努力に勝るαなし

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智則との真剣勝負-ー優

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小5になった。

やっかむ馬鹿αは僅かに残るものの、文武両道の智則は密かにモテるようになってきていた。

番夫婦から産まれただけあって整った目鼻立ち、スラリとした体躯、学年首席の成績。モテて当然だ。

薄着の智則は煽情的で、何度もオカズにした。


ある日、白Tで来たときには鼻血が出た。爆笑している父を置いてトイレに駆け込んだ。だって、乳首が薄っすらと見えたんだ。少し汗をかいてたのか、服が張り付いて薄いピンクの突起が。
抜くだけ抜いて、稽古場に戻ると智則はジャージ姿になっていた。しかも、よりによって父親のジャージ。ブカブカなのはかわいいけど、俺の服でない事に憮然とする

それ以降、智則の稽古着は黒いジャージだ。父が決めた。父め、余計な事を。



「あれ?父さんさっき帰ってきたよな?」
晩ごはんに父親がいなかった。母さん大好き父さんが、食事時に母の元を離れているなんて珍しい
「あ~。智君が来てるから、稽古場だよ」
「えっ、なんでっ俺も行く」
「ダメ。ちゃんとご飯を食べ終えてからだよ」

食事を高速で終え、稽古場に向かった。いつからか、智則は優がいない日も父に会いに来るようになっていた。

父と二人で稽古していることもある。
智則の間合いに父が入っていることに腹がたつ。


稽古場の扉を開けると、父が智則を抱きしめていた。

カっとした。俺のものに触れるなっ
本能的に放った威圧は、父には全く効かなかった。逆に、凄まじい圧を返され、息が詰まった。

「優、威圧を放つならば、相手を見極めろ。返り討ちに合うだけだ。」

でも、智則が泣いている。

ペタリと着きそうになる膝に力を入れ、自身に纏わりついている何かを振り切った。そのまま、智則を抱きしめた。

「これを跳ね返すとは、少しは成長したな」

「うるせぇ。それより智則はなんで泣いている?」

「悩みの相談に乗っただけだよ。でも……そうだな、優、明日、智則と戦え。」

「え? なんで?組み合いならいいけど、試合うのは嫌だ」

なんで、守りたい相手を攻撃しなきゃなんないんだ。組手は問題ない。むしろおかずネタが増えるから嬉しい。

「優、お願いだ。俺と試合をして?」

智則が可愛い顔でこちらを見上げてきた。
潤んだ瞳に上気した頬、ズクンとあらぬところが反応した。

啼かせたい、本気でそう思った。これ以上ここにいたらみっともないことになるとわかっていた優は、とりあえず了承する。

「じゃあ明日な。勝負は5本。3本先に取った方が勝ちだ。智則は時間も時間だし家に泊まっていけ。」

泊まる?何年振りだ。優に精通が来て以来、父が邪魔をして智則が我が家に泊まったことはなかった。
俺は今日、眠れるのだろうか。

「優、智紀は本気で挑んでくる。寝不足といった体調不良は非礼に当たる本気で準備をするんだぞ」

いやいや、そう言うくらいなら我が家に智則を止めないでくれよ。
もったいないからそんなこと言えないけど。



智則は今何をしているのだろう?寝ているのかな。寝顔は?寝相は?
優が熊のように自室でうろうろしているとノックの音が響き扉が開いた

「優、一緒に寝ようぜ~」

枕を持った智則がやってきた。鼻血を吹くかと思った。

父のことだから両鍵付き(外からも内側からも鍵がついていて、両方を解錠しないと扉が開かない)の部屋に押し込めていると思ったのだが。

「泊まるの久しぶりだな」
「そうだね。と言うか父に部屋から出るなって言われなかった?」
「うん。でも、おばさんが久しぶりだから、優の所にいってくればって」
「そうか……」
いや、母さん、息子のムスコを信用し過ぎ。逆か?逆にスパルタなのか!?
優が智則をちらりとみると……首輪だ。αから首を守るための………
「と言うかその首のやつ何?」
「おばさんがモニターに協力してくれって。つけ心地を教えてくれって。なんかこれに噛み付くと電流が流れて噛んだ人が昏倒するみたいだよ」
「恐ろしくえぐいものを……」
優のムスコが一瞬で小さくなった。


智則と布団の中に入った。布団の暖かさが智則の体温だと思うと、優の優君が大きくなる。無防備に眠る智則の首筋をみて喉が乾く。犬歯が疼いて歯をカチカチ鳴らした。首輪をひたすらになめ、ムスコの処理をする。
そして、手を洗い布団に戻ると、布団の暖かさに………
無限ループである。


「ん~おはよう。」
智則がバチっと目をあけた。
「お、おはようっ」
ずっと見つめていたの、ばれなかったよな?
結局、一睡もできなかった。でも、寝顔を見れて、朝の挨拶をして、こんなのが、ずっと続けば良いのに。

軽い朝食を済ませ、稽古場に向かう。

「じや、優手加減なしだぞ」
「う、うん」

好きな相手に手をあげるなんてできやしない、優の躊躇いを感じ取った智則が提案してきた。

「じゃ、賭けをしよう。そしたら本気になれるだろ?」
「う~ん。何も欲しいの無いからなあ」
「じゃ、丸一日、勝った方の言う事を何でもきくってのは?」
「えっ!? なななななんでも!?一日も!?」
「お、おう……す、優、犯罪とかNGだからな」
優の勢いに不安を感じたのか、慌てて付け足してくるが、既に優の耳には届いていない。
ま、丸一日…。智則を自由に。一緒に風呂に入ったり、マッサージし合ったり、写真をとって、ああ、鎖とかも良いな。閉じ込めて抱きしめて項を………

バコっ
「いって~」
父親に頭をなぐられた
「おい、少年。試合だ試合。あと智則も。何度もいうが、αに隙を見せるな。言質をとらせるな。お前が思う以上にαは狡猾で手段を選ばない。それが友人であってもだ」
「え、でも。」
「善良なαは存在しない、そう思っておけ。賭けは………そうだな、智則が勝ったらこの先も俺がみてやる、優が勝ったら留学の件は優、お前の判断に任せる」

俄然、やる気がでた。父は数年前にボディーガードを引退して社長職についたが、それでも、父の強さは有名で、父を指名するものも多い。今回は恩がある人らしく、断れずに海外勤務となった。俺と母さんとも連れて行くといわれている。優は智則から離れたくなかった。

「のった」


結果は、優のストレート勝ちだった。

当然だ。βの智則が、優の何倍もの努力をしようとも、稽古をしていたαの優には敵わないのだ。

バースのポテンシャルは決まっているのだ。絶対的な差がそこにはあるのだ。

「ありがとう」
智則は言った。

そして、智則が稽古場に来ることはなくなった。

そして、優との意見の食い違い(主に智則にかまいすぎる点)に、困ったように曖昧に笑って折れるようになった。






























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