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バーベキューという名の……英樹-3
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挨拶も一段落してきた。
「英樹様、葛飾の社長がご挨拶をしたいと………」
達也がこちらの意を伺うかのように言う。
会っておいたほうがいい相手ではあるが、智則連れて行くのは抵抗がある。
「行ってこいよ。俺は一人で大丈夫だから」
大丈夫とは思えないから、まよっているのだが。あの男にはβの愛人が数人いる。バス企画の社長のように惚れた相手がβだったわけではなく、性的指向がβの男なのである。
英樹のに塗れた智則に手を出す程、愚か者ではないが、出されないからといって智則を下卑た目で見るのが分かっている相手の前に連れて行くのは嫌だ
「ちょっと離れるけど、直ぐに和也を寄越すから、此処にいて、動かないで」
「あ~、はいはい」
「………」
説得力にかける返事だな。達也を残していきたいが、契約書の作成に必要だ。早めに戻らねば。
葛飾の社長との商談を早々に終え、智則を探そうとすると、バス企画の社長が近づいてきた。
「出資、ありがとうございます。お礼にこちらのをどうぞ」
「これは?」
「気付け薬です。β用の。無味無臭。失神することも出来ない」
含みのある笑顔に何を言いたいのかわかった。
ラットしたαは数時間にわたり何度も行為におよぶ。
繊細そうに見えるオメガだが、元々アルファと対をなす存在のため、αのラットに合わせドーパミンが過剰に放出されて一晩中でもつきあえるのだ。
対してβはというと、そのような機能はなく一回や2回で意識を失い、αは人形のようになったβにひたすら盛るのだ。
それを抑制する薬………βにとってはある種の拷問だな。
「βは無意識に我々を傷つける。どれだけ執着されているのか、身をもって知って貰わなければならない時もありますからね。反省してもらわねば」
「必要ない」
「そう、仰っしゃらず。ところで、あれ、良いんですか?」
英樹に強引を小瓶を持たせた後、指を指した。
智則がいた。
αに抱きついていた。
『俺のだっ触るなっ』
本能的にそのαに威圧を放ったが、距離があった為、相手が昏倒することもなかった。
ただ、殺気はとどいたのだろう。智則と男はとっさに離れ、そして背中を預け合った。阿吽の呼吸というやつか。その信頼度に苛つきが増す
バス企画の社長に断りを入れる余裕もなくその場をさって、智則の方へ向かう。
「英樹様。あれは深澤エージェンシーの社長です。智則様の武術の師です」
達也がいう。
そうか、師か、智則からか。だか、智則は私のものだ。懐いている相手とはいえ、他の者にその躰を触らせるなど許されない。
自覚させねば。智則の躰は英樹のものだと。他の者に気安く触ったりできぬように、反省させねば。
ドロドロにとかし、赦しを乞うてきても快楽を与え続けて、己の躰が英樹に支配されてる事を実感させねば。
ああ、そうか、社長が渡してきたこの薬はその為のものなのか。
気をやって逃げるなどどいう、最終手段を取らせないためのもの。
「智則」
英樹が智則に手を差し出た。
智則が深澤の背中の影から首をふる。
「………」
「これはまだ幼い。勉学に励んできたので、疎いのです」
疎いからと言って許せる事と許せないことがある。
だが、幼い、つまりはまだ誰も知らないということか?
深澤が頷く。
そうか、そうか、自分が智則の初めてになるのか。そして最後になる。無垢なまま英樹に染められ、英樹しか知らないままに生涯をすごす。
………良い。
「く、九条、俺もゴメンな。マナー違反だった」
ひょこっと顔を出して、智則が可愛く謝る
仕方ない
「智則、行くよ」
英樹が手を智則に差し出した。今度は素直にその手をとった。
先ずは、バス企画の社長の所へ案内すると、片眉を上げられた
使わなかっんだ?、どいったところか。
まあ、先方は既に二人が付き合っていると解釈しているのだろう。付き合っているならマナー違反もせめられるが……
ただ、
「やはり貴方は素晴らしい。様々なことを積まれてきたのでしょう。先達として、おしえを導いて頂きたい」
英樹の低姿勢に、智則は驚いたようだ。αはプライドが高いものだ。自分より下のものに助力を請うなどあり得ない。ただその一方で伴侶のためなら何でもやるのがαだ。
この男が起業したことで無理心中が減った。それはすごく納得が出来ることだ。
この男にはしがらみ関係なく、本能のままに欲望のままに製品を開発してほしいものだ
智則が質問をしている。
頬を染め上げている姿に、本来であれば嫉妬するのであろうが、この男の伴侶への姿勢を見ると何も思わない。
ただ、同士よ!
