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バースー智則
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俺には大切な幼馴染みがいる。
THE α
という、感じの幼馴染みだ。
実際上位のそれもかなり上のα様だ。
小さい頃は、α様な優に敵わないのが悔しくて仕方なかった。
今はもう、遺伝子設計が違うのだからと諦めたけど。
優とは、幼稚園からの付き合いだ。
智則がβと判明しても、態度を変えなかった数少ない友人だ。
βと分かって離れていった奴はどうでもいい、ただ、βを下に見てからかってくる奴らがウザかった。
無視をすればβのくせに生意気といい、返答すれば慇懃無礼だという。正直、面倒くせえ。
幼稚園の頃に自分に告白した黒歴史なんて人に言いふらしたりしないから、こっちの存在なんて忘れろ。そっちが構わなきゃこっちも忘れられるんだよ。まさか、黒歴史を覚えておいてほしいとかっていう、マゾか?
基本的に負けん気の強い智則が泣いたりすることはなかった。
自分で言い出した以上は、父に泣き言をいうわけにもいかなかった。
ただ、『お前は正しいよ』『智則が一緒の学校で俺は嬉しい』『あんな馬鹿どもは無視してりゃいいんだよ』『βだって判明する一分前と一分後で智則の何がかわったの?変わってない』そんな風に言い続けてくれた優に愚痴をこぼしていた。
特に兄の一馬からの嫌がらせはしんどかった。
「お前がβだったから!俺は被害者だ」
と、両親のいない日に腹を蹴ってくる。
ある日の事だった。
両親から夜遅くなると、連絡があった。
両親がいないのは久々で、ストレスを溜め込んだ兄の八つ当たりがひどくなるのは予測がついた。
優の所へ行くか?
さっさと動かなかったことが敗因だろう。
一馬がご丁寧にも靴を履いて智則の部屋にやってきた。
智則のお腹を何度も蹴り上げた一馬は、確かに嗤っていた。変なニオイがした。幼い智則にはそれが、精液とαのフェロモンが混じったニオイとはわからなかった。反応が鈍くなってきた智則につまらなさを覚えた一馬は覚えたてのプロレス技をかけた。余りの痛みに智則は絶叫した。近隣に響き渡った。焦った一馬は、智則の口を押さえようとしたが歯にあたり、噛まれるのではという恐怖から、首をしめるほうに切り替えた。
このあたりは、高級住宅街で、その為、近所に派出所がある。住民の防犯意識も高い。
薄れゆく意識の中、警官が智則の部屋に入ってきたのが見えた。。
目が覚めた時、知らないベッドの上だった。全身が痛くて、おそらくここが病院なのだと思った。
知らない女性がドアの前に立っていた。
「あの、僕は……」
なんでここに?そう聞こうとして、こえが出ない事に気が付いた。
「無理に話さなくていいよ。喉をやられているから…。起き上がる必要もないわ。私は警察です」
ああ、あの時、入ってきたのは警察だったのか。
「いくつか質問するわね。ハイなら親指をたてて、いいえならグーで。答えたくないならパーで。何があったかは覚えている?」
親指を立てる
「貴方のその状態はお兄さんのせい?」
どうせ、バレてるしな。親指をたてる。
「貴方には昨日以外の打撲痕があった。以前からお兄さんに?」
答えるのに躊躇いがある。
何が正解なのか、答えることで、なにが起きる?答えない事で何がおきる?
指を動かせないでいた。
「そっか、そうだよね……」
ノックの音が響いた。男が入ってきた。思わず体が逃げようとし、痛みにうめいた。
智則のそれを見て、男は出ていった。
「あ、すみません、俺……」
「気にしなくていいの。それより、声、無理しないで。」
また、ノックされ、今度は女性が入ってきた。
またも、智則は後ずさり痛みにうめいた。
自分はこんなに人が苦手だったか?
初めからいた婦人警官は、平気だったのに?
女性が智則に手をのばした時、智則は耐えきれずに悲鳴をあげ、そして意識を失った。
3日後、智則の元に両親が面会にきた。だが、やはり智則は恐怖を覚えた。
婦人警官はその様子を見ていた。両親から智則への暴力は確認されていない。だが………。
暴力にあったΩはフェロモンを出しているα、つまり、精通後のαを反射的に忌避する。智則には同じ症状が出ていた。確認のため精通していないアルファーのと智則を合わせたが、智則がその子供α等を怖がることはなかった。
ならば、退院後に自宅へ返す事は難しい。智則は特例で、暫く病院から学校に通う様になった。無論、智則にアルファ恐怖症のことは伝えていない。
また今回の言葉兄弟喧嘩として処理された。
一馬がまだ小学生であること、一馬の精神科への通院、ヘルパーを複数人雇い、一馬と智則が二人だけになる瞬間を作らない事を約束したからだ。
久しぶりに学校に行くと優が飛んできた。
『どうしたんだよ』と聞かれたが兄弟喧嘩をしたとだけ答えた。答えながら自分が優まで怖がるような人間になっていないことに智則はホッとした。
THE α
という、感じの幼馴染みだ。
実際上位のそれもかなり上のα様だ。
小さい頃は、α様な優に敵わないのが悔しくて仕方なかった。
今はもう、遺伝子設計が違うのだからと諦めたけど。
優とは、幼稚園からの付き合いだ。
智則がβと判明しても、態度を変えなかった数少ない友人だ。
βと分かって離れていった奴はどうでもいい、ただ、βを下に見てからかってくる奴らがウザかった。
無視をすればβのくせに生意気といい、返答すれば慇懃無礼だという。正直、面倒くせえ。
幼稚園の頃に自分に告白した黒歴史なんて人に言いふらしたりしないから、こっちの存在なんて忘れろ。そっちが構わなきゃこっちも忘れられるんだよ。まさか、黒歴史を覚えておいてほしいとかっていう、マゾか?
