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疑問
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「タ、ターケン!! すげえ! いけ、町長をそのまま逃すな!」
「ああ、カーオル。」町長もここから外まで飛んで逃げるのは、二階に窓はない恐らく三階にも四階の窓から逃げる気だ。見た感じどのくらいの知性があるのか知らないが。もはや三階に上がる階段まで行かれてしまった。間に合わない。ならば、
「ウォーッ!食らえ、届け!」 私は念動の剣と言うべきか。距離はある。しかし三階でのカーオルの摩訶不思議な攻撃も当然覚えていた。賭けるしかない。この赤い刀に強い想いを込めて町長に向かって剣を振りかざす。
バシュウウウー
「ウギャアアアッ!」 尻尾に当たった。そして見事に切断した。
「出せましたか…やりますねターケン」
しかし、そのまま羽を羽ばたきする事をやめずそのまま階段の上まで逃げられてしまった。早く追わねば。町長があの様な異界の者と化した以上、もはや答えは一つだ。この刃で息の根を止めるのみ。追い始めた途端、急に体が金縛りにあったかの如く動けなくなった。黒い何本もの稲妻の様なエネルギーが、メンソンの指から植物の根の様に伸びてきて私とカーオルを絡みとった。
[一方その頃町長の館一階玄関周辺]
パリリィィッッン!
「なんだ?音が?ん、うわ。ガラスの破片が降ってきたぞ!」
「危ない!離れろ!」
「割れた音?上…な、なんだ⁉︎あれは上空に化物が飛んでるぞ!!」
「何⁉︎ ホントだ!屋敷の上の部屋から飛び出たのか?この屋敷にあんな危ないの化物がいたのか⁉︎ん、顔が町長に似ているぞ」
あり得ない想像を絶する現状に街の人々は恐怖に襲われ先ほどまでの一枚岩になりつつあった町民達の想いに亀裂が生じようとした時、
「みんな、集まれ!離れるな!!」女性の可憐な声で、しかし勢い籠った猛々しい声が鳴り響く。ジャミアが現れた。
「副兵士長のジャミア様だ!」
「おお、ジャミア様ー!」
「ジャミア様。何が何だかわけがわからない状態が続いておりますじゃ。」
町民達のジャミアの登場に行き場のない心がやや救われた。
「ああ、何とかするさ。今!この屋敷内でこの街を良くしたいがために自分の身も顧みず戦っている勇者達がいる!」 鼓舞するジャミア。
「わかっています!ジャミア様!俺たちも闘います!」
「おお!闘うぞ!… ん、あの化物、北の方角に逃げて行きます!更に上空高く上がっていく!」
もはや街の外に出て追いつける距離にはない。ジャミアもこの時、あの異形と化した者が町長という認識がなく追いかける、という意志はなかった。ターケン達の安否がどうか、無事なのかそちらが優先事項だった。
「やはり…(二本目は出ないか)」
『想いの具現化』による、念動の鞭は司法機関周辺で、今現在も相当数の兵士、看守たちの身動きを封じ込めて絡めとっている。驚くべきことに司法機関から町長の館まで三㎞ほどずっとジャミアの右手から発現し三㎞もの長さの鞭になっている。
「どういう事だ?あれは…上で想像を超える何かが起こっているのは間違いない」 執事のダンティは案じる。
[二階にて]
メンソンは語りかける、「フ…逃げられましたね。ターケン。もう遅い、窓を割って外から逃げました。私にはわかります。しかし何も嘆き苦しむ事はありません。何せあなたはまだ本当の自分の在り方がわかっていないのですから。あんな町長みたいな小物を倒して満足されては困るんですよ…そうですね、まずは外に。ヌーリコに赴きなさい。(私のためにな…)」
「う、動けない…しかもカーオルが、クローンだと?…だったら本当のカーオルはどこにいる⁉︎」
「タ、ターケン」 絡めとられながら、やるせない様に俯くカーオル。
「先程も言ったように私の組織でしっかりと働いている」 顎を上げて語るメンソン。
「ウ、嘘だ! カーオルが貴様の様な得体の知れない奴の組織の手下になるなどあり得ない! 心が綺麗で純真で真っ直ぐな奴だ!そんな事あるわけない!」
「………」
「失礼ですね。あなたは何か誤解しているようだ、ターケン。まあ、それを確かめたいのなら、貴方が力を蓄えたらわかる時が来るでしょう。」
「ああ、カーオル。」町長もここから外まで飛んで逃げるのは、二階に窓はない恐らく三階にも四階の窓から逃げる気だ。見た感じどのくらいの知性があるのか知らないが。もはや三階に上がる階段まで行かれてしまった。間に合わない。ならば、
「ウォーッ!食らえ、届け!」 私は念動の剣と言うべきか。距離はある。しかし三階でのカーオルの摩訶不思議な攻撃も当然覚えていた。賭けるしかない。この赤い刀に強い想いを込めて町長に向かって剣を振りかざす。
バシュウウウー
「ウギャアアアッ!」 尻尾に当たった。そして見事に切断した。
「出せましたか…やりますねターケン」
しかし、そのまま羽を羽ばたきする事をやめずそのまま階段の上まで逃げられてしまった。早く追わねば。町長があの様な異界の者と化した以上、もはや答えは一つだ。この刃で息の根を止めるのみ。追い始めた途端、急に体が金縛りにあったかの如く動けなくなった。黒い何本もの稲妻の様なエネルギーが、メンソンの指から植物の根の様に伸びてきて私とカーオルを絡みとった。
[一方その頃町長の館一階玄関周辺]
パリリィィッッン!
