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7話 幼馴染の来訪 3
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俺は、昨日家に帰ったら天使がいたこと、謎の電話がかかってきてその天使を育てろと言われたこと、世界滅亡を阻止しなくてはいけないこと、を琴葉に話した。
意外にも琴葉は茶化すことなく聞いてくれた。
「なるほどねぇ。それは色々と大変だったね」
「信じてくれるのか?」
「だって、ハルくんいつになく真剣に話すんだもん。それに、エルちゃんが天使かどうかは私にはわからないけど、なんか変なことが起きてるってことは確かっぽいしね」
「琴葉・・・・!」
俺のいうことをすんなり受け入れてくれた琴葉に、今度は俺が泣きそうになってしまう。
彼女は立ち上がると、腕をまくった。
「よーし、お姉ちゃん手伝っちゃうぞー!」
気合入ってるな。頼もしい限りだ。
「エルちゃん、でいいんだよね?私は琴葉。ハルくんのお姉ちゃんやってるんだ。よろしくね!」
「勝手に姉をやるな」
琴葉は俺のツッコミを無視してエルに握手の手を差し出すが、エルは俺の背中に隠れてしまった。
「あぅ・・・・」
「あれ、私怖がられてる?」
琴葉は苦笑する。
「あー、人見知りしてるだけだ、きっと」
「・・・・ハルくんには懐いてる」
琴葉は俺の背中に隠れるエルを指差す。俺にだって別に懐いてるわけじゃないと思うが、どうやら納得がいかない様子だった。
「俺も最初は怖がられてたさ。ちゃんと距離を考えて接すれば、徐々に慣れていくんじゃないか?」
「そう、だよね。この世界に来たばっかで、まだ色々不安だもんね・・・・」
琴葉はしんみりした顔をしたかと思うと、いきなりエルに飛びかかって抱きしめた。
「これからはお姉ちゃんが面倒見てあげるからねぇぇ~~!」
「んむむむ・・・・!?苦しいです・・・!」
「距離を考えろって言ったよな!?」
こいつ、一体何を聞いていたんだ。俺は二人を引き離す。
「だってエルちゃん天使みたいに可愛いんだもん!
「天使だからな!正真正銘の!」
「こんな天使みたいな娘が天使なわけないでしょ!」
「おかしなこと言ってるぞお前!」
興奮する琴葉をなだめる。
「エルちゃん~~怖がらないで?優しいお姉ちゃんだよ?すっごい優しいよ?」
優しいをそんなに念押しされると逆に怪しいぞ。
エルは俺の背中に隠れながら、肩越しに返答する。
「・・・・食べ物くれたら懐きます」
「お前もお前でやたら図々しいな」
エルの食に対する執着はなんなんだ一体。天界で断食でもしてたんか。
「じゃあ今度お菓子作ってこよっか!料理はハルくんみたいにできないけど、お菓子は作れるんだ~」
「お菓子・・・・琴葉お姉ちゃんめちゃいい人です・・・・!」
ちょろい。ちょろすぎる。もうお姉ちゃん呼びになってる。まあ確かに、琴葉の作るお菓子は美味しい。
琴葉はエルの急な手のひら返しに感極まったのか、またもやエルに駆け寄り抱きしめた。
「う~~~~、エルちゃんきゃわすぎる・・・・!永遠にお菓子食べさせてあげるからね」
「微妙に怖いこと言うな。あとすぐ抱きしめるのやめろって、エルも困ってるだろ・・・・」
「・・・・悪くない、です」
「えええ!?」
見れば、エルも琴葉の背中にそっと手を回していた。どこか満足げな表情で、琴葉の抱擁を受け入れるエル。なんだこれ・・・・なんだこれ!?混ざるか!?俺は必死に自分の腕を抑えた。
「戯れるのはそこらへんにしといてさ、とにかく服だ!服を買いに行こう。そのために琴葉を呼んだんだよ」
「それはいいけどさ・・・・」
琴葉は名残惜しそうに、エルの体を離す。
「心配だなぁ、エルちゃんとハルくん2人で暮らすわけでしょ。一つ屋根の下で」
「何か言いたげだな」
琴葉は目を見開いて言った。
「それはえっちだよ!!!」
「直球だなおい・・・・」
「こんなワンルームでこんな可愛い子と一緒に暮らすなんて、全方位えっち空間だよ!」
「落ち着け、何言ってるかわからんぞ」
琴葉は息を荒げ、肩を上下させていた。
「確かにエルは可愛いかもしれんが、色気はないだろ。それにお前には見えてないかも知れんが、俺からしたら天使感すごくてちょっと神々しいんだよ!」
やけに白い肌やら銀色の髪やらが、現実離れした羽と光の輪っかによって神々しく仕上がっているのだ。初めてその姿を目にした時、思わず『天使』と呟いてしまうほどに。
「そ、そうなんだ・・・・」
琴葉は少し気圧されていた。
「けどまぁ、男の俺だけじゃ難しい場面も多々あるのは事実。だからお前もちょくちょく来てくれよ。風呂とか入ったことないだろうし、色々面倒見て欲しいんだ」
「ふーん。しょうがないなぁ」