だけだ。
他にも数人を紹介すると、智則は大分疲れてきたようだ。
「智則、今日はもういいよ。帰り送るから部屋でちょっと待ってて。和也、智則をユメノの休憩室に連れってって」
「英樹様、葛飾の社長がご挨拶をしたいと………」
達也がこちらの意を伺うかのように言う。
会っておいたほうがいい相手ではあるが、智則連れて行くのは抵抗がある。
「行ってこいよ。俺は一人で大丈夫だから」
大丈夫とは思えないから、まよっているのだが。あの男にはβの愛人が数人いる。バス企画の社長のように惚れた相手がβだったわけではなく、性的指向がβの男なのである。
英樹のに塗れた智則に手を出す程、愚か者ではないが、出されないからといって智則を下卑た目で見るのが分かっている相手の前に連れて行くのは嫌だ
「ちょっと離れるけど、直ぐに和也を寄越すから、此処にいて、動かないで」
「あ~、はいはい」
「………」
説得力にかける返事だな。達也を残していきたいが、契約書の作成に必要だ。早めに戻らねば。
葛飾の社長との商談を早々に終え、智則を探そうとすると、バス企画の社長が近づいてきた。
「出資、ありがとうございます。お礼にこちらのをどうぞ」
「これは?」
「気付け薬です。β用の。無味無臭。失神することも出来ない」
含みのある笑顔に何を言いたいのかわかった。
ラットしたαは数時間にわたり何度も行為におよぶ。
繊細そうに見えるオメガだが、元々アルファと対をなす存在のため、αのラットに合わせドーパミンが過剰に放出されて一晩中でもつきあえるのだ。
対してβはというと、そのような機能はなく一回や2回で意識を失い、αは人形のようになったβにひたすら盛るのだ。
それを抑制する薬………βにとってはある種の拷問だな。
「βは無意識に我々を傷つける。どれだけ執着されているのか、身をもって知って貰わなければならない時もありますからね。反省してもらわねば」
「必要ない」
「そう、仰っしゃらず。ところで、あれ、良いんですか?」
英樹に強引を小瓶を持たせた後、指を指した。
智則がいた。
αに抱きついていた。
『俺のだっ触るなっ』
本能的にそのαに威圧を放ったが、距離があった為、相手が昏倒することもなかった。
ただ、殺気はとどいたのだろう。智則と男はとっさに離れ、そして背中を預け合った。阿吽の呼吸というやつか。その信頼度に苛つきが増す
バス企画の社長に断りを入れる余裕もなくその場をさって、智則の方へ向かう。
「英樹様。あれは深澤エージェンシーの社長です。智則様の武術の師です」
達也がいう。
そうか、師か、智則からか。だか、智則は私のものだ。懐いている相手とはいえ、他の者にその躰を触らせるなど許されない。
自覚させねば。智則の躰は英樹のものだと。他の者に気安く触ったりできぬように、反省させねば。
ドロドロにとかし、赦しを乞うてきても快楽を与え続けて、己の躰が英樹に支配されてる事を実感させねば。
ああ、そうか、社長が渡してきたこの薬はその為のものなのか。
気をやって逃げるなどどいう、最終手段を取らせないためのもの。
「智則」
英樹が智則に手を差し出た。
智則が深澤の背中の影から首をふる。
「………」
「これはまだ幼い。勉学に励んできたので、疎いのです」
疎いからと言って許せる事と許せないことがある。
だが、幼い、つまりはまだ誰も知らないということか?
深澤が頷く。
そうか、そうか、自分が智則の初めてになるのか。そして最後になる。無垢なまま英樹に染められ、英樹しか知らないままに生涯をすごす。
………良い。
「く、九条、俺もゴメンな。マナー違反だった」
ひょこっと顔を出して、智則が可愛く謝る
仕方ない
「智則、行くよ」
英樹が手を智則に差し出した。今度は素直にその手をとった。
先ずは、バス企画の社長の所へ案内すると、片眉を上げられた
使わなかっんだ?、どいったところか。
まあ、先方は既に二人が付き合っていると解釈しているのだろう。付き合っているならマナー違反もせめられるが……
ただ、
「やはり貴方は素晴らしい。様々なことを積まれてきたのでしょう。先達として、おしえを導いて頂きたい」
英樹の低姿勢に、智則は驚いたようだ。αはプライドが高いものだ。自分より下のものに助力を請うなどあり得ない。ただその一方で伴侶のためなら何でもやるのがαだ。
この男が起業したことで無理心中が減った。それはすごく納得が出来ることだ。
この男にはしがらみ関係なく、本能のままに欲望のままに製品を開発してほしいものだ
智則が質問をしている。
頬を染め上げている姿に、本来であれば嫉妬するのであろうが、この男の伴侶への姿勢を見ると何も思わない。
ただ、同士よ!
だけだ。
他にも数人を紹介すると、智則は大分疲れてきたようだ。
「智則、今日はもういいよ。帰り送るから部屋でちょっと待ってて。和也、智則をユメノの休憩室に連れってって」
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