「なんだ?音が?ん、うわ。ガラスの破片が降ってきたぞ!」
「危ない!離れろ!」
「割れた音?上…な、なんだ⁉︎あれは上空に化物が飛んでるぞ!!」
「何⁉︎ ホントだ!屋敷の上の部屋から飛び出たのか?この屋敷にあんな危ないの化物がいたのか⁉︎ん、顔が町長に似ているぞ」
あり得ない想像を絶する現状に街の人々は恐怖に襲われ先ほどまでの一枚岩になりつつあった町民達の想いに亀裂が生じようとした時、
「みんな、集まれ!離れるな!!」女性の可憐な声で、しかし勢い籠った猛々しい声が鳴り響く。ジャミアが現れた。
「副兵士長のジャミア様だ!」
「おお、ジャミア様ー!」
「ジャミア様。何が何だかわけがわからない状態が続いておりますじゃ。」
町民達のジャミアの登場に行き場のない心がやや救われた。
「ああ、何とかするさ。今!この屋敷内でこの街を良くしたいがために自分の身も顧みず戦っている勇者達がいる!」 鼓舞するジャミア。
「わかっています!ジャミア様!俺たちも闘います!」
「おお!闘うぞ!… ん、あの化物、北の方角に逃げて行きます!更に上空高く上がっていく!」
もはや街の外に出て追いつける距離にはない。ジャミアもこの時、あの異形と化した者が町長という認識がなく追いかける、という意志はなかった。ターケン達の安否がどうか、無事なのかそちらが優先事項だった。
「やはり…(二本目は出ないか)」
『想いの具現化』による、念動の鞭は司法機関周辺で、今現在も相当数の兵士、看守たちの身動きを封じ込めて絡めとっている。驚くべきことに司法機関から町長の館まで三㎞ほどずっとジャミアの右手から発現し三㎞もの長さの鞭になっている。
「どういう事だ?あれは…上で想像を超える何かが起こっているのは間違いない」 執事のダンティは案じる。
[二階にて]
メンソンは語りかける、「フ…逃げられましたね。ターケン。もう遅い、窓を割って外から逃げました。私にはわかります。しかし何も嘆き苦しむ事はありません。何せあなたはまだ本当の自分の在り方がわかっていないのですから。あんな町長みたいな小物を倒して満足されては困るんですよ…そうですね、まずは外に。ヌーリコに赴きなさい。(私のためにな…)」
「う、動けない…しかもカーオルが、クローンだと?…だったら本当のカーオルはどこにいる⁉︎」
「タ、ターケン」 絡めとられながら、やるせない様に俯くカーオル。
「先程も言ったように私の組織でしっかりと働いている」 顎を上げて語るメンソン。
「ウ、嘘だ! カーオルが貴様の様な得体の知れない奴の組織の手下になるなどあり得ない! 心が綺麗で純真で真っ直ぐな奴だ!そんな事あるわけない!」
「………」
「失礼ですね。あなたは何か誤解しているようだ、ターケン。まあ、それを確かめたいのなら、貴方が力を蓄えたらわかる時が来るでしょう。」
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