が顔を引き攣らせた。
「高位αの推察力が凄いなと」
そうだよ。全ては、作為的なんだよ。智則は選んでいるつもりだけど、初めから選択肢なんてないんだよ。
「褒めてくれてありがとう~。殿山君は、最近僕とも友達だって事、忘れかけているみたいだから、嬉しいな」
しっかりと、脅しをかけた。最近の殿山は智則寄りだ。智則に懸想しないαが側にいるのは、智則の今後にはいい。だが、智則に同情して英樹の邪魔をするのは許さない。
軽く怒気を乗せた英樹の言葉に、殿山がはっきりと青ざめた。
それでいい。4週間もご無沙汰になったのは、殿山の協力が得られなかったことも大きいのだ。
英樹の部屋でテイクアウトしたケーキを食べると、智則の眠気が限界にきたらしい。
「九条、悪い、眠い。ソファーかりる」
智紀が自分から休むだなんて、ああ、なんて可愛いんだ
「いいよ、ゆっくりお休み」
そう、ゆっくりとお休み。
「殿山君」
「はいっ4時間後ですね!」
直立している。
まあ、先程の警告も効いたようだし、いい事にするか。
「うん。よろしくね」
智則を寝室につれていく。
ユメノシリーズの最新作、その力を見せてもらおうか!
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