基本的に負けん気の強い智則が泣いたりすることはなかった。
自分で言い出した以上は、父に泣き言をいうわけにもいかなかった。
ただ、『お前は正しいよ』『智則が一緒の学校で俺は嬉しい』『あんな馬鹿どもは無視してりゃいいんだよ』『βだって判明する一分前と一分後で智則の何がかわったの?変わってない』そんな風に言い続けてくれた優に愚痴をこぼしていた。
特に兄の一馬からの嫌がらせはしんどかった。
「お前がβだったから!俺は被害者だ」
と、両親のいない日に腹を蹴ってくる。
ある日の事だった。
両親から夜遅くなると、連絡があった。
両親がいないのは久々で、ストレスを溜め込んだ兄の八つ当たりがひどくなるのは予測がついた。
優の所へ行くか?
さっさと動かなかったことが敗因だろう。
一馬がご丁寧にも靴を履いて智則の部屋にやってきた。
智則のお腹を何度も蹴り上げた一馬は、確かに嗤っていた。変なニオイがした。幼い智則にはそれが、精液とαのフェロモンが混じったニオイとはわからなかった。反応が鈍くなってきた智則につまらなさを覚えた一馬は覚えたてのプロレス技をかけた。余りの痛みに智則は絶叫した。近隣に響き渡った。焦った一馬は、智則の口を押さえようとしたが歯にあたり、噛まれるのではという恐怖から、首をしめるほうに切り替えた。
このあたりは、高級住宅街で、その為、近所に派出所がある。住民の防犯意識も高い。
薄れゆく意識の中、警官が智則の部屋に入ってきたのが見えた。。
目が覚めた時、知らないベッドの上だった。全身が痛くて、おそらくここが病院なのだと思った。
知らない女性がドアの前に立っていた。
「あの、僕は……」
なんでここに?そう聞こうとして、こえが出ない事に気が付いた。
「無理に話さなくていいよ。喉をやられているから…。起き上がる必要もないわ。私は警察です」
ああ、あの時、入ってきたのは警察だったのか。
「いくつか質問するわね。ハイなら親指をたてて、いいえならグーで。答えたくないならパーで。何があったかは覚えている?」
親指を立てる
「貴方のその状態はお兄さんのせい?」
どうせ、バレてるしな。親指をたてる。
「貴方には昨日以外の打撲痕があった。以前からお兄さんに?」
答えるのに躊躇いがある。
何が正解なのか、答えることで、なにが起きる?答えない事で何がおきる?
指を動かせないでいた。
「そっか、そうだよね……」
ノックの音が響いた。男が入ってきた。思わず体が逃げようとし、痛みにうめいた。
智則のそれを見て、男は出ていった。
「あ、すみません、俺……」
「気にしなくていいの。それより、声、無理しないで。」
また、ノックされ、今度は女性が入ってきた。
またも、智則は後ずさり痛みにうめいた。
自分はこんなに人が苦手だったか?
初めからいた婦人警官は、平気だったのに?
女性が智則に手をのばした時、智則は耐えきれずに悲鳴をあげ、そして意識を失った。
3日後、智則の元に両親が面会にきた。だが、やはり智則は恐怖を覚えた。
婦人警官はその様子を見ていた。両親から智則への暴力は確認されていない。だが………。
暴力にあったΩはフェロモンを出しているα、つまり、精通後のαを反射的に忌避する。智則には同じ症状が出ていた。確認のため精通していないアルファーのと智則を合わせたが、智則がその子供α等を怖がることはなかった。
ならば、退院後に自宅へ返す事は難しい。智則は特例で、暫く病院から学校に通う様になった。無論、智則にアルファ恐怖症のことは伝えていない。
また今回の言葉兄弟喧嘩として処理された。
一馬がまだ小学生であること、一馬の精神科への通院、ヘルパーを複数人雇い、一馬と智則が二人だけになる瞬間を作らない事を約束したからだ。
久しぶりに学校に行くと優が飛んできた。
『どうしたんだよ』と聞かれたが兄弟喧嘩をしたとだけ答えた。答えながら自分が優まで怖がるような人間になっていないことに智則はホッとした。
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