努力に勝るαなし

認認家族

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風邪薬を貰いにいったら、滋養強壮剤ー智則

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最近、体がおかしい。妙にダルいのだ。

九条の家に行くと、睡魔に襲われる。数時間で目は覚めるが全身の脱力感が酷い。まるで、マラソンでもした後のようだ。

『疲れているんだね。今日泊まっていけば?』

ほわほわした表情の九条に言われる。

『何があっても、αの家には泊まるな。例えそれが優であってもだ』

猛に言われている。だから、とてもダルいけれど、活を入れて何とか殿山と家に帰る。

殿山は良い奴だ。寝落ちした俺に付き合って、一緒に帰ってくれる。

『ありがとうな』

そういうと、ぎゅっと眉を寄せる。こいつはαの割に表情が豊かだ。
βの友人といる時の気安さがある。

『あまりにもタルすぎるから病院に行ったんだ。血液検査も何もでなくて、ストレスだろうって言われた』

『それって……その医者ってβの医者、……だよなぁ』

『わからない。バース関係ある?』

αの特性か、医師になる者は少ない。いても、外科医だったり、研究医だったり華々しい地位で、町医者なんて稀だ。

『いや……』
何か、悩んでいる


この体調不良。正直な所、九条を疑った。あいつの家に行った時のみ眠気に襲われる。だが、血液からは特に何も出なかった。食べ物にも気を使っている。それに、自分を眠らせて、九条になんの益がある?あの九条財閥だ。智則が持っている資金など、呼吸するかのように生み出せる。
それよりかは、α3人に囲まれ、経済やその他をディスカッションする事に寄るストレスといわれれば納得がいく。楽しいけれど、脳がキャパオーバーしてる感じもあるのだ。


暫く、九条の誘いは断る事にした。
やはり、眠気はなくなった。

自分はαが得意ではない自覚がある。だが、こうまで覿面だと、苦手と言ったほうが良いのだろう。


九条がまた誘ってきた。
バス企画の株主説明会だ。上場していない企業のに参加なんて、滅多にない機会だ。行く事にした。
株主説明会というか、不思議な会だった。とても興味深い内容で、脳がフル回転だった。終わった時には、集中し過ぎでぐったりした。

「智則、大丈夫?ちょっとウチで休んでく?殿山君も疲れたみたいだし……」

確かに、一休みしたい。つか、気が抜けて眠い。だが、このキラキラしいαが3人もいたらカフェでまったりなどできまい。

「わかった。行く」

殿山が驚いた顔をした。俺が九条のウチに行くのをここの所避けていたのを知っているからだろう。

「カフェは九条だけならまだしも、殿山みたいなチャラいイケメンがいると、話しかけてくる女子でウザいから、九条んチが無難だろう?」

「……そうだね」

「??どうかしたのか?」

「いや、高位αの推察力が凄いなと」

殿山が顔を強張らせながら言った。

「褒めてくれてありがとう~。殿山君は、最近僕とも友達だって事、忘れかけているみたいだから、嬉しいな」

九条の言葉に、殿山がはっきりと青ざめた。

おいおい。

「とにかく、九条のとこ、行こうぜ。一息付きたい」


移動中も眠かったが、テイクアウトしたケーキを食べると、限界だった。
「九条、悪い、眠い。ソファーかりる」

「いいよ、ゆっくりお休み」

九条が、とろりとした目を向けた。智則はそのまま寝落ちした。

ソファーで眠ったから寒かったのか、喉を痛めた。体も今までにない位かなりダルい。腹にも何か違和感がある。

……帰りに病院に行っといたほうが良さそうだ。


駅で殿山と別れた。
自宅近くの病院に行った。Ωの医師だった。
友人の家で寝落ちしたら風邪をひいたようだ、と言った。
ものすごく、憐れまれた。
点滴をされ、滋養強壮剤を出された。

……何故に?


































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