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第一章〔今幕開けの光は陰を踏む〕

第2話 祝合格!馴染み丘でピクニック

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起床時間の合図の魔光陽が打ち上げられる

ピカーーーンッ

レイン「ふわぁ~~っ…と、もう…そんな時間か…」

レインはべットから飛び起きると、
軽く体を解して服を着替えた…

レイン「よしっ!ご飯作るか」

トットットットッ(階段を降りる音)

ガチャンゴチャ

1階に降りていくと珍しく早起きした
師匠が座っていた

レイン「あれ?今日は早いですね…」

気が付くとシンクに何か食べた
痕跡があった

師匠「おはよう、レイン…もうわしは食べたからな、ここからは好きに出掛けるも好きにするとええぞ……おっと、そういえばサクラ商店の娘さんがレインに会いたいとか言っとったぞ」

レイン「ルーチェがですか?何か用事かな…」

師匠「まぁせっかくの幼馴染の誘いじゃ…もうこんな事も旅に出ると滅多にないじゃろ………行ってやれ…」

不器用ながらに師匠は何か気を使ってくれてる
感じがした

レイン(ここで、気を使ってくれてますか…?なんてのは野暮だよね…有難く師匠の気遣いに乗っからせてもらおう)

レイン「じゃあ早速ルーチェに行ってきます…あっ…」

レインは何も食べてない事を思い出して 、
すぐ食べれるように時々前日に作り置きして
いるサンドイッチを冷蔵庫から持ち出し腰の
ポーチにしまった

レイン「じゃ、師匠今度こそ行ってきます!」

師匠「焦り過ぎ注意じゃぞ~」

レインは勢いよく飛び出した!
何せ、旅立ちの前しか出来ない事は何でも
やっておきたい!無論思い出作りも!

レイン(ルーチェの用事とやらが何かは分からないけど、ルーチェにはこれまでも時間管理や忘れ物などなど沢山助けられてきた……………主にお世話方面だけど……どうせなら旅の前にパーッと思い出作りでお出かけとかしたいな)

タッタッタッタッタッタ

そんな事を考えながらレインはルーチェの
サクラ商店まで走って行った

レイン「つい、勢いで来ちゃったから
気が付かなかったけど、まだ早朝だ~…」

レイン(流石にこんな時間に訪ねる訳には
いかないな……)

そんな時、店の裏口辺りから箒の掃く音が
近付いてくる

サッ   サッ   サッサッ

ルーチェ「あら?レインじゃない、おはよう」

レイン「おはよう、ルーチェも朝早いんだね」

ルーチェ「今日は予定があるから、早めに店の掃除を終わらせてるの♪」

レイン「なんだぁ…今日予定あるんだ…」

ルーチェは頭の中で引っかかる何かについて
まだ寝惚けている頭を回転させて考えた

ルーチェ(…予定ある…んだ…今日…レイン!)

何かに気が付いたルーチェはレインに
勢い良く言い放った

ルーチェ「そうよ!貴方が今日の予定よ!」

レインは突然目覚めたかのようなルーチェの
発言に驚いたが内心予定とはなんの事かが、
気になっていた

レイン「気になってたんだけど、
その予定ってなんの事なの?」  

ルーチェ「え!?気になる?本当に?!」

ルーチェとても嬉しそうにそう言った

レインはそのルーチェのテンションを見て
嫌な記憶を思い出した

レイン(このテンション……まさか!!あの時みたいに僕を女装させる気じゃないよね!)

そうレインは幼少の頃よくおままごとで、
妹役を押し付けられ女装させられていた

レイン(この喜びに満ちたルーチェの目………僕、旅立ち前の最後の幼馴染との思い出が
女装コンテストは絶対に嫌だよ!)
 
