努力に勝るαなし

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殉じられてもー智則

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智則の上で優が突然倒れた

無理やり挿入されて後ろが切れているのが分かる。内臓は……よくわからない。

「痛てえよ。どけよっ」
無反応だ。

……優の耳から血が出てる。完全に異常だ。くくられた両腕何とか優に伸ばし脈を診る。

脈がない?

「う、嘘だろ?優?」

優の反応がない。
智則に覆いかぶさった体躯も呼吸で上下しているようには見えない

「あ、あ………」

パニックになった智則の目にスマホが映った。優が留学前に智則にくれたものだ


『本当にピンチな時に叫んで。暗証番号+"優助けて"+暗証番号で、俺と親父と母さんに繋がる。本当は俺が行きたいけれど、出れない時もあるから。』

「1127優助けて1127!」


『智則?』『智君!?』

ワンコールで二人が出てくれた。安堵の余り涙が出た。

「優が優が息してないっ」

『『え?』』

『今は……自宅か。智則、以前俺が置いてったバックにAEDが入ってる。とりあえず、バックごと持ってこい。』

「無理だよっ。優が俺を抱き込んだままで身動きとれない!」

『落ち着け。先ずは右腕を……』

「無理だって言ってんじゃん!優が俺の腕をリストバンドみたいなので拘束してんの!」

『ええ~!?』

『智則、先ずは深呼吸しろ』

「そんな暇ない。優が優が!」

『智則、お前が一番αのポテンシャルを理解しているはずだ。しかも、優は俺より上位αだ。数分なら戻れる。お前が落ち着く事の方が先だ。深呼吸しなさい。吸って、吐いて、吸って、吐いて~』

猛のゆったりした口調に合わせて呼吸をする。

少し落ち着き、身じろぎすると、智則の中にあった優の剛直がはずれた。同時に何かどろりとした物が溢れたのが分かったが、今は何も考えてはいけない。

そのまま、優の下から這い出る。あらぬ所に痛みがはしるが、無視してバックをとりにいった。

「叔父さん、AEDあった。起動するね」

『ああ、頼む……。操作しながらでいい、何があった。言いたくないだろうけど、優を救おうと思ってくれたなら、、、必要な情報だ』

考えたくない。思い出したくもない。けれど……

『智則。違っていたら、NOとだけ、いってくれ。』

「分かった」

『優はお前とキスしたか』

「………」

『肛門への挿入はあったか』

「………」

『挿入直後に優は意識を失ったか』

「………。叔父さん、脈戻った。人工呼吸する」

『待てっ!バックの中にエピペンがある!それを優に刺してくれ!』

なんでエピペンなんてバッグの中に入っているのか。でもいい。今はとにかく何も考えたくない。叔父さんに指示されたままに動く

「さしたよ」

『いやだろうが、人工呼吸を頼む』

「いいよ。とりあえず指示だけして。今は本当に何も考えたくないんだ」

指示に従い、ただただ人工呼吸を繰り返した。

「呼吸、戻ったよ」

『わかった。とりあえず救急車の手配は済ませた。すぐに救急隊がくる。自分の服を整えろ』

服、服……智則は自分のあしを見た。
血と白濁がまざったものが太腿を流れ落ちていた。

「あ、あ、ああ~!」

絶叫した。
敵わなかった。抵抗したけれど、全く駄目だった。
怖かった。
痛かった。
怪物だった。

「ああ~!」

ナニカが部屋に入ってきた。怖い怖い!!

「やだっ近寄んな!やだやだ助けて叔父さん助けて!!」

『智則っ落ち着けっ救急隊だ』

「助けて、助けておじさん!」


入ってきたナニカが何か叫んでいる。怖い怖い。

『その人はβだ!その人はβだ!人間だ!βだ人間だβだ』

「ニンゲン?β?」

「そう、βです。はるかっていうの。よろしくね」

その人はにっこりと笑っていった

「ニンゲン?ニンゲン?」

「うん。人間、はるか」

「ニンゲン?ニンゲン?」

「うん。ニンゲン……」

ふわりと毛布をかけられた。















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