琴葉はわかりやすくにやにやする。普段俺が琴葉に頼ることなんて滅多にないから嬉しいんだろう。
「よし、まずはミッションその1だ!エルの服を調達するぞ!」
「「おー!」」
意外にも琴葉は茶化すことなく聞いてくれた。
「なるほどねぇ。それは色々と大変だったね」
「信じてくれるのか?」
「だって、ハルくんいつになく真剣に話すんだもん。それに、エルちゃんが天使かどうかは私にはわからないけど、なんか変なことが起きてるってことは確かっぽいしね」
「琴葉・・・・!」
俺のいうことをすんなり受け入れてくれた琴葉に、今度は俺が泣きそうになってしまう。
彼女は立ち上がると、腕をまくった。
「よーし、お姉ちゃん手伝っちゃうぞー!」
気合入ってるな。頼もしい限りだ。
「エルちゃん、でいいんだよね?私は琴葉。ハルくんのお姉ちゃんやってるんだ。よろしくね!」
「勝手に姉をやるな」
琴葉は俺のツッコミを無視してエルに握手の手を差し出すが、エルは俺の背中に隠れてしまった。
「あぅ・・・・」
「あれ、私怖がられてる?」
琴葉は苦笑する。
「あー、人見知りしてるだけだ、きっと」
「・・・・ハルくんには懐いてる」
琴葉は俺の背中に隠れるエルを指差す。俺にだって別に懐いてるわけじゃないと思うが、どうやら納得がいかない様子だった。
「俺も最初は怖がられてたさ。ちゃんと距離を考えて接すれば、徐々に慣れていくんじゃないか?」
「そう、だよね。この世界に来たばっかで、まだ色々不安だもんね・・・・」
琴葉はしんみりした顔をしたかと思うと、いきなりエルに飛びかかって抱きしめた。
「これからはお姉ちゃんが面倒見てあげるからねぇぇ~~!」
「んむむむ・・・・!?苦しいです・・・!」
「距離を考えろって言ったよな!?」
こいつ、一体何を聞いていたんだ。俺は二人を引き離す。
「だってエルちゃん天使みたいに可愛いんだもん!
「天使だからな!正真正銘の!」
「こんな天使みたいな娘が天使なわけないでしょ!」
「おかしなこと言ってるぞお前!」
興奮する琴葉をなだめる。
「エルちゃん~~怖がらないで?優しいお姉ちゃんだよ?すっごい優しいよ?」
優しいをそんなに念押しされると逆に怪しいぞ。
エルは俺の背中に隠れながら、肩越しに返答する。
「・・・・食べ物くれたら懐きます」
「お前もお前でやたら図々しいな」
エルの食に対する執着はなんなんだ一体。天界で断食でもしてたんか。
「じゃあ今度お菓子作ってこよっか!料理はハルくんみたいにできないけど、お菓子は作れるんだ~」
「お菓子・・・・琴葉お姉ちゃんめちゃいい人です・・・・!」
ちょろい。ちょろすぎる。もうお姉ちゃん呼びになってる。まあ確かに、琴葉の作るお菓子は美味しい。
琴葉はエルの急な手のひら返しに感極まったのか、またもやエルに駆け寄り抱きしめた。
「う~~~~、エルちゃんきゃわすぎる・・・・!永遠にお菓子食べさせてあげるからね」
「微妙に怖いこと言うな。あとすぐ抱きしめるのやめろって、エルも困ってるだろ・・・・」
「・・・・悪くない、です」
「えええ!?」
見れば、エルも琴葉の背中にそっと手を回していた。どこか満足げな表情で、琴葉の抱擁を受け入れるエル。なんだこれ・・・・なんだこれ!?混ざるか!?俺は必死に自分の腕を抑えた。
「戯れるのはそこらへんにしといてさ、とにかく服だ!服を買いに行こう。そのために琴葉を呼んだんだよ」
「それはいいけどさ・・・・」
琴葉は名残惜しそうに、エルの体を離す。
「心配だなぁ、エルちゃんとハルくん2人で暮らすわけでしょ。一つ屋根の下で」
「何か言いたげだな」
琴葉は目を見開いて言った。
「それはえっちだよ!!!」
「直球だなおい・・・・」
「こんなワンルームでこんな可愛い子と一緒に暮らすなんて、全方位えっち空間だよ!」
「落ち着け、何言ってるかわからんぞ」
琴葉は息を荒げ、肩を上下させていた。
「確かにエルは可愛いかもしれんが、色気はないだろ。それにお前には見えてないかも知れんが、俺からしたら天使感すごくてちょっと神々しいんだよ!」
やけに白い肌やら銀色の髪やらが、現実離れした羽と光の輪っかによって神々しく仕上がっているのだ。初めてその姿を目にした時、思わず『天使』と呟いてしまうほどに。
「そ、そうなんだ・・・・」
琴葉は少し気圧されていた。
「けどまぁ、男の俺だけじゃ難しい場面も多々あるのは事実。だからお前もちょくちょく来てくれよ。風呂とか入ったことないだろうし、色々面倒見て欲しいんだ」
「ふーん。しょうがないなぁ」
琴葉はわかりやすくにやにやする。普段俺が琴葉に頼ることなんて滅多にないから嬉しいんだろう。
「よし、まずはミッションその1だ!エルの服を調達するぞ!」
「「おー!」」
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