それはレインは無意識に後退りするほどに
恐怖だった

ルーチェ「ん……?何だと思ってんの?レイン凄い顔してるわよ…あっ…!」

ルーチェはまた何かを思い出したこのように
後退りした

ルーチェ「あの…言い忘れてたんだけど…」

レイン(ん?何だろこの雰囲気……今早朝だしでも、もしかしたら…)

レイン「い、言い忘れてたって何のこと?」

ルーチェが恥ずかしそうに何か言葉を
切り出そうとしている

レイン(ありそうな雰囲気してるけど…)

ルーチェ「あ、あの……」

レイン(ゴクリ;)

ルーチェ「試験合格おめでとう!!」

レイン(あーーーそっちかァーーなんか無駄にドキドキしちゃった…これも嬉しいけどね)

レイン「ありがとう、誰から聞いたの?」

ルーチェ「バハドーラさんだよ、凄く嬉しそうに話してくれてね♪」

レイン「師匠、いつの間にかあの後
ここに来てたんだ…あれ?」

ルーチェ「どうかしたの?」

レイン「いや、あの日師匠買い物行ってた
なら買った痕跡あるはずなんだけど……」

ルーチェ「あ、あの日バハドーラさんレインの事話して牛乳1本買ったらそのまま帰ったよ」

レイン(あ、師匠話したくて行ったけど何も
買わずに帰るの悪いから申し訳ない程度に
買った感じだなぁこれ…)

レイン「ははは、そうだったんだ…」

ルーチェ「それで予定の事なんだけど…
私とどっかでピクニックしない?ご飯は
用意してるから…ほら合格祝いピクニック
ってことで!」

レインはその言葉に歓喜した

レイン「それ行きたい!それにルーチェの
ご飯美味しいもんね!」

ルーチェ「アハハッ、ありがとう♪
レインの好きなハンバーグも入れてるから
沢山食べてね!」

そうしてレインとルーチェは準備したお弁当
を持つと町の掲示板に載っている近隣の地図を
見ながらピクニックにいい場所を探した

レイン「うーーん…どこ辺りが良いかなぁ」

ルーチェ「やっぱりこのサモリ丘なんてこの町の魔光陽が良く見えていいんじゃない?」

レイン「そういえば、あそこ丁度いい具合の木あったよね!よし、そこ行こう!」

ルーチェ「決まりだね!」 

レインとルーチェはサモリ丘に向かって
歩き始めた…

レイン「ねぇ、ルーチェって料理上手いけど
料理人とか目指してないの?」

ルーチェ「もぅ、レインったら…私そこまで
料理上手くないよ…」

そうは言ってるが、ルーチェの料理の腕は
確かなもので現時点で一流料理人を唸らせる
レベルの力量をもっている。一度この町に、
お偉いさんが休憩で立ち寄った時に料理人が
いなかったこの町でプロの料理人の代わりと
して凄腕ルーチェが厨房に立ち、初めて見る
レシピを片手に作った料理でその舌の肥えた
お偉いさんを唸らせたという伝説をもっている
それは、そのお偉いさんがお付の料理人としてスカウトをお願いした程のもの

よく見るとルーチェの手は傷だらけで、
水場の仕事や家事や店の手伝いを必死に
熟した努力の痕が見える

レイン「そう?ルーチェならきっとなれるよ、成りたいと思うならなんにだって…」

ルーチェ「…!」

ルーチェが頬を赤らめて立ち止まった

レイン「どうしたの?あの木ならまだ向こうだよ…」

ルーチェ「え、いや…何でもないよ、ちょっと考え事してただけ」

レイン「ああ、そういう事か…」

レインは少しルーチェの反応が気になったが
そのままサモリ丘にある木の根元まで向かう
事にした

レイン「お、見えてきた」

ルーチェ「わぁ、綺麗な草原だね~♪」

レイン「この草原を作るのもあまづくりの
仕事なんだよ」

ルーチェはあまづくりに感心した様子で
頷いている

ルーチェ「ほら、じゃああの木の下でお食事
しながらその話もっと聞かせてよ!」

そう言って楽しそうにかけ出すと木の根元に
行き風呂敷を広げた

レイン「ハッハッハ  そんなに急がなくても、他に誰も居ないし場所取らないよ」

そう言いながらレインもその根元にかけ寄った

レイン「では、本日のメインイベント!!」

ルーチェ「アハハッ、大袈裟」

そしてルーチェは持ってきたお弁当を開けた

レイン「わぁあ~美味しそう~♪」

レイン(ルーチェの弁当は味が美味しいのは
勿論なんだけどそれだけじゃなくて色に配置
見栄え、更に栄養バランスまで完璧なんだよ)

レイン「これ早速いいの?」

ルーチェ「どんどん食べて……あ…あとお話も聞かせてね♪」

レイン「じゃあ………お言葉に甘えて絶品弁当いっただっきまーす!!」

レインは久しぶりに食べたルーチェの料理に
驚愕した。それは自分が今まで作っていた
料理がただのゴムクズに思える程のギャップ!

レイン「これが料理という事なのかぁ!!」

あまりの衝撃の美味さに無意識に叫んでいた

ルーチェ「レ、レイン?どうしたの?」

レイン「あ、ごめん…美味さのあまり料理とは何かの核心に迫った気がして……」

ルーチェ「あ…ははは…喜んでくれて良かったわ」

そう言いながらルーチェは苦笑いを浮かべた

ルーチェ「あ、そうそう…合格した最終試験ってどんな試験だったの?」

モグモグモグモグ ゴクンッ

キュキュキュ  ジャーーーー  コボコボコ

レインは弁当のおかずを飲み込み水筒のお茶
をコップに注ぐと話し始めた

レイン「それがね~最後の合格までの記憶が
残ってないって言うか…不思議な感覚の試験
だったかな……」

ルーチェ「不思議な感覚ねぇ~………どの辺が不思議だったの?」

レイン「特に不思議に感じたのは最後の植物生
成魔法を使うとこなんだけど…明らかに魔力量
足りてなかったにも関わらず気が付いたら成功
してたんだよ…」

ゴクゴクゴクッ

ルーチェ「不思議ねぇ…まるで誰かが魔力貸したみたい…」

レインは思わずお茶を吹き出しそうになった

ゴホッゴホッゴホ

レイン「もしかして、誰かが僕に魔力を貸して不正させてたって事?!」

ルーチェ「いや!違うわ、これはまるでって事で本当に誰かが不正を行ったって意味じゃないわ!」

ルーチェは焦って訂正した

レイン「ああ、そういう事か…びっくりしたよまさか自分の合格が不正だったのかと思って」

ルーチェ「アハハッそんな事、有り得ないわ」

その後も2人の話しは弾みレインは見事に
ルーチェお手製の弁当を完食した

レイン「あ~美味しかった~!!」

ルーチェ「お話も楽しかった!」

2人がピクニックの片付けを始めようとした時
レインが何かに気が付いた 

レイン「何だこれ……」

レインは違和感のあった部分を探った

レイン「ポーチ…あ!この作ったサンドイッチ入れたまま食べるの忘れてた!」

そこには無念にもレインに押し潰された
サンドイッチがあった

ルーチェ「レインが作ったの?」

レイン「そうだけど、もうこんなに押し潰しちゃったし帰って夜ご飯にたべるよ…」

ルーチェ「私それ食べたい!」

レインは耳を疑った!

それはそのはず……

レイン(あんな美味しい弁当をくれたルーチェにこのお返しみたいなタイミングで強度を増し
たゴムクズなんてやれない!作ったのが僕なら
尚更、吐き出されて軽蔑でもされた日には…)

レイン「あの~これは…ってあれ!?」

手元にあったはずの潰れたサンドイッチが無い

パクッモグモグモグモグ

レイン「ってもう食べてる!」

ルーチェ「…………」

レイン「ルー…チェ?大丈夫?」

ルーチェ「美味しい…美味しいよ!」

レイン「えぇ!?」

レイン(そんなはずは無い、だってあんなに
潰れてたサンドイッチだよ?ルーチェの料理
と比べたら提供出来るものですら……)

ルーチェ「レ イ ン 、ご馳走様でした♪」

レイン「お…」

ルーチェ「食べ物にはね作ったその人の頑張りや日常の風景が詰まってるの、だからレインのサンドイッチからは美味しい努力の味がしたんだよ♪」

レイン「努力の味…か………ルーチェありがとなんか勇気湧いてきた…」

ルーチェ「なにそれ~」

その後2人は楽しげに笑い話をしながらサモリ丘から帰宅した

サクラ商店前で…

レイン「今日は誘ってくれてありがとう、凄い楽しかった!あとルーチェの料理最高だった」

ルーチェ「私こそ一緒にピクニック行ってくれて嬉しかった!あの最後にお願いしていい…?あれっ?」

レイン「ルーチェーまたピクニック行こうな~それまでには僕もっと料理上手くなれるかな~またいつか~…」

ルーチェ「あ……あ~あ、また行っちゃった…いつになったら伝えられるのかな私…」

これはレインのいい思い出になったろう
ルーチェの思いも無事伝わるといいね…
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